メンテナンス性にも配慮した作り込みを行う

「このカワサキZ1000Mk.IIはロングツーリングも好きで、年間で3~4万kmはコンスタントに走るというオーナーさんの依頼で作ったRCM(Real Complete Machine。サンクチュアリーが製作する17インチ・コンプリートカスタム)なんです」と同店・中村さん。RCMとしてのシリアルナンバーはRCM-522だ。現行の市販車でもなかなかこの距離は稼ぎ出せない気もするが、旧車の空冷Zではどうなのだろう?

「そこは気になって、オーナーさんと打ち合わせを重ねました。普通に考えれば4万km前後って4ストローク車のオーバーホールサイクルで、それを車検サイクルどころか1年で走るということですから、まずライフパッケージでのエンジン仕様にすることは決めました。圧縮を初めとしてエンジン内部もキャブレターも、乗っていけば少しずつ摩耗・劣化していくだろうし、マフラーも同様かと思います。使えば劣化するのは機械の宿命。ですが、その変化率を緩くするということはできます。

画像1: メンテナンス性にも配慮した作り込みを行う

RCM・Zでのパワーとライフ、その人気には波があって、ライフはもちろん皆さん大事。それで長く乗れるライフ仕様に人気が出ると、それが確立して今度はパワーで遊びたい……となる。それでパワーが安定してくると、それを維持してライフ……という繰り返しで、ライフも伸びてパワーも楽しめるというエンジンが構築されてきました。それに、強化パーツを作ってきたり、レーサーで大きな負荷がかかるようなテストをした時も似た感じでエンジンは進化してきましたし、一番気になる負荷はクリアできる。ですから、この車両も大丈夫と考えています。

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もちろん、タイヤやブレーキパッドにディスクといった、エンジンオイルや点火プラグ以外の消耗品の交換もきちんとなさるでしょうし、逆に考えれば、この車両がきちんと使い方に応えてくれたならば、またエンジンに新しい基準が作れると思います」

ヘビーカスタムで長距離主体に距離を伸ばす。この車両に求められた異例とも思えた使い方は、RCMにまた新しい進化をもたらすカギになりそうだ。

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Detailed Description 詳細説明

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ステアリングステムはA2017材による同社オリジナルのスカルプチャーステムキットTYPE-1、でフォークオフセットは60→40mmとして前後17インチホイール化に合わせたトレール量を確保している。

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ハンドルバーはPOSHスーパーローで、デイトナ製の薄型USB電源もクラッチマスター部に加える。左右マスターはブレンボRCSだ。

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Mk.Ⅱ純正の赤を子持ちストライプとともに再現した外観はエンゼルが塗装。フューエルコックは流量が確保できるピンゲル製に交換済み。

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シートはデイトナ・RCMコンセプトシート。RCMで素材/形状/内部フォーム等の基準値が作られて定量化され、すぐ使えるメリットも持つ。

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エンジンは耐久性にマージンを取ったパッケージで、ピスタルレーシング鍛造ピストン/PAMS ESTライナーで[1015→]1045cc化。クランクはフルリビルド、ミッションはドッグクリアランス調整、クランクケースはポンピングロス低減加工などを行うフルメニューで仕上げられる。

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キャブレターはTMRφ36mmで点火系はウオタニSP2。ナイトロレーシング・ウエルドクラフトチタンEXともしっかりマッチングさせてある。

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フレームにはワイドレイダウン加工や各部補強、ドライブチェーンラインオフセット/インライン処理など、RCM必須の作業が施されている。

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フロントフォークはφ[純正値:36→]43mmのオーリンズRWUをサンクチュアリーE×Xモード・パッケージでセット。フロントブレーキまわりはブレンボ・キャスト4ピストンキャリパー+RCMコンセプトφ320mmディスクとシンプルにーな組み合わせ。整備性にも配慮したセレクトだという。

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スイングアームはスカルプチャー・RCM専用ワイドスイングアーム。レイダウン装着されたリヤショックユニットはオーリンズ。[純正値:1.85-19/2.15-18→]3.50-17/5.50-17サイズとなったホイールは、O・Zレーシングのアルミ鍛造PIEGAを履く。

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リヤブレーキはブレンボ2ピストンキャリパー+サンスターφ250mmホールディスク。サイレンサーはナイトロレーシング・チタングレネードV-3サイレンサー。スイングアームエンドにはスタンドフックも備え、センタースタンドレスとした現況にも対応している。

取材協力:ACサンクチュアリー(SANCTUARY本店)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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