対照的な2人の勝者、IBクラス
土曜日と日曜日にまたいでレースが行われるためコースコンディションの変化への対応が重要となってくるIBクラス。今大会は両日とも晴れ、コンディションの変化に惑わされることは少なかった。
ヒート1ではスタートを決めた有山大輝が1周目からトップを快走。2位争いは平塚豪と千葉蓮希によって繰り広げられ、結果は有山、千葉、平塚でフィニッシュ。有山が初優勝を飾り、会場は盛り上がりを見せた。
有山は「今までスタートを決められていなかったのですが、ヒート1ではきっちり決めることができました。1周目に早い段階で前に出れたので、そこからは淡々と自分の走りに集中できたのが良かったと思います。後ろのライダーの存在は初めはプレッシャーでしたが、なんとか自分の走りを崩さずいけました」とコメント。
ヒート2では、予選から調子の良さを見せていた西村明倫が1周目からトップに立ち、後方との差を広げてレースを引っ張りそのままゴール。6位から順位をあげてきた西岡蒼志が阿部仁を抜いて2位に上がり、阿部が3位でフィニッシュとなった。
西村は「練習走行では固くならずに自分の走りができたんですけど、ヒート1、ヒート2と固くなってしまって、自分の走りができなかったです。守りの走りになってしまったので納得できていないです」とコメント。2ヒートとも、有山と西村それぞれがスタートから後方を離して快走という展開ではあったが、自分に集中できたと語る有山と、自分の走りができなかったことに悔しさを滲ませていた西村は対照的であった。
全日本モトクロスは、自らを律する勝利への渇望こそが、ライダーのスピードを上げてきた。時にはそれは、ライダー達を対立させ、数々のドラマを生んできたのも事実。だが、どちらかというと、前時代的なその考え方は、2022年の全日本には当てはまらないようだ。若手の勢いがあるだけでなく、ベテランと若手の連携や、あるいはウィルソンのきめこまやかな育成、共にスピードアップを図っていこうという取り組みが、各チームに見られる。
次戦は5月14日(土)15日(日)に埼玉県にあるオフロードヴィレッジで開催。若手がさらにトップを揺るがすのか、次戦も楽しみにしていたい。