中須賀 通算80勝の金字塔
2023年の全日本ロードレース第2戦・鈴鹿2&4大会で、ヤマハファクトリーレーシングの中須賀克行が2レースとも優勝を決めました。その後の菅生大会で、チームメイトの岡本裕生に敗れてしまいますが、これで中須賀は2021年開幕戦からの連勝が「27」でストップ。しかし、そこまでに積み上げた勝利は、実に80勝を数えました!
中須賀は2004年にGP250クラスで初優勝、05年にJSB1000クラスにステップアップすると、07年にJSB1000クラス初優勝。それからの80勝は、これ正式に記録は残されていないんですが、おそらく日本ロードレース最多勝! 連勝がストップした菅生大会では、レース2で優勝し、現在の勝ち星は「81」です。
この区切りの優勝を記念して、中須賀が着用するレザースーツメーカー「ヒョウドウプロダクツ」(=HYOD)で、中須賀のサイン会&写真撮影会が行なわれました。HYOD浜松店での開催は6月25日と、全日本ロードレース・筑波大会と重なっていたので取材にお邪魔できませんでしたが、7月2日にHYOD東京店でも開催される、ってことでお邪魔してきました^^
イベントは13時スタートで、来場したみなさんが思い思いのモノにサインしてもらえる、っていうもの。HYOD側でも、HYODライダー総出演のサイン帳やロゴ入り色紙を用意してくれたり、このイベント用に製作した「80勝記念Tシャツ」を80着限定で発売したりと、たーっぷり時間をとってのサイン会となりました。
ファンの方々が用意したのは、HYODのTシャツやYAMAHAのキャップ、さらには中須賀レプリカのアライヘルメットや、なんと中須賀レプリカっぽいHYODレザースーツを着てきて、それにサインお願いします!って方もいらっしゃいました。この方、もちろん愛車はYZF-R1で、歴代のR1を乗り継いでいらっしゃるそうで、サイン会終わりに中須賀も「見せて見せて!」って駐輪場までお邪魔したほどでしたね。
サイン会が終了したら、参加者のみなさんとツーショット撮影会。普段はサーキットで、しかも限られた時間でしか会えない中須賀と、ゆっくりお話をしながらサインしてもらって、ゆっくり写真にも納まることができる、という貴重な時間になりました。
と、撮影会も終わったところで中須賀から提案がありました。
「まだちょっと時間があるんで、お話でもしましょうか~!」
あれま、急きょのトークショー開催です。
「何か聞きたいことあったら何でも答えます~」だって!
ファンの方の質問――中須賀さん、今年の8耐は、発表ありませんでしたけど?
中須賀「今年はお休みです。YARTのみんなが頑張ってくれているし、こないだはスパ24時間耐久でも優勝しましたから、その勢いで鈴鹿もトップチームとしてお任せしようかと。ヤマハのサポートもYARTに集中です」
――その間、中須賀さんは?
「トレーニングしまくりです。僕、あんまりトレーニングしてるイメージないでしょ? やってるんですよー(笑)。基本はテストでマシンに乗るのがメインなんですが、乗らない時には毎日ランニングしてます、持久力ですね。僕、ウェイトとかやらないで、とにかく走ります。毎日、そうですね15キロ、20キロとか。毎日ひとりで走り続けるって、これけっこうシンドいんですよ。ひとりでやるからサボろうと思えばサボれるし、行きたくない日だってある。それを毎日やり続けるのがメンタルのトレーニングにもなるんですよ」
――いまMotoGPマシンのテストもやってると思うんですが、ヤマハの調子が……。
「そうですねぇ、ドゥカティにやられっぱなしですけど(笑)。でもね、ヤマハもチームもめっちゃがんばってて、もちろんクワタロー(注:ファビオ・クアルタラロ)も頑張ってます。テストでもいいモノをトライしてるんで、このあとまたドゥカティやっつけます! 期待しててください」
――今までいろんなGPライダーと触れ合ったと思うんですが、こいつはすごい、と思ったのは?
「もう、みんなですよ。MotoGPライダーって、世界に20人くらい? もう、アタマのネジが何本か抜けちゃってる(笑)。ホルヘとかバレンティーノなんかしばらく密に付き合ってましたけど、データ見ると、とんでもないことしてるんです。データっていうのは、ここでこういう操作をして、この地点でブレーキをかけて、こういうライン走ってる、ってわかるんですが、僕なんかにしたらありえない。このスピードで何度のバンク角で何km/hで脱出してるとか、そんな人ばっかりなんです。クワタローなんて、人より何mも深いところまで突っ込んでブレーキがつんと握って、握ったまま同時にアクセル開けていくんですよ! 意味が分かんない」
――全日本では後輩の岡本選手に負けちゃいましたね。
「いやぁ、いつかは負けますって(笑)。ユウキは、JSB1000が2年目なんですが、マシンに対するコメントが、どんどん自信ついてきてる。特に菅生は彼すごく得意で、JSBデビューイヤーでも僕ギリギリでしか勝てなかったの。そして今年は、もうウィーク初日から持ちタイムが速くて、なんとか抑え込みたかったんですけどね。1回パスされて、そのままついて行きたかったけど、だめでした。でも、ユウキには僕のすべてを見せているから、マシンに関して、走り方について聞いてきたら何でも答えるし、レースへの取り組みかたからなにから、すべて隠してない。負けたのは眠れないくらい悔しかったけど、ユウキになら負けて少し嬉しかった。もちろん、レース2ではやっつけましたけどね!(笑)」
08年にJSB1000クラスで初チャンピオン、それから09年にかけてV2を達成し、2012年から5連覇して、18年からまた2連覇、21年からまた2連覇で、合計V11。キャリア81勝という金字塔を打ち立てている最中の中須賀は、文句なく日本のロードレース史に残るライダーです。
――次の目標はいかがですか?
「うーん、あと何年、現役でいられるかわかりませんけど、2年?3年?100勝したいですね」
実は中須賀、こういうイベントで会えるチャンスって少ないライダーなんです。レースウィークでは、例えばピットウォークなんかでライダーとファンの触れ合う時間帯はあるんですが、実は中須賀、たーーっぷり時間をかけてレース準備をするので有名で(笑)、ピットウォーク後に決勝レースがあるようなスケジュールでは、なかなかピットウォークのサイン会なんかにも出られないんです。
「僕、けっこうレアキャラだっていわれてますから(笑)」って本人も言ってるし。
このイベントに向けて限定80枚だけ製作された写真の記念Tシャツ、このクマというかアライグマに見えるキャラクター、実はヒョウドウプロダクツの社長さんがイメージした中須賀のキャラなんだそうです。その記念Tシャツに、実はこっそりメッセージも隠されていたんですね。ローマ字のところ、読んでみて。
ちなみにこのサイン会&写真撮影会、きたる7月9日(日曜日)にも、HYOD福岡店で行なわれる予定です! ぜひぜひ、聞きたいことを用意して、急きょトークショー、開いてもらっちゃって!
HYOD福岡店→ 福岡県福岡市博多区西月隈2丁目1-33
写真・文責/中村浩史