さぁ始まった23年の全日本ロード!
2022年シーズンの最終戦が11月5~6日でしたから、約5か月ぶりになります、全日本ロードレース。すでにWSBKもMotoGPも開幕していますから、ちょっと日本のレースにうずうずし始めた頃の開幕となりました。
予報では、この週末には雨、なんて言われていたんですが、なんのなんの、きょう土曜日はすっかり晴れて気温も上昇。日中は汗ばむくらいのグッドコンディションでした。
2023年の全日本ロードレースは、JSB1000クラスに歴史的大変更があります。それは「カーボンニュートラル燃料」の導入で、今シーズンから全日本ロードレースのJSB1000クラスは、世界に先駆けて「ガソリンじゃなくてカーボンニュートラル燃料を使用する」モータースポーツとなるんです。
ま、その変化とか問題とかはサテおき、今年もWebオートバイは、JP250クラスの紹介普及広報宣伝取材レポートに努めようと思います。お見知りおきください^^
JP250っていうのは、もうそろそろ説明が要らない気はするんですが、JP=ジャパン・プロダクションの略で、市販250ccスポーツバイクで争われるレースのことです。
公認車両はホンダ:CBR300R、CBR250RR、ヤマハ:YZF-R25/R3、カワサキ:Ninja250/ZX-25R、KTM:390DUKE/RC390、BMW:G310Rといったところで、いま売っている市販250ccクラスによるレースですね。
ホンダのCBR250RRに対して、ヤマハは300ccのYZF-R3、KTMは390ccで出られるのは戦力均等を目指した方策で、これはWSSP300にもみられるレギュレーションですね。
昨年の開幕戦、ここモビリティリゾートもてぎでの一戦には、CBR250RR以外のエントラントといえば、YZF-R25が1台にRC390が1台、そしてNinja ZX-25Rが2台という感じだったんですが、今回はYZF-R3が10台にNinja ZX-25Rが3台、RC390が2台(うち1台は出走せず)と、ずいぶんとバリエーションが増えました。うん、いい傾向ですな。
さらにJP250クラスのビッグニュースと言えば、ヤマハがこのクラスを若手ライダー育成として活用しはじめたことでしょう。エントリーリストを見るとわかるんですが、チーム名に「bLU cLU」とつくエントラントが6チーム。この中から年間の成績トップになったライダーを、WSBK併催で行われている「bLU cLU YZF-R3カップ」に派遣。そこでまたランキング上位となったら、そのままWSSP300やWSSP600、さらにはWSBKやMoto2、MotoGPまでの階段を用意しましょう、というものです。今シーズン、WSSP600に阿部真生騎、Moto2に野佐根航汰が参戦しているのも、そのルートを開拓している、ということなのです。
ちなみに22年のJP250ナショナルチャンピオン山根は、先陣を切って23年の「bLU cLU YZF-R3カップ」に派遣され、今シーズンを戦うことになっています。がんばったら先の世界が開ける、ってチョーいいシステムですよねぇ!
サテ今シーズンのJP250は、22年のチャンピオン、インター:中村龍之介/ナショナル:山根昇馬のふたりが海外レースに参戦のため、ゼッケン1不在でのシーズン。
公式スケジュールに先立ってのスポーツ走行では、野村唯人(SHINライディングサービス)、豊原由拡(TEAM TEC2&24Service&YSS)、中沢寿寛(i-FACTORY&Mガレージ)、千田俊輝(SDG N-Planレーシング)、荻原羚大(Vesrah Racing TEC2&YSS)らの持ちタイムがよさそう。この中では野村と荻原がナショナルライセンスのライダーです。
30日午前の走行こそ雨残りとなりましたが、30日午後/31日午前&午後と3度のスポーツ走行では、総合トップが千田、2番手に野村、3番手に豊原、そこに中沢、荻原が続く展開で、土曜午前の公式予選では、千田がポールポジションを獲得。2番手に野村、中沢、荻原、豊原と続き、千田はインタークラスの、野村と荻原はナショナルクラスのコースレコードを更新しました。
昨年の同じ場所での開幕戦では、昨年のナショナルチャンピオン山根が2分12秒446でコースレコードをマークしてのポールポジションでしたから、千田の10秒414は約2秒もレコードを更新しているんですね! ちなみに山根は昨年のこの大会、決勝日朝のフリー走行だったかな、そこで非公式ながら11秒に入れていましたから、そのタイムも更新した、ってことになります。
JP250は、予選→決勝とワンデーで行われますから、午前の予選に続いて、午後に10周の決勝レース。スタートで飛び出したのは千田で、野村、荻原に高橋匠(bLU cLU NORICK&RankUpレーシング)が予選3列目7番手から好スタート。千田はオープニングラップからぐいぐい2番手以下を引き離します。野村と荻原が2番手争い、中沢と高橋が4番手争いをする間に、千田はさらに2番手以下を引き離し、1周でもう2番手を1秒近く離します。
2番手争いは野村vs荻原、4番手以下には中沢と豊原の争いに小室旭(SUNNY MOTO KTM JP250 TEAM)が加わります。小室とは、もちろんJ-GP3マイスターとも呼ばれるベテランで、全日本ロードへの本格参戦は21年でいったん区切りをつけていましたが、1年間のブランクを経てJP250クラスに復帰……といっても、もてぎやつくば、SUGOへのスポット参戦なんだそうです。JP普及の伝道師役を買って出てくれているんですね。
トップ3は千田→荻原→野村の順で周回し、4番手争いに小室→中沢→豊原といった顔ぶれ。トップが逃げ、2番手争いが2台、4番手争いが3台、7番手争いが土岩直人(SHINライディングサービス)、田中啓介(bLU cLU GBSレーシング)、桐石世奈(Challenge Foxレーシング)、飯高新悟(KIJIMA KISSレーシングチーム)の4台といったところがトップ10です。
レースは周回が進み、やはり千田が後続を引き離して独走。レース折り返しの5周目終了あたりで、その差は約4秒。野村と荻原が順位を入れ替えながら2番手争い、4番手争いが中沢と小室、豊原で中沢が徐々にリードし、その後ろの4台が集団に近づいている感じですね。
レースは結局、このまま千田が逃げ切ってJP250デビューウィン! 2位は野村vs荻原の争いのなか、最終ラップの90度コーナーで荻原が野村を差してフィニッシュ。このふたりがナショナルクラスのライダーのため、総合4位の中沢、5位の豊原がインタークラスの表彰台を獲得した一戦となりました。ナショナルクラスの3位は中学3年生の飯高です。
JP250デビューウィンを飾った千田は栃木県宇都宮出身の19歳。J-GP3クラス→ST600クラスを経て、今シーズンからJP250に参戦するライダーです。
本職はチーム名でもわかる通りSDG=昭和電機グループの社員で、昭和電機・柏木社長にお話を伺ったところ「前に僕が乗っていたCBR250RRあるから、それ乗って成績残したらアジア選手権に連れて行くよ、ってハッパかけてるんです。まず全戦ポールtoウィンでね!」なんだって(笑)。今シーズンはアジア選手権AP250にフル参戦する石井千優に帯同して準備を進めるんだそうです。
22年は中村龍之介22歳、山根昇馬15歳というヤングライオンが選手権を支配したシーズンでしたが、今年は「打倒CBR」勢が増えたことで、マシンも多い、もっとシビれるクラスになっていきそうですね!
写真/小縣清志 中村浩史 文責/中村浩史