今回の「European Championship」ですが
会場はオランダのレリスタッドという街にある教習所のフリースペース。
オートバイ杯で使われている桶川のTEC-Rより広くて、
しかも舗装もフラットでグリップも良好。日本と変わらないというか、
むしろこんなキレイな路面は日本にはないかもというほど素晴らしい会場。
コースの設定はかなりのハイスピードだったが、スラロームや回転が
連続するコテコテなセクションや、全開からハードブレーキングの後、
すぐにフルロックターンなんていう厳しい走りが要求される、
攻略しがいのあるテクニカルコース。
コースが発表されると、とりあえず完熟歩行するのはヨーロッパでも同じ…。
ヨーロッパ各地から集った70人の参加者と一緒に歩いてコースを覚えこみます。
今回も当然自分のマシンでは走れないのでマシンは借り物。
懐かしのCBR600RR初期型です! ハンドルとガード以外はノーマル!
しかし私、2004年の大会で、ほぼ同様なCBRで日本のC1級タイムを出してる。
そんな私を何人のヨーロッパのライダーが上回れるのか?
たくさんのライダーがそれを超えてほしい・・・
という、ヨーロッパのジムカーナのレベルを図る「基準」として、
私は主催者から招待されたわけなんですね。
ということなんで、第1ヒートの第1走者として、
イの一番にアタックをしました。何せ「基準」ですからね〜。
このマシン、ノーマルなんで加速しない代わりにすっごく乗りやすい。
普段乗っているZX-10Rのことを思えば、ズルズル滑っても全然平気。
フィニッシュラインを越えて記録されたタイムは1分43秒16。
これで楽勝かと思って余裕でヨーロッパのライダーの走りを見てたら、
八の字走行に特化させたというCBRを駆るSchouwenburg選手が、
スムーズな走りで1分43秒10を出したので、僅差とはいえ逆転されちゃった!
さらにヨーロッパチャンピオン・Kristian選手&モンスターCBRには、
圧巻の走りで1分40秒88まで一気にタイムを短縮される。
勝ちに行ったのに第1ヒートは結局3位。悔しい、絶対巻き返してやる!
しかし3秒差は大きい。そこで走行ラインを大幅に変えるギャンブルを決意。
…したんですけどね、やっちゃいました。ラインを変えた所で転倒です。
全力でアタックしてたらノーマルタイヤの限界を超えてフロントが滑り、
そのままエンジンガードが接地してガッシャーン。当然タイムは更新できず。
第1ヒート4位だったDzikowski選手にも逆転され4位にまで後退。
さらに追い打ちをかけたのはKristian選手の激走。
何と1分39秒89にまでタイムを削って見せて、
2年連続のヨーロッパチャンピオンの座を決めました。
結局私は4秒近い大差を付けられての惨敗…。
正直、もし転倒しなくてもこの差だと届かなかったかなって感じ。
Kristian選手は間違いなく日本のB級に相当するライダーと言えそうです。
悔しい4位だったけど、招待選手ってことで表彰式に呼ばれました。
ブレーキローターとギアで作られた手作りトロフィー、欲しかったなぁ。
今回「European Championship」に参加してみて思い知らされたのは、
ヨーロッパの2輪ジムカーナのレベルが急速に進歩している、ということ。
10カ国あまりでジムカーナの大会が行われ、
さらに「European Championship」まで行われる中で、
ヨーロッパのライダーのモチベーションはとても高く、
日本のトップライダーとの実力差も小さくなってきているのを感じました。
さらに彼らは、今年のオートバイ杯の特別戦「ジムカーナJAPAN」への
遠征まで計画しているというんだから凄い情熱です。
日本のジムカーナ選手も、ウカウカしてる場合じゃないですよ!
(小崎弘敬)