別格の速さを突きつけたジェイ・ウィルソンが、ヤマハ2台を率いて表彰台へ。
ヤマハにとって「できすぎ」感すらあるIA2クラス
開幕戦からスペシャルな3ヒート制で行われたIA2クラス。IA1同様にIA2もチャンピオン不在という年で、若手達の活躍が期待されるところ。しかし彼らに立ちはだかるのが、ウィルソンだ。ウィルソンの圧倒的なスピードはすでに昨年のSUGOで披露されており、これにいかについていくか、今シーズン中にどう攻略するか、が非常に注目されるところである。ウィルソンも、IA2のライダー達のスピードアップのための参戦と割り切っているところもあるが、時折ライダーとしての勝ちたい欲がみられるような、そんな1戦だった。
IA2のメンバーではベテランと言える28歳の小川孝平が、ホールショットを獲得したヒート1。ウィルソン、IA2年目の福村鎌、鈴村英喜、田中淳也と続き、若手が勢いを見せつける。ウィルソンは1周目で小川をパスし、そのまま独走状態に。スタートに出遅れた中島漱也が順位を上げて3位に入り、2位の小川に迫る追い上げを見せた。
ヒート2では、ウィルソン、小川、柳瀬大河、鈴村、中島という順で1周目を通過。5周目までウィルソンに食らいついていた小川だが、ミスによりトップと差を広げた。小川の後ろでは中島が柳瀬をパスし3位へ浮上し、そのままゴール。
ヒート3では若手の福村がホールショットを獲得。その後ウィルソンがトップに立ち独走状態へ。
後半、中島と小川が2位争いを繰り広げ、ラストラップ、後方から着実に距離を詰めてきた鈴村が2位争いに加わったが、結果は1位ジェイ・ウィルソン、2位小川、3位中島と、3ヒートとも同じ順位で表彰台に上り、表彰台を独占するヤマハ勢の強さが感じられた。
「自分のスキルアップを確実にしていきたいと思っています。(ヤマハライダーの育成については)オーストラリアではbLU cRUのコーチとしてたくさん教えていたので、日本でもその経験を生かしたいです。ライダーのキャリアとしてはもっとテスティングを通して、色々なことを学んでいきたい。もちろん、スーパークロスで走る機会があればまた走りたいですが、2022年は日本でヤマハライダーの育成やモトクロスの発展、EPSデバイスの開発に注力していきたいです」とウィルソンは今後のキャリアプランを語る。
また育成を目指すヤマハライダーについては「IA2クラスではヤマハライダーが表彰台を独占し、IA1クラスに関しても今回良い成績で終えられていて嬉しいです。今シーズンを通して、みんなさらにスピードを上げていけると感じるし、シーズンが終わる頃には1ヒートを通して僕と優勝争いができるようになっていてほしい」とコメント。
ウィルソンを起点としたバックアップ体制はヤマハライダーのみならず、IA2クラス、全日本モトクロス選手権のレベルを確実に上げていくと感じられる。1992年、世界との差をうめんとばかりにカワサキが日本へ呼んだエディ・ウォーレンらのように。