ハードエンデューロの最高峰、G-NETにふさわしいレース
さて、そんな猛者たちを迎え撃つハードエンデューロのトップライダーたちも新シーズンの開幕を待ちわびていた。チャンピオンの水上泰佑はじめ、#2の山本礼人、#3鈴木健二、#4原田皓太、#5佐々木文豊、#6永原達也、#7石井貴行、#9中野誠也(#8の原真也は怪我のため欠席)。そして怪我からの復帰戦となる高橋博。もちろん彼らもハードエンデューロのトップライダーとして、簡単に前を走らせるワケにはいかない。
土曜に降り続いた雨も止み、日曜は快晴。しかし、気温が上がると濡れた路面は乾き始めて重くなる。観客やカメラマンには嬉しいが、ライダーには苦しいコンディションだ。
レースはまず吉野川という沢登りから始まる。黒ゼッケンからスタートし、続いてエントリーフィーの入金確認順で割り振られたゼッケン順に続々と沢に突入していく。片側は山、そして反対側には大勢の観客が詰め寄せ、カメラやスマホを構えながらトップライダーたちの異次元の走りに一喜一憂する。
その吉野川を先頭で駆け抜けたのは、鈴木健二だ。しかしすぐ後ろには山本礼人、そして水上泰佑、佐々木文豊と続く。そんな黒ゼッケンたちの間に飛び込んできたのが、ハードエンデューロ経験豊富なトライアルIAS、藤原慎也だ。ゼッケン39番だから、この狭い吉野川で、30台近くのライダーを抜いてきたことになる。
こちらが奈良トラ名物「奈良漬」セクション。広い湿地が開放されていて、ラインは取り放題だが、誤ると途端にタイヤが埋まり、独力での脱出は不可能になる魔の沼だ。これまでは一方通行で往路だけだったが、今回は難易度を上げるため、往復するレイアウトに。さらに前日の雨でコンディションは最悪。
そして前半のセクションをこなしてトップで奈良漬にきたのが、2020チャンピオンの水上泰佑。入り口で少しラインをみたが、すぐ後ろから2番手の山本礼人がきていたため、すぐに突入。
山本もためらわずにあとを追う。
続いて藤原、佐々木、原田が通過。なんと、今年の奈良漬に埋まった一番乗りは鈴木健二だった。