今年の9月、ドイツ生まれのデザイナーのルイジ・コラーニが91歳で逝去しました。さまざまな乗り物のデザインを手掛けた氏ですが、この記事では2輪の作品の、代表的なモノについて紹介していきたいと思います。
(※webサイト ロレンスより)

1950年代から長年にわたり、様々なジャンルで活躍!

1928年ベルリンで生まれたコラーニは1950年代から、フィアット、アルファロメオ、ランチア、フォルクスワーゲン、BMWなど、カーデザインの分野で活躍し始めました。なお元々の名はルッツでしたが、1957年よりルイジをファーストネームとして使うようになってます。

画像: 2004年に撮影された、L.コラーニと1959年のBMW 700。彼がデザインした樹脂製モノコックのスポーツカーのBMW 700は、当時世界的に注目を集めました。 de.wikipedia.org

2004年に撮影された、L.コラーニと1959年のBMW 700。彼がデザインした樹脂製モノコックのスポーツカーのBMW 700は、当時世界的に注目を集めました。

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飛行機や家電、文房具や楽器・・・かなり広いフィールドにコラーニの仕事は及んでいますが、モーターサイクルについては1970年代から盛んに意欲作を発表するようになりました。1972年、彼は危機的財政状態にあったドイツのミュンヒの要望を受け、流麗なスタイリングのスーパーミュンヒをデザインしています。

画像: エアロダイナミックな車体を持つスーパー・ミュンヒ。コラーニ・ミュンヒとも称されるこの作品は、ミュンヒブランドが結局財政問題で1975年限りとなったこともあり、正式に市販化されることはありませんでした。 cycletrash67.blogspot.com

エアロダイナミックな車体を持つスーパー・ミュンヒ。コラーニ・ミュンヒとも称されるこの作品は、ミュンヒブランドが結局財政問題で1975年限りとなったこともあり、正式に市販化されることはありませんでした。

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また1973年には、「フロッグ」という名のデザインスタディを発表。モーターサイクルのスタイリングの可能性を探ったこの作品は、「未来のバイク像」として世界中のクリエーターに影響を与えました。一世風靡したSF漫画の「AKIRA」、そしてSF映画の「TRON」は、かなりこの「フロッグ」にインスパイアされているのではないでしょうか・・・。

画像: 1973年発表のフロッグ。曲線で構成されたフルカバードのスタイリングは、まさに「未来の乗り物」と呼ぶにふさわしい造形と言えるでしょう。 edition.cnn.com

1973年発表のフロッグ。曲線で構成されたフルカバードのスタイリングは、まさに「未来の乗り物」と呼ぶにふさわしい造形と言えるでしょう。

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画像: 1982 Tron Light Cycle Race - film clip www.youtube.com

1982 Tron Light Cycle Race - film clip

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スゴイのは「見た目」だけではありません・・・

「バイオダイナミック」と呼ばれる曲線にこだったデザインは、「自然は角度を作らない」という彼のポリシーから生まれたものです。もちろん、単に見た目のインパクトを狙ったモノではなく、ちゃんと機能するモノを意識したものでした。

1986年、コラーニはスイスのコンストラクターであるフリッツ・エグリとタッグを組んで、スタンディングスタート-10kmの2輪速度記録に挑戦するプロジェクトを企画しました。

画像: コラーニ-エグリ MRD-1は、ライダーの背面にエアロパーツが付いており、乗車時に「人車一体」になるというユニークなコンセプトでデザインされました。エンジンは過給器+ニトロ仕様のカワサキ4気筒1,425ccで、320馬力の最高出力を発生します。 www.pinterest.jp

コラーニ-エグリ MRD-1は、ライダーの背面にエアロパーツが付いており、乗車時に「人車一体」になるというユニークなコンセプトでデザインされました。エンジンは過給器+ニトロ仕様のカワサキ4気筒1,425ccで、320馬力の最高出力を発生します。

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画像: ホッケンハイムリンク博物館に展示されるMRD-1。1986年12月7日の挑戦で見事に272.414 km/hという新記録を樹立しますが、これはモト・エルフの「ELF R」のレコードを破っての栄誉でした。 de.wikipedia.org

ホッケンハイムリンク博物館に展示されるMRD-1。1986年12月7日の挑戦で見事に272.414 km/hという新記録を樹立しますが、これはモト・エルフの「ELF R」のレコードを破っての栄誉でした。

de.wikipedia.org

1990年代以降もコラーニは精力的にデザインの仕事に取り組み続け、高齢期をむかえた2010年代も創造的活動を辞めることはありませんでした。残念なことに9月にドイツ・カールスルーエの地でコラーニはこの世を去ることになりましたが、モーターサイクルの世界においても彼の業績は、多くの人々の記憶のなかに残っていくことになるでしょう。

画像: Designer-Ikone - Trauer um Luigi Colani www.youtube.com

Designer-Ikone - Trauer um Luigi Colani

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