ファンライド性能を高めた新生「コーナーロケット」‼
昨年のミラノショーで登場した新型390デュークは、1290スーパーデュークRの流れを汲んだシャープなデザインにLEDヘッドライト、TFTカラーメーター、ライドバイワイヤーなどの最新技術を織り込んでいる。その情報に人一倍敏感に反応した私。なぜなら現行390デュークのオーナーだからだ。一目惚れして3年前に購入し3万キロ以上乗っているので、その走りの楽しさやクセ、弱点などを理解しているつもり。それだけに新型には大注目しているのだ。「早く乗りたい」という願いはトリノで行われた試乗会に参加という形で実現した。

ライター:横田和彦
バイク歴32年。数多くのバイクを乗り継ぎ、現在もツーリングや草レース参戦を楽しんでいるライター。
コンパクトな車体にパワフルな単気筒エンジンを搭載した390デュークは幅広いフィールドで痛快な走りを楽しめるスポーツネイキッド。開発者はそのコンセプトを継承しているというが、聞いた時点では納得していなかった。というのもスペック上で車重が10㎏増えていたからだ。いくらカタチを今風に変えても乗り味が落ちていたら進化ではない。疑いを持ちつつ新型にまたがる。最初に感じたのは金属製タンクとスリムになったシートによるフィット感の高さ。車体コントロールに直結する部分だけに好感を持った。エンジンは基本同じだというが、スムーズさとレスポンスが向上している印象である。そして走り出した瞬間に驚いた。車重の増加をまるで感じさせない加速を見せたのだ。しかもより低回転域からなめらかに速度が上がる。ライドバイワイヤーの効果と、最大パワー&トルクの発生回転数が低くなっているからだと理解した。

現行モデルオーナーを唸らせる進化度合い
またサスペンションの進化も大きい。フロントはカートリッジ式になり、リアも新設計。初期動作からよく動きグリップ感が伝わってきやすい。荒れた路面での追従性も良好だ。この足回りとコントロール性が高まったエンジンとの組み合わせで走りが悪いはずがない。しかもビギナーにも勧められるほど扱いやすさが向上しているのだ。KTMはシングルスポーツの爽快感をより多くのライダーが味わえるマシンへと進化させたことが実感できた。

主要諸元
ホイールベース 1357±15.5㎜
シート高 830㎜
乾燥重量 約149㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
総排気量 373.2㏄
ボア×ストローク 89.0×60.0㎜
最高出力 43.5PS/9000rpm
最大トルク 3.77㎏-m/7000rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 約13.4ℓ
キャスター角 24°
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ディスク・φ230㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 110/70ZR-17・150/60ZR-17
価格:62万円
DETAIL

低い位置にセットされたLEDヘッドライト&デイライトは独特の形状なので、暗闇でも390DUKEであることを明確に主張する。ライト間に縦に配された金属製ヒートシンクは意外と重量がある。

エンジンの基本構成は先代を継承。ボア×ストロークや最高出力&トルク値は変わらないが、より低回転域で常用できるスムーズさを備えた。トレリスフレームはシートレール部がボルトオンとなった新設計。

ライダー側のシートは前方が絞り込まれ、足つき性やニーグリップしやすさに貢献している。タンデムシートの座面は広くなり居住性が向上。段差が低くなったので前後への体重移動もしやすくなった。

倒立サスペンションは内部構造を一新。カートリッジ式となり速度域に関わらず路面追従性が向上。接地感が増し安心度が高まった。

リアショックは低速時の作動性から高負荷時の踏ん張りまで全域で高い性能を得られるよう最適化されている。プリロード調整が可能。

直線的に跳ね上がったテールカウルにLEDテールランプを内蔵。ウインカー、ナンバー灯にもLEDを採用する。先代にあったグラブバーは省かれタンデムシート横の凹みをつかんで体を支える。


鮮やかで視認性が高いフルカラーTFTメーターは、周囲の明るさに応じてすばやく表示色が変わる。各種情報の表示、ABSのON/OFF/スーパーモトモードへの切り替えなどは左ハンドルスイッチにある十字キーで行なう。
※撮影車両には一部オプションパーツが装着されています。
RIDING POSITION
シート高はスペック上では先代より30㎜アップしているが、前方が絞り込まれ柔軟なクッションを採用していることから足着き性は先代とあまり変わらない印象。着座位置が少し前になりハンドルが近くなったが、体は前後左右に動かしやすいのでスポーツ走行もしやすい。下図はグリーンが先代で、グレーが新型の着座位置を示している。


