半年前に苦戦した、スタートが改善したワケ
下田を取材しに渡米するたびに、その成長率に驚かされる。Off1.jpが何より下田を追っている理由は、その成長率にある。確実に目に見える形で改善し、スピードを常に底上げしているのがJO SIMODAなのだ。この開幕戦では、明らかにスタートのキレがアップデートされていた。
「メンタルが強くなったと思います」と下田は、単刀直入に言う。ロレッタリンから、アウトドアモトクロスへ1週間でデビューした昨年、下田はナーバスだった。端から見てもそれがうかがえたのだけれど、このたびスーパークロスでは、振り切った雰囲気があった。
「スタートを徹底的にトレーニングしてきました。それに、チームとしっかりテストを繰り返してきました。特に言えるのは、クラッチのテストをやりこんだことです。重くレスポンスのいいクラッチでは、つながりがダイレクトなのですがフロントが浮き気味でした。スーパークロスはメタルスタート(スタート地点に金網が引いてあり、トラクションに優れる)ですしね。ある程度ダルな軽いクラッチを今は使っていますが、こちらのほうが調子がいい。4つほどセッティング別につめました」と下田。
「それと、20モデルのCRF250Rが、全体的にパワーが出ているというのもあります。今年のガイコは、全員スタートがいいでしょう? 僕らが乗っているのは、プロ仕様なのですが、19モデルから一段階上のパワーだと言えるくらいアップデートされています。今後、もっと自分が速くなったら、どう言うかわかりませんが、今のところマシンはパーフェクト」と言う。大型ルーキーを二人も抱えたガイコホンダのマシンセットアップ、およびホンダのアップデートサイクルが、ちょうどマッチしたのだった。DOHC化され、様々な意見があった現世代のCRF250Rは、ここにきて日本の下田丈を強力にバックアップしている。