全クラスで日本人フロントロー獲得!
先週に引き続いてオーストリア・レッドブルリンクで行なわれるMotoGP第6戦・スティリアグランプリ。ここでは便宜上「オーストリアⅡ」と表記しますが、このレースがグランプリ最高峰クラスの900回目のレースになるんだそうです。その決勝を前に行なわれた公式予選の結果、日本勢がとんでもない快挙をやってくれました。
2002年に最高峰クラスがGP500からMotoGPクラスに、2010年にGP250がMoto2に、そして2012年にGP125がMoto3クラスとなってから初めて、全クラスで日本人ライダーが予選トップ3に入り、つまりフロントローに並ぶことになったのです!
決勝レーススターティンググリッド以下の通り(2列目まで)
□MotoGPクラス
①ポル・エスパルガロ(KTM)
②中上貴晶(ホンダ)
③ジョアン・ミル(スズキ)
④ジャック・ミラー(ドゥカティ)
⑤マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)
⑥アレックス・リンス(スズキ)
□Moto2クラス
①アーロン・カネット(アスパー)
②ホルヘ・マルティン(KTM-Ajo)
③長島哲太(KTM-Ajo)
④アウグスト・フェルナンデス(マークVDS)
⑤マルコ・ベッツェッキ(VR46)
⑥レミー・ガードナー(SAGチーム)
□Moto3クラス
①ガブリエル・ロドリゴ(グレジーニ/Honda)
②ラウル・フェルナンデス(KTM-Ajo/KTM)
③鈴木竜生(SIC58/Honda)
④トニ・アルボリーノ(スナイパーズ/Honda)
⑤セレスティノ・ビエッティ(VR46/KTM)
⑥ジョン・マクフィ(ペトロナスSRT/Honda)
MotoGPフロントロー3人はそろって決勝未勝利
Moto2の長島哲太、Moto3の鈴木竜生に関しては、すでに今シーズン1勝をあげ、フロントロースタートはもはや珍しくありませんが、MotoGPクラスの予選2番手につけたタカ中上は、もちろん本人の自己最高グリッド! しかも2列目までの6つのグリッドで、参加全6マニュファクチャー中、アプリリアをのぞく5つが入るという、これも史上初のこと。予選3番手につけたザルコが、前戦オーストリアⅠでの多重クラッシュのペナルティでピットレーンスタートとなってことで、スズキが2台とも予選2列目スタートに入るという記録も作り上げました。ちなみにフロントロースタートの3人――エスパルガロ、タカ、ミルは、いずれも優勝未経験です!
そのタカですが、今シーズン第3戦ヘレスⅡ(=アンダルシアGP)から完全に覚醒! 欠場となったマルク・マルケス(ホンダ)の分まで、とホンダのエース級の快走を披露し続け、ついに予選フロントローにつけました!
タカは金曜のFP1で4番手につけると、FP2で2番手タイムをマーク。そしてきょう土曜のFP3で3番手タイムをマークすると、FP4でもなんとトップタイムをマーク!
そしてストレート進出したQ2ではセッション中盤でいったんトップタイムをマークし、結局トップタイムからわずか0秒022差の2番手タイムを叩き出しました! まぎれもなくタカ史上最高の予選セッションでした!
タカの暫定トップタイムは、セッション終盤にエスパルガロに抜かれ、逆転をかけたラストアタックでは、タカは1コーナー出口でトラックリミットオーバー(=コース外走行)を取られてラップタイム抹消。逆転はならず、予選2番手となったものです。
日本人ライダーのフロントロースタートは2006年オーストラリアGPの中野真矢さん以来で、今回のフロントローで、タカは唯一のサテライトチームライダーです。
ちなみにポールポジションから12番手のダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)までの差はなんと0秒594。この0秒6弱の中に12台が、そして22番グリッドのアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)までが1秒以内にひしめいているわけです! トップタイムから最後尾のタイム差はわずか1秒3ちょい! まれにみる超接近戦です。
これは、やはり2週連続で同じサーキットでレースがあることの効果で、つまり全ライダーともほんの1週間前に同じコースを走り、習熟し、セットアップもほぼ決まっているから。それだけに、決勝レースは「よりミスをしないか」が勝負を左右すると思います。あとはトラックリミットオーバーも心配ですね……。
「今週末はすごく安定してラップを刻めています。バイクのフィーリングもすごくいいしね! 予選ではベストを尽くして、最後の周までがんばったんだけど、ちょっと行きすぎちゃって(1コーナーの)トラックリミットを越えてタイム抹消されちゃいました。でも、いいタイムが出せたし、走行中ずっと楽しかった! それってレースで重要だからね。もちろん決勝は予選とは違う展開になるだろうけれど、明日に向けていい材料もあるし、まずはスタートを決めて、トップグループに食らいついて行って、勝つチャンスがあったら全力で走ります。まずはレースを楽しめるようにしたい!」とタカ。うーむ、タカの英語が日に日に聞き取れない、つまりネイティブに近づいていきましたねぇ。
まずスタートをしくじらないこと! タカはレースの組み立てのうまさやタイヤを持たせることについて定評がありますから、まずは序盤から飛ばしまくるエスパルガロのペースに惑わされないように、中盤から終盤のポジション取りに注目! 右足裏の火傷みずぶくれももう治ったかなぁ……。
あすのMotoGPクラスの決勝レースは日本時間21時スタート! うわぁぁ楽しみ楽しみ、あああ落ち着けオレ!
写真/motogp.com 文責/中村浩史