スタイルだけじゃない! 水冷Vツインは多用するミドルレンジがパワフルに‼
ハーレーダビッドソンの2017年モデルに、隠し球がまだあった! ストリート750をベースにした『ストリートロッド』だ。
まず目をひくのが、アグレッシブなフォルムを生み出している新作エクステリアパーツたち。短く跳ね上がったシートカウルにはLEDテールライトがセットされ、スタイリッシュなリアセクションを演出。リザーバータンクを装備し、見るからに高性能なリアショックの上にバー&シールドのエンブレムがあしらわれ、アクセントとしているのも見逃せない。
フロントまわりは、倒立フォークにφ300㎜ディスクをデュアル装備というスポーティな仕上がり。ボディ同色のスピードカウルも新作で、エッジの効いた精悍なフロントマスクを生み出している。
そしてこれまで、日欧スポーツバイクの主流となっているタイヤサイズをあまり採用してこなかったハーレーが、ついに前後17インチのスポーツ志向のサイズ設定としてきたことにも注目したい。
新設計のアルミキャストホイールには、専用開発した新作ラジアルタイヤ『ミシュラン・スコーチャー21』がセットされるが、120/70R17と160/60R17の組み合わせは、リプレイスメントでもタイヤの選択肢が大幅に増えた。
SPECIFICATION
全長:2130㎜
全幅:870㎜
全高:1145㎜
ホイールベース:1510㎜
最低地上高:205㎜
シート高:765㎜
車両重量:238㎏
エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブV型 2気筒 [Revolution X]
総排気量:749㏄
ボア×ストローク:85㎜×66㎜
圧縮比:12.0:1
最大トルク:6.62kg-m/4000rpm[65Nm/4000rpm]
燃料タンク容量:13.2ℓ[3.5gal.]
レーク角/トレール:27°/99㎜
変速機形式:6速リターン
ブレーキ形式 前:φ300㎜ダブルディスク(ABS)後:φ300㎜ディスク(ABS)
タイヤサイズ 前:120/70R17 後:160/60R17
燃費:23.25km/ℓ[4.3ℓ/100㎞]
フォークを立て、ホイールベースを短縮!ハンドリングの軽快さにも期待大‼
改めて整理しておくが、このストリートロッドのベースとなっているのは、2015年に世界戦略車としてデビューした『ストリート750』だ。大柄でクルーザー然としていた同社の主軸モデルとは異なるネイキッドスポーツに近いフォルムで新規ユーザーの獲得に乗り出しているが、今回のストリートロッドではスポーティさに磨きをかけている。
それは倒立フォークを備え、前後17インチ化した足まわりやエンジンのさらなる強化からだけでなく、シャシーのディメンションからも読み取れる。
そもそもストリート750はスポーツスターファミリーよりも気軽に乗れ、若い世代を刺激するアーバンスタイルとしているが、新作のストリートロッドと比べれば車体は低く長い。ストリートロッドではフォーク取付け角を32→27度に立て、結果的にホイールベースを10㎜短縮化。軽快なハンドリングを狙ったセッティングとなっている。
キャスターが立ち、ショートホイールベース化しているのは視覚的にも顕著。ターンシグナルやライセンスプレートなどの取付位置確保といった法規的な問題もあるはずだが、テールエンドのフェンダー類一式を取り除いてシートカウルだけにしてしまえば、その短くて過激なスタイルがいっそう際立ちそうだから、そうしたカスタムへの夢も膨らむ一方だ。
デビュー以来、孤軍奮闘していたストリート750だが、いよいよバリエーションモデルが登場。『ストリートロッド』という車名は今年限りでカタログ落ちが決定しているVロッドファミリーで、2006年式と07年式に存在しており、この流れで『ナイトロッド』や『マッスル』などといったVロッドを元祖とするモデルがストリート750ベースで今後も登場していくのも考えられなくはない…⁉ いずれにせよ、新しいユーザー層の獲得に本腰を入れてきたハーレーから目が離せない‼
PHOTO:HARLEY-DAVIDSON、安井宏充