衝撃の「ホンダ復帰」ニュースからしばらく、ついにワールドスーパーバイク(=WSBK)へのホンダトップチーム「モリワキ アルティア ホンダチーム」の体制が正式発表されました。すでに公表されているように、ライダーは清成龍一とレオン・キャミア。清成は2009年以来のWSBK復帰で、キャミアは昨年のホンダトップチーム「レッドブルホンダ」からの継続参戦です。
メインスポンサーの「レッドブル」は外れてしまいましたが、ホンダがWSBKに本格参戦するのは2002年以来。当時のマシンはVTR1000SPで、イギリスホンダを母体に参戦。つまり、セミワークスチームだったわけです。これはコーリン・エドワーズがVTRでチャンピオンを獲得した時ですね。
その後ホンダのトップチームは、オランダ「テンケイトレーシング」を母体として参戦してきました。しかし、これはホンダが直接関与していたわけではなく、あくまでもサポート、つまりたとえば使用するベースマシンは提供するけれど、レーシングマシンの製作はテンケイトでね、という役割分担。ホンダのレース部門であるHRCは関与していない、というスタンスでした。
それが、2019年シーズンはいよいよHRCが直接参戦をはじめ、18年にはBMWを走らせていたアルティアレーシングと日本のモリワキレーシングがチーム運営する形で、「モリワキ アルティア ホンダチーム」が誕生するわけです。ちなみにアルティアレーシングとは、イタリアの陶器メーカーを母体としたレーシングカンパニーで、かつてカルロス・チェカがWSBKチャンピオンを獲得した時のドゥカティワークスチームを運営していました。
モリワキとアルティアがどういった分担でチーム運営をするのかは不明ですが、ひとまずホンダが、HRCがWSBKに帰ってきた、というビッグニュースなのです。
WSBKはもちろん、市販車(ホンダの場合はCBR1000RR-SP2ですね)ベースのロードレースの最高峰ですので、これでWSBKを頂点にして、世界耐久(=EWC)、全日本ロードレースやモトアメリカ(=AMA)、イギリススーパーバイク(=BSB)をはじめとした各国のナショナル選手権のピラミッドができる、というわけです。つまり、もちろんホンダとしては、鈴鹿8耐制覇への第一歩と位置付けているのだと思います。使用するタイヤが違うとはいえ、WSBKでマシンを開発して、それが鈴鹿8耐の血となり肉となる、というわけですね。
「ワールドスーパーバイクに復帰することになって、エキサイトしています。ホンダ、モリワキ、それからアルティアレーシングには、WSBK復帰に僕を選んでくれて、感謝しています。僕が最後にWSBKに参戦していた2009年とは何もかもが違うだろうし、速いライダーがたくさんいて、WSBKのレベルが高いことも知っています。この数年、僕も全日本ロードレースで頑張ってきましたが、2019年はこれを新しいバイク、新しいチームとともに継続して成長していけると思っています。チーム一丸となって頑張っていきます!」と清成。
僕ら、日本のレースファンとしては、清成の参戦でWSBKにどんどん注目していきたいし、このチャンピオンシップに、清成に続く日本人ライダーも参戦していってほしい。それが続いてWSBKが日本でも盛り上がって、再び日本でも開催されるように――なんてなると最高ですね!
WSBKは2月22~24日に開幕します。わ、もう来週だ!
写真/Honda worldsbk.com 文責/中村浩史