春にはキャンプツーリングに行けるように
世の中、アウトドアブームなんだそうな。
コミックやドラマ「ゆるキャン△」とか、ヒロシチャンネル、アウトドアショップやキャンプ場の充実とか、メインはファミリーキャンプやクルマでのキャンプなんだろうけれど、バイクのキャンプツーリングも確実に増えてます、うん、実感できるほど増えてます。
日本オートキャンプ協会の「オートキャンプ白書」によると、2015年からキャンプ参加人口が増加を始めたそうです。この15年が12年ぶりの増加で、その後は右肩上がり!
もちろんバイクのキャンプツーリングは、流行り廃りなく一定数、ずっと愛好家がいたって気がします。15年からオートキャンプ人口が増えたってことは、その後16年とか17年くらいから、一定数のツーリングキャンパーに「ビギナー」が上乗せされてきた感じでしょうね。ほら、バイク乗りって流行りに乗っかるのはヘタだけど、ハマると濃いし、長いからね(笑)。
本誌で連載をスタートした「キャンプやろうぜ」は、レーシングレジェンドのひとり、辻本聡さんが主役。辻本さん、俳優の岩城滉一さんと仲良しで、ずいぶん前から岩城さんとあちこちツーリングキャンプしまくってきたそうです。ほら、岩城さんって遊びの天才だから、こういう遊びって、流行る前からいち早くやる人なんです。それで、岩城さんと辻本さんから、前々から「キャンプのページ作ろうぜぇ。毎月あちこちキャンプ行こう!」って誘われてたんです。
ツーリングキャンプって、昔っからバイク乗りの楽しみ。それでも、本誌では最近あんまりやってませんでした。それであらためてツーリングキャンプやろう、と。編集長もOKをくれて、連載がスタートしたわけです。
ツーリングキャンプって、好きな人、嫌いに人に分かれますよね。でも実は、その中間があって「興味はあるけどなかなか始めないよねぇ」って人がいちばん多いような気がします。
なんでなかなか始めないか――それは見本がいないから。仲間と行って少しずつ教えてもらったり覚えたり、今はパソコン画面でなんでも覚えられちゃうけど、やっぱり雑誌ってそういう見本としての役割が大きいですから。私なんか古い世代なんで、バイクのアソビはぜんぶバイク雑誌から習ったような世代です♪
なので、キャンプやろうぜ、のWebバージョンも少しずつ。今回は「ツーリングキャンプのスタート」解説していきましょう^^ クルマでのキャンプとツーリングキャンプの決定的な違いは「荷物をいかに少なく用意、それを小さくまとめるか」が勝負。ここ、ツーリングキャンプ上級者ほど荷物が少なくてコンパクトにまとめてます。
まずテント 冬キャンではメッシュウォールに気をつけろっ
最初に必要なのは、まずテントですね。キャンプ=野外就寝ですから、車中泊じゃない限り、テントは必要。陽気がよくなったらタープ(日よけの一枚布みたいなやつです)の下で寝っ転がるのもいいけど、まずはテントね。
選ぶ基準は、まずひとりで使うにも「2~3人用」を選ぶといいです。基本、ツーリングキャンプのひとり寝であっても、荷物もあるし、乗って来たウエアもヘルメットもブーツも仕舞っておくから、このくらいの大きさがいいんです。
んじゃ大きければ大きい方がいい?ってなりますけど、それは積載性の問題があるからね。収納したときのサイズを考えると、2~3人用を使ってる人、多いと思います。
テントの種類ですが、もうこりゃなんでもいい(笑)。テントメーカーは星の数ほど、価格帯も2~3人用で10万円ちかいものから3000円で買えるものもあります。値段が高いものがサイコー、ってわけではありませんが、これは値段なり。安いものでも、気候のいい時期に寝るだけなら充分! 対応温度が幅広かったり、快適性が高かったりすると、こりゃ値段もそれなりに上がってきます。
わたくしド・初心者ナカムラの場合、手持ちのテントは20年ほど前に買った、ミズノモータースポーツ(=あのMIZUNOです)のアウトドアギアとして売られていたテント(笑)。たしか外神田のミズノショップでセールしてたのを買って、1万5000円くらい(たしか定価2万8000円)のものでした。ずっと押し入れの中にしまっておいたんです。
で、さすがにそれでは古くて使えないだろうって、実験ってわけでもありませんが、急きょネットでなるべく安いやつ、たしか中国製4000円くらいのやつ。これで1度は普通にキャンプできたんですが、12月にほったらかし温泉キャンプ場に行ったときには、いやぁぁ寒い寒い寒い寒い! よく見たらテントボディはメッシュウォール+フライシートで、つまり網戸に一枚布かけて寝てたという(笑)。寒くて寝られないって、生まれて初めてでした!
シュラフもオールシーズン用だし、寒い、寝られないってんで、禁断の深夜テント内バーナー着火しましたからね(笑) もちろん、密室で火をたくなんて一酸化炭素中毒でヤバいんですが、私のテントはまったく密閉してませんでしたから、まるで平気だった、と。心置きなくボンベ1本まるまる燃やしましたとも! それでも1時間しか寝られなかったけど! テント内着火は大変危険です。(なるべく)使わないようにしましょうね。
ちなみに辻本さんが使用しているのは、ムラコデザイン(https://www.muracodesigns.com)のブラックビーク2P。岩城さんが強烈にお勧めしてくれたものです。岩城さんはグレー好きだから、同じタイプのグレー、ニンブスを使ってます。
「へぇテントが黒なんて珍しいね。普通は野外に似合うアースカラーとかグリーン、淡い色なんかが多いのにね」とは辻本さん。ムラコは元は金属加工の会社で、だからなのか、このテントは接続部分の金属パーツとかペグがカッコよくて精度がいい! 設営しやすさはテント選びの重要なポイントで、これは構造と金属パーツの精度がモノを言うんです。
対してナカムラのテントは、下写真の中国産4000円のやつ。春から夏なら普通に使えるけど、冬は無理! あぁ無理! ぜったい無理!
次回はそのうち、テント内に用意するものをご紹介しましょうか。
写真/松川 忍 文責/中村浩史