須藤元気さんとナップスの望月真裕社長が組んで、これまでにないバイクイベント『モトジムカーナ』が誕生する。反響の大きかった本誌1月号の須藤さん単独インタビューに続き、大会を仕掛ける2人の情熱対談をお届けしよう!
わかりやすくバイクの楽しさが伝わるイベントに(須藤)
ーーおふたりの間で『モトジムカーナ』開催の話が出たのは、いつ頃だったのでしょうか?
望月「はじめて僕が須藤さんと会ったのは、昨年の僕の社長就任パーティーの時なんですよ」
須藤「僕がプロデュースするダンスパフォーマンスユニット『WORLD ORDER』を呼んでくださったんです。僕は普段からナップスさんでいろいろ買い物してたので(笑)、すごく驚きました。その後、社長といろいろ話をするうちに、バイク業界を今後どう盛り上げていくかに対する熱い情熱を感じて、意気投合したんですね」
望月「須藤さんの持つモトジムカーナのイメージ、エクストリームな部分やファッション的部分を取り入れたイメージと、ナップスが今後目指したいオートバイの方向性というのが、バッチリ合致していたんです。なので今回、応援したいというか、我々もそこに乗っかりたいというか、どちらの言い方が正しいかわからないですけど(笑)、一緒にやりたいと思いました」
ーーイベントを立ち上げるうえで、ジムカーナという競技にどんな可能性を感じましたか。
望月「ロードレースやオフロードに比べると、ジムカーナは比較的身近というか、始めやすい競技だと思います。それに二輪ジムカーナの動きって、クルマにはできない動きなんですよ。『クルマの方がラクだし、安全でいい』と考える人も多いと思いますが、クルマにはできない凄い動きがあることを目で見てわかるジムカーナは、バイクの楽しさを伝える手段として、一番適していると思いますね」
須藤「名前にジムカーナとつけましたけど、正直、従来のジムカーナとかなり異なるアプローチになると思います。僕がこのレースをやりたい一番大きな理由は、やっぱりバイクが楽しいからなんですよ。その楽しさを伝えたいので、コンセプトはわかりやすさとシンプルさ。例えばスキーのモーグルのように、パッと見てわかる、シンプルな面白さを大切にしたいですね」
バイクによるエンターテイメントの可能性は大きい(須藤)
ーーイベント内容については、現在詰めている段階ですか?
望月「やっとコースが決定し、2月14日にエントリー方法なども含めて公開したところです」
須藤「一番重視するのはわかりやすさなので、コース設定も難しくせず、レースは一騎打ちです。まだ予選をするか、クラス分けをどうするかなどは詰めている段階ですが、最終的な王者はトーナメント戦で決めます」
望月「参加ライダーは走りやすく、観る側にはカッコ良く見えるコースを考えていますね」
須藤「地元のバイク乗りの腕自慢っていますよね。そういう人も気軽に出られる大会にしたいんです。まず一発目はシンプルにやって、その後にいろいろと面白い展開をしていけたらいいですね。これはまだ僕のジャストアイデアですけど、第2回、第3回と続ける時に、コースに波状路を作ったり、一本橋を作ったり、バイク版『SASUKE』のようなアプローチもありかもしれない。固定概念にとらわれずに展開すれば、バイクのエンターテイメント性はもっと可能性があるはずです。とにかく誰でも挑戦できて、観ても面白い大会にしたいですし、男子が『ジムカーナ観に行こうよ』ってデートに誘えるようなイベントにしていきたいです」
ーー違うジャンルで仕事をしてきたおふたりが組むことで、新たな発見はありましたか。
須藤「正直、ふたりとも二輪業界のアウトサイダーなんですよ(笑)。バイク業界に浸かってこなかった人間ならではの認識は、共通点だと思います。例えば僕は、ジムカーナのゼッケンは無くした方がいいと思うんです。でも二輪業界ではそれが当たり前のことですよね。だけど人間は、どうしても視覚から入る情報が大きい。マシンのスペックより、ファッション性とかデザインが気になる視点が、業界の外にいた人間にはあるんです。もともと違う業種で活躍していた望月社長は、用品店の社長でありながら、そこをニュートラルに見てると思います」
望月「僕が須藤さんに影響を受けたのは、日本発信のものが世界を回って日本に帰ってくる凄さですね。去年、アジア含めて10ヵ国くらいを視察させてもらったんですが、4大メーカーがあるバイク先進国の日本は、想像以上に世界のバイク乗りから注目されているとわかったんですよ。いま日本でどんなバイクが流行ってるの? どんなスタイルがカッコイイの?って、すごく聞かれるんです。でも我々日本人はそこに気がついていない。それを知った時に、世界で評価されている日本のバイクを使って、日本を代表するコンテンツを作り、世界中を周りたいと思いました。世界で評価されて帰ってきたら、たぶん国内の評価も全然変わる。そういう世界の見方に、須藤さんには気づかせてもらいました」
須藤「すでに望月社長とは、来年ワールドシリーズをやろうという話をしています。モトジムカーナで世界にいける自信が、僕はすごくある。自分の話になりますけど、格闘技をしていた頃の僕は逆輸入ファイターだったんです。現役中に日本は逆輸入に弱いことを身をもって知ったし、逆に海外では日本的なパフォーマンスのアピールが受けることも知りました。それもあって、WORLD ORDERでは典型的なサラリーマンスタイルでパフォーマンスをしたら、やはり海外でもウケたんです。世界で勝負するには、逆にドメスティックでなくちゃいけないんですよ。その意味でも、バイクのジムカーナは凄く日本的です。広大なスペースが必要なわけじゃないし、コストも抑えられるので、どこの国でも開催できます。ナップスさんの海外との繋がりもありますし、来年は海外開催もできると思うんですよ。まずは今年、国内で2大会と海外でも1回は…」
望月「はい、やりたいですね」
須藤「そして来年から4ヵ国、5ヵ国で開催し、世界チャンピオン決定戦を日本でやったりすれば、従来のレースファンとはまた違う層の競技者が増えるだろし、燃えると思うんです。みんなが世界的スターになれる可能性を持つわけですからね」
ぜひ会場で、新しい世界の当事者になってください(望月)
ーーお話を伺っていると、イベントのスケール感の大きさと、スピード感に圧倒されます。
須藤「今の時代、クオリティーと同じくらいスピードって大切なんですよ。面白いことはどんどん加速してやった方がいいと思います。境界線は必要ないじゃないですか。特にバイクは非言語なので、モトジムカーナの一騎打ちの勝負は、外国の方も絶対に盛り上がってくれると思います。見てわかりますから」
望月「イベント全体としては、ジムカーナのエクストリームな見せ方が中心にはなりますが、カスタム車両の展示スペースを用意したりして、一般参加型でさまざまなバイクの楽しみ方ができる大会にしたいんです。今回の大会を『エピソードゼロ』として、イベントに賛同し、出展してくださる二輪業界の方たちと、『こういうことをやりたいんだ』ということをまず形にしたい。そこからいろんなジャンルの垣根を超えて、大きな渦を起こしたいと考えています」
ーー最後に、モトジムカーナに期待する方たちにメッセージを。
須藤「バイクの新しい世界をお見せできると思うので、ぜひ見に来て頂きたいですね。一人ひとりが本当に世界チャンピオンになれる大会だと思うので、ぜひ観て楽しんで欲しいですし、ぜひ参加してみてください!」
望月「久々にオートバイに明るい世界が始まるというか、本当にバイクを好きな人が、正しく日の目を見るタイミングが来たと思うんですね。だからバイクが好きな方には、その瞬間の当事者として、まず会場に来て欲しいなと。そして本当にオートバイって格好いいんだな、自分がオートバイを好きで良かったなと実感してもらえるイベントだと思いますので、一緒になって盛り上げる、ひとりの仲間になって欲しいと思います」
2018年4月8日 神奈川県・大磯ロングビーチで開催!
通常のジムカーナの試合形式とは異なり、モトジムカーナでは2選手が同時にスタートして競う。エクストリーム感のある“魅せる”ジムカーナのために、参戦ライダーの裝備はビブス型ゼッケンではなく、プロテクターの上から長袖モトクロスジャージを着用。主催側でナンバープレートに装着するゼッケンプレートを用意する。「排気量で差の出ないようなコースづくりをしているので」(須藤)、車種別のクラス分けはなし。参加費は5000円(大会で使用可能なオリジナルモトクロスジャージ付き)。定員60名を予定している。
エントリー料5000 円でユニホームジャージも貰える!
(写真/松川 忍 まとめ/斎藤ハルコ)
エントリー、イベントの詳細はコチラから!
ゲスト出演者:原田哲也、梅本まどか