前戦のレース2の勢いを繋げたバウティスタが優勝
今シーズンも残り2戦。まさに天王山と言っていい今大会は終われる立場のドゥカティ勢が圧倒的な強さを見せた。
土曜日に行われたレース1。ポールポジションはジョナサン・レイ(KAWASAKI RACING TEAM WORLDSBK)が獲得。2番グリッドにはアレックス・ロウズ(KAWASAKI RACING TEAM WORLDSBK)が入り、カワサキがトップ2を独占してみせた。3番グリッドにラズガットリオグル、ランキングトップのバウティスタは4番グリッドからスタートを切る。
20周で争われたレース1は3番グリッドスタートのラズガットリオグルがホールショット。一方、ポールスタートのレイは4位に後退、さらにターン3でバウティスタと接触しポジションを大きく落としてしまった。
2周目のターン1でロウズがラズガットリオグルのインをつきトップに浮上。2周目の終わりにはトップ2の背後にバウティスタ、そして追い上げをみせ早くも4位にまでポジションをあげたレイが接近する。
4台によるトップ争いは4周目にラズガットリオグルがトップを奪取し、バウティスタが続く。最終コーナーからターン1まで距離のあるアルガルベでは圧倒的なストレートスピードを誇るバウティスタが有利だ。
しかしラズガットリオグルは強烈なブレーキングを用いてバウティスタの先行を許さない。しかし7周目にバウティスタがトップに浮上すると、ラズガットリオグルは3位のレイから2位の座を守るため走りを強いられバウティスタを逃す形となってしまった。
レイを振り切ったラズガットリオグルだったが、バウティスタには届かず。最終的に2秒のマージンを築いたバウティスタがトップチェッカーを受け、ドゥカティのマニファクチャラーズタイトルを決めた。2位にラズガットリオグル、3位にはレイが入っている。
2023 スーパーバイク世界選手権 第11戦ポルトガル レース1 結果
バウティスタがハットトリック達成!ラズガットリオグルは悔しい2位
日曜日の午前中に行われたスーパーポールレースは、気温28度、路面温度32度のドライコンディションの中、10周で争われた。
レース1同様、フロントローからスタートを決めたKRTの2台だったが、オープニングラップのターン5で、レイとロウズがまさかの転倒。両者再スタートを切るもピットに戻ることになった。
ラズガットリオグルがトップ、アンドレア・ロカテッリ(PATA YAMAHA PROMETEON WORLDSBK)、マイケル・ファン・デル・マーク(ROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAM)が続くが、バウティスタ(ドゥカティ)が4周目には2番手まで浮上。トップのラズガットリオグルとの差を徐々に詰めていく。
バウティスタは残り3周の時点でラズガットリオグルの真後ろにつけると同周回のホームストレートでトップに浮上。しかし、ブレーキングでラズガットリオグルがトップを奪い返し接戦が繰り広げられた。
ストレートスピードに圧倒的なアドバンテージがあるバウティスタはファイナルラップの最終コーコーに照準を合わせていく。目論見通りトップにたったバウティスタは0コンマ142差で優勝をかっさらった。最後に逆転されたラズガットリオグルが2位、3位にはチームメイトのロカテッリが入った。
レース2は気温29度、路面温度40度のドライコンディション。20周で争われたレース2はラズガットリオグルがホールショット。後方ではターン3でレイ、スコット・レディング(ROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAM)、チャビ・ビエルへ(TEAM HRC)が交錯しコースオフ。ビエルへが転倒を喫してしまったこの接触に関して、審査委員会はレイに責任があると判断。のちにロングラップペナルティが科されてしまった。
ラズガットリオグルは序盤に約2秒のギャップを築くも、レース中盤にはバウティスタが接近。ストレートで楽にトップに立つバウティスタに対し、ラズガットリオグルは深いブレーキングで対抗。1周で複数回順位を入れ替える接近戦を繰り広げながらレースは終盤へ突入する。
スーパーポールレース同様、自身の強みを理解しているバウティスタはファイナルラップの最終コーナーに照準を合わせると、最終コーナーの立ち上がりでラズガットリオグルの前に出ることに成功。強烈なエンジンパワーをうまく利用し、ポルトガルGPを完全制圧して見せた。
マシン性能で劣る分、自身の技と強靭なメンタルで立ち向かったラズガットリオグル。しかし、エンジンパワーという自分ではどうしようもできない部分で負けてしまい、チェッカー直後にはウィンドスクリーンを破壊してしまうほどの怒りを表していた。3位にはマイケル・ルーベン・リナルディ(ARUBA.IT RACING)が入り表彰台を獲得している。
ハットトリックを決めたバウティスタは今季24勝目、ドゥカティで56勝目を記録した。加えて、ラズガットリオグルとのポイント差は60にまで拡大。今大会ではチャンピオン決定とはならなかったが、今シーズンのチャンピオンをほぼ手中に収めた。
次戦は最終戦となる第12戦ヘレス。今回はドゥカティの直線スピードが猛威を振るったが、テクニカルコースとして有名なヘレスサーキットではストレートスピードによる恩恵はポルトガルに比べ得られないはず。
バウティスタのチャンピオンはほぼ決まりつつあるが、最終戦で優勝するのは難しくなるのかもしれない。2位に終わったラズガットリオグルの表情には悔しさが滲んでおり、次戦にかける想いは大きいはずだ。ラズガットリオグルにとってヤマハでのレースは今シーズンで一旦終了となる。ヤマハでのラストレースを有終の美で飾れるのか、そして今回のリベンジを果たせるのかに注目したい。
2023 スーパーバイク世界選手権 第11戦ポルトガル スーパーポールレース 結果
2023 スーパーバイク世界選手権 第11戦ポルトガル レース2 結果
レポート:河村大志