豪快な走りとスタイルを国内仕様で堪能できる
Z1000にも国内仕様が登場した。速度リミッターなどを除けば基本的には輸出仕様と同様で、突進しようと身構える猛獣のような、迫力あるスタイルもそのままである。
このモデルの特徴は兄弟モデルの「ニンジャ1000」と違い、ABS以外の電制ライディングアシスト機構をあえて搭載していないこと。パワーモード切り換えやトラコンなどもない。その分プライスは抑えられているが、決して廉価版ではなく、アシスト群を排して、あえてダイレクト感を演出しているのだ。アシスト群がないといっても扱いにくさなどは全く感じさせないし、むしろ優れたドライバビリティが魅力といっていいほど。さらに走りのキャラクターも立っている。これも大きな魅力だ。
強烈な瞬発力を下支えにした俊敏な機動性と、見た目からは想像できないような軽快な身のこなし。ストリートでの軽快さと峠道でのクイックな運動性能を兼ね備えている。しかもハンドリングに融通が利くのもいい。ZはSS系の車体ディメンションがベースのモデルではない。フロント荷重が掛かっていないわけではないが、ハンドルを小手先でコジって身を翻させれば、軽い手ごたえで機敏にフットワークする。それでいて、フロントにストレスが溜まる事も無い。そんな扱い方も受け入れるのだ。この気楽さは大きな魅力で、立派に街で使える実用的なファイターだ。
加えて、今モデルでは少しだけピークパワーが上がっている。141馬力を1万回転で発揮するのだが、あわせて中域でのトルクも上がっているようだ。2、3速までを使う峠道だと、エンジンのトルク変動だけで、ところ構わずパワーリフトするほどで、ヤンチャなキャラクターながら熟成も進んでいる。
今やZも熟成期。シンプルな構成ながら、元気で迫力満点に、気楽に使えるオールマイティなファイター。乗っても、眺めても飽きないバイクだ。
SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 2050×790×1055㎜
ホイールベース 1440㎜
最低地上高 125㎜
シート高 815㎜
車両重量 221㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 1043㏄
ボア×ストローク 77×56㎜
圧縮比 11.8
最高出力 141PS/10000rpm
最大トルク 11.3㎏-m/7300rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 17ℓ
キャスター角/トレール 24.5度/101㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ310㎜ダブルディスク・φ250㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/50ZR17
DETAIL
RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:68㎏)
適度な前傾姿勢にホールドしやすい下半身の処理。シート前部がスリムで足着きも悪くない。バイクの性格同様に、オールマイティでどんな使い方にも適応するライディングポジションだ。