文:アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行
ドゥカティ「ムルティストラーダ 950 S」の特徴
エレクトロニクスの進化で昇華する真の姿
車名が意味する通り、市街地、高速道路、峠道、場合によってはダートまでのあらゆる道をカバーできるオールラウンドなアドベンチャーツアラー的モデルとして、2003年からドゥカティが手がけているムルティストラーダ・シリーズ。現行モデルの中で937cc水冷Lツインエンジンを搭載したシリーズのミドルバージョンがムルティストラーダ950だ。
軽量で機能的なスタイルのボディは、低いシート高もあってシリーズの中でも扱いやすく、同時に力強さや俊敏さを兼ね備え、市街地での街乗りから荷物を満載したロングツーリングまでをカバー。万能性を気軽に味わえる。
上級版として設定されたムルティストラーダ950Sは、セミアクティブサスペンションをはじめ、クルーズコントロール、5インチTFTカラーディスプレイといった最新装備を充実させることで、より快適で使い勝手の良いモデルとなった。
ドゥカティ「ムルティストラーダ 950 S」各部装備・ディテール解説
エンジン
ドゥカティの多くのモデルに採用されている、デスモドロミック機構を採用した937cc水冷Lツイン、テスタストレッタ11°エンジンを搭載。ユーロ4規制に適合し、最高出力は113PS、最大トルクは9.8kgf・m/7750rpmという強力なスペック。53mm径のスロットルボディを備え、最先端のフルライドバイワイヤシステムも採用されている。
フロント 足まわり
インナーチューブ径Φ48mmの倒立フロントフォーク。ブレーキキャリパーはブレンボ製のラジアルマウントタイプというスーパースポーツのようなハイスペックなもの。ムルティストラーダ950SではこのフロントサスペンションもDSS EVOシステムでコントロール。
リア 足まわり
フレームはドゥカティ伝統のスチールパイプを組み合わせたトレリス構造を採用したもので、スイングアームはアルミ製。ムルティストラーダ950Sで採用されたセミアクティブサスペンションシステムのドゥカティ・スカイフック・サスペンション(DSS)EVOシステムは、あらゆる路面や状況に対応。簡単な操作でセッティング変更もできる。
ヘッドライト・スクリーン
バンク角に合わせ照明を最適化するコーナリング・ライト(DCL)を採用したデュアルヘッドライトや、クチバシのようなノーズが目立つムルティストラーダ950Sのフロントマスク。大型スクリーンやハンドガードといったアドベンチャーモデルらしい装備も備えていて、ムルティストラーダ独特の個性に優れた機能性が融合させられている。
メーター
昼間でも視認性の高い、高解像度のTFTカラー液晶メーターパネルは、優れたデザインというだけでなく、新しいヒューマン・マシン・インターフェイスを採用。メニューの検索や設定の変更などの多彩な機能を、直感的に操作できるようにされた。
燃料タンク・航続可能距離
燃料タンクは容量20Lという余裕のビッグサイズで、ロングツーリングに求められる長大な航続距離を実現。スペック上で公表されている燃費で計算すると約360km。タンク自体の形状はライダーがホールドしやすいような、人間工学に基づいたデザインとされている。
ウインカー
走行風から手をカバーして快適性を高める効果的な形状のハンドガードも標準装備されている。LEDウインカーも内蔵。
シート
ムルティストラーダの長年のノウハウを生かした、長距離ツーリングやタンデムでも快適なようにデザインされたシート。日本仕様のシート高は820mmだが、オプションで840mmのローシート、860mmのハイシートが用意されていて、ライダーの体格などに合わせて選択することも可能だ。
ドゥカティ「ムルティストラーダ 950 S」主なスペック・価格
ホイールベース | 1594mm |
シート高 | 820mm(オプション:840mm/860mm) |
車両重量 | 207kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒 |
総排気量 | 937cc |
ボア×ストローク | 94.0×67.5mm |
圧縮比 | 12.6 |
最高出力 | 83kW(113PS)/9000rpm |
最大トルク | 96N・m(9.8kg・m)/7750rpm |
燃料供給方式 | FI |
燃料タンク容量 | 20L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25° |
トレール | 106mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR19・170/60ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | Φ320mmダブルディスク・Φ265mmディスク |
メーカー希望小売価格 | 199万9000円~214万円(消費税10%込み) |
文:アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行