コロナ禍でも怠らなかった準備
前回大会で使用したマシンの解析を行い、改良を加えたマシンを、クロスカントリーラリー世界選手権への参戦、実戦テストを通して、仕上げて行くのが例年の流れだが、今年はコロナの影響で、実戦テストは叶わなかった。
Hondaワークスはライダーそれぞれに試す予定だった部品を、各ライダーに直接送って、各々でエンジンやサスペンションの特性を試し、リモートでフィードバックをもらいながら、マシンの方向性を探っていった。幸いにして、各ライダーはバイクに乗れる環境にあった。リッキー・ブラベックはアメリカの自宅前に広がる砂漠で、ホセ・イグナシオ・コルネホやケビン・ヴェナバイズも、自宅近で乗れる環境があり、それぞれトレーニングに励んだ。スペインに住むホアン・バレダは、地理的制約から、ラリーのような練習環境はなかったが、モトクロスコースやエンデューロコースでの練習に励み、バイクに乗ることは欠かさなかった。
チーム揃っての実戦テストができたのは、10月に開催されたアンダルシアラリーだが、そこではライダーからはマシンに対してポジティブなフィードバックが得られ、開発陣とライダーが同じベクトルであったことを確認できた。
熟成を重ねたCRF450Rally
前回大会からは大きく変えずに、熟成を重ねながらセッティングをつめていったという。南米大陸からサウジアラビアで舞台を移したことで、必ずしもTOPスピード域ではない、エンデューロコースのような中低速でタイムを争う場面が増えた。そのためより中低速でライダーの思い通りに走れるような方向性で、エンジン・サスペンションともに熟成を図り、トラクションコントロールも各ライダーに合わせた念密なセッティングを施した。他メーカーでマシントラブルが多発する中、Honda勢はマシントラブルを一切発生させなかった。