細かい部分のカスタムやアレンジも可能なRCM
ACサンクチュアリーは中止となった2020年春の東京モーターサイクルショーに2台の車両を出展予定だった(大手パーツメーカーのデイトナ・ブースに展示を予定していた)。1台はオリジナルフレームのA16R Zレーサー3号機。そしてもう1台は、このZ1だ。もちろん、サンクチュアリーによるZだから、同店カスタムコンプリートのRCM(Real Complete Machine)による車両である。
RCMはサンクチュアリーが1995年の開店から5年を越えようとする頃に成立したもので、19/18インチのZに対して現代スペックの17インチラジアルタイヤを履いて楽しめることが中軸にあった。その入力に耐えるフレームの補強やディメンション設定を確立し、リヤのワイドタイヤ装着にともなうスイングアームピボット付近の加工=インライン処理やチェーンラインオフセットも定量化。
エンジンも、元気な個体の数が減り、修復も難しくなっていくZに対して数々の対策パーツを製作し、安心して乗れる作業を施す。フルオーダーメイドでいちから作られるものが基本だが、在庫車両(デモ車や再販売車、あるいはリーズナブルに作り置かれるもの)としてのRCMクラフトマンシップという車両も存在する。
そこでこの車両だ。
「この車両はシリアルナンバー297のRCM-297です。元々オーナーさんが付いて7年乗っていただいた後に、事情で手放されてリメイクしたものです。改めてRCMクラフトマンシップによる再販売車となるのですが、それにあたって火の玉カラーでリペイントを施し、メガホンマフラーも耐熱セラコートで仕上げ直すなどしています。
左右マスターがデイトナ・ニッシンだったり、フロントディスクがブレーキング製ペータルディスク、バーエンドなどに切削+アルマイトのデイトナ・プレミアムゾーンパーツを使って、デイトナバージョンにアレンジしています。こうしたところからも変化が楽しめる見本のような感じでしょうか。
そしてシートもデイトナCOZYシート“RCMコンセプト”です。こうした、RCM専用に開発され供給されるメーカー製パーツもあって、そちらもRCMを支えてくれています。そんな進化もあるので、その辺も見ていただければという狙いでした」(サンクチュアリー代表・中村さん)
2000年の発表以来、RCMはGPZ900R NinjaやCB-F、GSX1100Sなど’70~’80年代車両を主に製作を続け、その数は500を超えている。うち8割超がZシリーズということだ。
また、この中村さんの言葉のように、パーツは次々と新しいものが採り入れられ、手法は洗練されている。価値ある名車をカスタムによってより高みに上げ、同時に好きな形で、長く楽しめるようにするカスタムコンプリート、RCM。現代カスタムの指標としても引き続き注目しておきたいところだ。
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