今シーズン2度目の表彰台獲得!
この週末に行なわれたMotoGP第3戦アメリカズGPのmoto2クラスでは、イデミツHONDAチームアジアの中上貴晶が3位表彰台を獲得しました。
中上は開幕戦カタールGPでも3位、第2戦アルゼンチンGPでは1周目に転倒してのノーポイントレースを演じてしまいましたが、これで3戦中2戦で3位獲得。moto2ワールドチャンピオンを狙う身に、アルゼンチンのノーポイントはイケマセンが、まずまずの滑り出しではありましょう。
ちなみに開幕戦とアメリカズGPは、優勝フランコ・モルビデリ、2位トーマス・ルティ、そして3位中上と、表彰台の顔ぶれは同じ! 第2戦では中上抜きで、優勝モルビデリ、3位ルティとなっています。シーズン前に話を聞いた時に、中上は「モルビデリをいちばんマークしています」と教えてくれました。その難敵に、3連勝を許しちゃったんですね。
中上は、金曜のFP1でいきなり17位スタート。あれあれ、アルゼンチンの不調引きずっちゃったのー、と思ったら、FP2では10番手、土曜のFP3では4番手まで上昇して、公式予選も4番手、2列目スタートです。この位置なら、まずまず。決勝日朝のフリー走行では、モルビデリ、ルティを従えてトップタイムをマークしました。いいぞいいぞ!
決勝レース、中上は好スタートから1コーナーに3番手あたりで進入。舞台となったCOTA(=サーキット・オブ・ジ・アメリカ)は、スタートラインからストレートがやや登りながら長く、1コーナーがV字を描いて回り込んでいるので、1周目のコーナーは位置取りはもちろん、ライン取りも重要。中上はスタートからの加速で2番手くらいに上がったんですが、アウトからのラインを選択。その間にポジションを落としました。去年、中上は4番手を走っていた残り4周で、この1コーナーでコルシにはじかれて転倒してますからね。イヤなコーナーだ……。
レースはアレックス・マルケス-モルビデリ-マティア・パシーニ-中上-ルティの順。パシーニは中上の前所属チーム、イタルトランスのライダーですね。中上はいったんルティに先行されますが、すぐに抜き返して4番手をキープ。この5人くらいがトップグループを形成します。6番手ミゲル・オリベイラは、ちょっと後方。トップ5人がペースを上げていきます。
マルケスとモルビデリが何度か抜き合いをしている感、パシーニが中上のインの無理やり突っ込んできて、あわや…ってシーンがあったんですが、中上はちょっと下がって5番手で復帰。ふぅ、おかしなことにならなくてよかった。
なかなか差が縮まらない、ノーミスな神経戦は続く…
レースはモルビデリが徐々に後続との差を広げるなか、レース中盤にパシーニが魔の1コーナーで転倒。あとはもう、トップ4人のライダーの差がジリジリ縮まり、ジリジリ広がるmoto2らしいレース展開となりました。その中で中上は、先行するマルケスを数ラップかけてじっくり料理。後ろについてから、1回前に出てから、きちんとパスするまでが長かったですね、でもこれがmoto2。トップライダーの差はほんのわずか、そのわずかですら、順位変動にはなかなかつながりません。ジリジリジリと差を詰めて、一瞬のスキでパッシングして、またジリジリジリと引き離す、その繰り返しです。
結局、中上は19周のレースで13周目にマルケスを仕留めて3位に浮上。そのまま引き離せないまでも、フィニッシュまでに約3秒差にマルケスを抑え切って3位フィニッシュしました。ただし、その頃には優勝したモルビデリまで6秒、2位ルティまで4秒差がついていましたから、嬉しいけど、あんまり喜べない3位フィニッシュだったはずです。
「いいスタートが切れて、パシーニと争うことになって、パシーニは速かったけど転んじゃって、ルティとモルビデリは最初から僕よりちょと速かった。表彰台に登れてうれしい。(第4戦以降の)ヨーロッパに入ったらまたがんばります」とレース直後の中上。相変わらず英語が流暢だなぁ。ホント、中上の英語、機会があったら聞いてみてください。ネイティブみたいな発音だから! こんなに英語のうまい日本人スポーツ選手、メジャーリーグで野球してた長谷川滋利さん以来だと思うんです、いやホント。シゲより上手いかもなぁ。
そしてメディア向けのプレスリリースでは
「ここは好きなコースのひとつだけど、今まではいい結果を残せていなかったから、表彰台に上がれてうれしいです。レースは、序盤からコンスタントなペースで走って、前に出るチャンスをうかがっていました。ヨーロッパに入ったら、モルビデリにストップかけないと!」と発言。
でも自身のフェイスブックでは「表彰台はいつでも嬉しい。けど心の底から喜べない自分がいる。とにかく勝ちたい」と記しています。これが本音でしょうね。
ここまで3戦を終わって、3位2回、転倒1回。ランキングは
①モルビデリ
②ルティ
③オリベイラ
④中上、の順。
モルビデリとは43ポイント差もついちゃった。いや、43ポイントしかついていません!
Gaaaaas TAKA!
タツキ、惜しいッ! ラスト3周でトラブル
ほか日本人選手は、moto2長島哲太(Teluru SAGチーム)が3戦連続完走を果たすものの、またもポイント圏外の19位。moto3クラスは、佐々木歩夢(セパン・インタナショナル・サーキット レーシングチーム)が18位、鈴木竜生(SICスクアドラ・コルセ)は7~8台によるサードグループの中、16位を走りながら、残り3周でエンジントラブル発生からリタイヤ、鳥羽海渡(HONDAチームアジア)はオープニングラップで転倒、それでレースはいったん赤旗中断し、去年から施行されたクイックリスタート(ピットレーン再オープンは60秒だけ)に間に合わず、最後尾グリッドからの追い上げで、レース再開4周目で再び転倒してしまい、リタイヤとなりました。
さぁ次戦ヘレスGPは、日本時間ではゴールデンウィーク最終日の日曜夜です!