文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年5月18日に公開されたものを転載しています。
XF30の最高出力は40BHP!!
2022年からFIM(国際モーターサイクリズム連盟)がスタートさせる、電動オフロード車による選手権「FIM E-エクスプローラー ワールドカップ」の公式マニュファクチャラーになっているオランダのEMXパワートレインは、ドームス・プロイェクテンB.V.社とELEOテクノロジーズ社とのコラボにより誕生しました。
EMXパワートレインが数多ある電動バイクのスタートアップと違うのは、オランダのロイヤルダッチモーターサイクリスト協会(KNMV)、そしてヤマハ発動機のグループ企業であるヤマハモーターヨーロッパN.V.といって、ビッグネームの支援を受けている点です。
2年間の開発を経て、ついに市販されることが発表されたEMXパワートレインの電動モトクロッサーには、「XF30」という名前が与えられました。なお"X"はモトクロス、"F"はクリーン技術の自由(フリーダム)、そして"30"は30kWの電動パワートレインが搭載されていることを意味しています。
気になるXF30のスペックですが最高出力は40BHP(30kW)と、ICE(内燃機関)4ストローク250ccモトクロッサーと勝負できるパワーを確保。最大ホイールトルク720Nmという電動ならではの大トルクがXF30の武器ですが、クラッチ操作や変速操作が不要なため実に乗りやすい・・・というのが、EMXパワートレインの主張です。
ICEに対する電動のアドバンテージのひとつである、電子制御のマッピングは3種類が用意されており、最も穏やかな「ライド」、エンジンブレーキとフライホイール効果を向上させる「エンデューロ」、そして最大のパワーと俊敏なスロットルレスポンスを発揮する「レース」を選択することができます。
XF30に搭載されるリチウムイオンバッテリーの容量は4,500Whで、電圧(公称)は102V。充電器は220Vコンセント用の仕様で、0~80%の充電時間は1.2時間。0〜100%の場合は1.5時間。バッテリーの保ちは走行モードやライダーの技量によって変化しますが、最大で2.5時間とのことです。
車体関連の数値は、全長2,175mm、全幅825mm、全高1,285mm、シート高965mm、ホイールベース1,475mmと、ほぼ2022年型ヤマハYZ250Fと一緒です。なおバッテリーを含む車重は115kgとなっています。
2024年には公道走行モデルも登場? 期待したいですね!
XF30は2022年5月11日から2023年よりデリバリー予定の、限定100台のファーストロットの注文受付を開始していますが、同社のウェブサイト上のQ&AでXF30を入手できる地域として、EU圏のいずれの国のほかイスラエル、ノルウェー、トルコ、スイス、そして英国をあげています。充電器の仕様が220Vなので、単相220〜230Vのコンセントを採用している国が対象ということなのでしょう。
なおEMXパワートレインの創設者であるE.ドームスは、XF30予約受付開始へのコメントの中で非常に気になることを述べています。それは、近い将来に競技車であるXF30だけではなく、公道走行可能な電動モデルも用意するという予告です!
エルマー・ドームス(EMXパワートレイン創設者)
「ついにXF30を公開することができ、非常に誇りに思っています。EMXパワートレインの中で、ここまで来るのに極めて懸命に働いてくれたすべての人に感謝したいです。私たちは、白いカンバスの状態からバイクの設計を始め、電動パワートレインを開発し、驚くべきバランスと性能を持つモトクロスバイクを作り上げました。この最初の限定シリーズは、多くのアーリーアダプターにアピールし、スポーツの未来に貢献する第一歩になると信じています。また、XF30はEMXパワートレインの最初の製品であり、2024年のストリート用バイクを皮切りに、さらに多くのパワートレインを搭載する予定であることを申し添えます」
2024年という具体的な年をあげての発言ですので、少なくともEMXパワートレインは公道用モデルの開発もすでに進めていると考えられます。こちらの件も、続報が入り次第みなさんにお伝えしたいと思います!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)