文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:柴田直行、赤松 孝
ドゥカティ「デザートX」インプレ(宮崎敬一郎)
オンでもオフでも快適に楽しめる完成度の高さ!
デザートXを今回試乗した場所はアサマレースウェイ。深い軽石火山灰のざくざくした路面が点在するものの、基本的にはコシのある、締まった路面のダートコースだ。
デザートXはよく走る。フロントの重いビッグオフローダーなので、深くてざくざくした場所でスロットルを戻すとフロントが埋まり気味になるが、これはテネレ700などよりいくらか顕著な程度で、ネガな要素ではない。
パワーはテネレ700より圧倒的に強力で、CRF1100Lアフリカツインよりスリムで身軽。車体の応答もダイレクト。スロットルを開け気味にした車体コントロールだと、かなり軽い手応えでターンや切り返しができる。慣れてスロットルの強弱で加重や抜重が自在に出来るようになれば、寝かし込んでからのドリフトコントロールなどもすごくやりやすい。
ジャンプでもしない限り、サスの衝撃吸収力は十分なもの。オンロードでも快適だったが、林道でもそれは変わらない。構えずに林道をラクに走れるのは大きな魅力だ。
ライディングモードは「エンデューロ」か「ラリー」にして走った。中でも楽しかったのはエンデューロにしてトラコンを弱め、ABSをオフにしてパワーモードを少しイジって走ったとき。デザートXは最近の本格的なオフ系アドベンチャーの例に漏れず、どんなモードでもエンジンの応答が優しくて扱いやすく、そのパワーを積極的にターンに使ったりできる。ホールドしやすくて軽めの車体はブレーキで向きを変えるのも楽だ。
デザートXのオフ性能はかなりレベルが高かった。倒した時にキレイな外観がすぐに傷だらけになりそうなのが唯一の弱みだろうか。ガードプロテクター類の充実を急いでもらいたいところだが、ツーリングルートにけっこう荒れた林道を組み入れても難なく踏破できる、楽しいバイクだ。