「ちょうどいい」エンジンと、フレンドリーさが魅力
HONDA 400X ABS
SPECIFICATION
全長×全幅×全高 2085×830×1335㎜
ホイールベース 1410㎜
シート高 795㎜
車両重 196㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量 399cc
ボア×ストローク 67.0×56.6㎜
圧縮比 11.0
最高出力 46PS/9500rpm
最大トルク 3.8kg-m/7500rpm
燃料タンク容量 17ℓ
変速機形式 6速リターン
キャスター角 25°55′
トレール量 105㎜
タイヤサイズ(前・後)120/70ZR17・160/60ZR17
ブレーキ形式(前・後)ディスク・ディスク
価格 78万1920円(ABS・マグナレッド)
あらゆるシチュエーションで活躍しそうな取っ付きやすさ
HONDA NC750X ABS
SPECIFICATION
全長×全幅×全高 2230×845×1350㎜
ホイールベース 1535㎜
シート高 830㎜
車両重 220㎏
エンジン形式 水冷4ストOHC4バルブ並列2気筒
総排気量 745cc
ボア×ストローク 77.0×80.0㎜
圧縮比 10.7
最高出力 54PS/6250rpm
最大トルク 6.9kg-m/4750rpm
燃料タンク容量 14ℓ
変速機形式 6速リターン
キャスター角 27゜00′
トレール量 110㎜
タイヤサイズ(前・後)120/70ZR17・160/60ZR17
ブレーキ形式(前・後)ディスク・ディスク
価格 79万3800円(ABS・グリントウェーブブルーメタリック)
最強の「日常」バイクとして使えそうなのは…
また、この2台を試乗して感じた大きな違いは、750Xのエンジンは、低重心を狙ってシリンダーが前傾角62度と傾いているので、フロントに加重がドーンと乗っていることです。重量配分が前に大きくて、フロントの接地面に常に加重が乗っているイメージというか。キャスター角が27度と寝かしてあって、この加重バランスですから、もう少しキャスターが立っていたら、ちょっとフロント加重がいきすぎていたはず。でも現状は、1535㎜と長めのホイールベースもあって、直進安定性にも良い作用を及ぼしています。今回一緒に乗った沙織さんはビギナーライダーですが、彼女も、特に高速走行で750Xの安定感を感じた、と言っていました。
ただ、ホイールベースの長さにはデメリットもあって、(特に小さい半径の)コーナリングには影響があると言われます。でも750Xは普通に良く曲がるし、長さのデメリットを感じません。トルクに厚みがあって引き出しやすいので、車体のピッチングを作りやすい。その特性を使ってひょいって曲げられるんですよ。ちょっと昔のモデルですが、ホンダのX4なんかも重心が低くて、ホイルベースがメチャクチャ長かったけど、よく曲がるバイクでした。その辺の味付けは、ホンダが得意とするところなのかもしれないですね。
また750Xは、電子スロットルかと勘違いしたくらいなので、インジェクションのセッティングは大変優秀な部類なんだと思います。ツーリングはもちろん、街中でも、どちらを使いたいか選ぶなら、僕は750Xですね。しかも750Xは、「よくこの値段で、これだけのバイクを出したな」って感じるくらい、質感的な意味のコストパフォーマンスも高いと思います。クラッチのマスターシリンダーとか、ミラーの付け根の作りとかが、一体で成形されているのも凄くいい。俺はそういう細かい部分の作りがしっかりしていないと、ガッカリしちゃう方なので、値段なりのプアさがないのは、嬉しい驚きでしたね。
ただし何度もいうけど(笑)、400Xもちゃんと良いバイクで、ちょっとした未舗装路も普通に走れるし、バランスもいいんです。リクエストとして、特に初心者ライダーは、自分が何速で走っているのかわからなくなりがちなので、メーターにギアポジ表記が欲しい、というのはあるけれど、それ以外の不満はありません。
前号でも言いましたが、自分はレプリカ世代なので、これまでずっと好きなバイクはカウル付きばかり。正直、こっち系のバイクはあまり好みではなかったんです。でもアフリカツインに乗って、こういうタイプのバイクもいいなって思うようになった。そんな自分が、なぜ今750Xが欲しいのかというと、日常使うバイクとして使えるから。750Sと迷うところはあるにせよ、どこに行くにもいちばん気軽に乗れるだろうし、バイクに乗ろうとなった時に、いちばん最初に掴むキーが750Xだと想像できるんです。それくらい、取っ付きやすいバイクだと思う。ヘルメットがラゲッジスペースに収納できるのも、地味だけど、やっぱり便利ですしね。
なんだか、今月も褒めてばかりになっちゃいましたが(笑)、実際、本当に2台とも良く出来ているんです。特にNCに関しては、1万㎞、2万㎞と走った時にどう変化するのかも気になります。教習車に採用されてるくらいなので、おそらくかなり丈夫だとは思うのですが。そう考えると、本当にコスパの高いバイクですよね。
写真/松川 忍