1周目の最終セクション、三段ヒルに一番に到達したのは山本だったが、なんと三段目で痛恨のミス。やり直しの間に水上、藤原が先行。この3台がトップ争いを形成し、そのあとは佐々木、原田、鈴木まで少し距離が空いた。
トライアルテクニック「ダニエル」で三段ヒルに2段目をクリアする藤原。
2周目、今度は水上が奈良漬の犠牲になりトップ争いから脱落。さらに3周目には藤原が奈良漬の餌食に。これまで数々の伝説を生み出してきた奈良漬だったが、トップライダーが犠牲になることはほとんどなかった。今年はここを無事に通過できたかどうかで、勝敗が決まったと言っても過言ではないだろう。
奈良漬にハマらず4周目に突入していたトップ山本の優勝が確実と思われた頃、ものすごい勢いで追い上げていたライダーがいた。
鈴木健二である。
鈴木はいつもレース後半になってからペースアップするのだが、特に今回は土曜日には大阪で開催されていたJNCCでスクールをやっていたため、コースの下見が全くできなかったのだ。ラップタイムを見ると1周目55:09、2周目53:23、3周目40:41と3周目で異常なタイムを叩き出した。もちろん、これはこのレースのコースレコードである。ちなみに優勝した山本のベストラップは1周目の44:18。
体力も削られ、周回遅れも多い3周目でベストラップを出す異常さ。それが鈴木健二の本当の恐ろしさなのだと思う。
さらに鈴木は4周目の奈良漬で様子を見ていた山本をパス!! トップでゴールへ向かったが、惜しくも最終セクション一つ手前でタイムアップ。4周目は周回していないためカウントされず、先に3周を終えた山本が優勝を掴んだ。