第4戦オートポリスに横江&井吉の台風直撃!

6月の筑波大会以来のレースとなった全日本ロードレース・JP250クラス。ここまでもてぎ大会/SUGO大会/筑波大会を終わっての、JP250にとっては第4戦となるレースですね。
今大会は、台風接近のニュースがあるなかでの大会ということがあって天候が心配されましたが、ウィークの事前練習こそ雨に振られたセッションがあったものの、きょう9/2土曜の決勝レースは曇りのまま、ドライコンディションで行なわれました。
ここまでの3戦を終わってのランキングは以下の通り。なお、インター(=I:国際ライセンス)クラスとナショナル(=N:国内ライセンス)クラスが混走のため、参考の総合順位です。

JP250 総合ランキング
       (3戦終了時:参考順位)    
1 N  荻原羚大 CBR250RR  70p
2 I 千田俊樹 CBR250RR  45p
3 N 飯高新悟 CBR250RR  35p
4 N 高橋 匠 YZF-R3    34p
5 I 小室 旭 KTM RC390 30p
6 I 中沢寿寛 CBR250RR  28p
7 N 野村唯人 CBR250RR  26p
8 I 横江竜司 YZF-R3    16p
9 I 豊原由拡 CBR250RR  16p
10 I 桐石世奈 CBR250RR  16p
  順位の後ろのN=国内ライセンス/I =国際ライセンス

画像: アジア選手権AP250のカワサキ日本勢のエース井吉亜衣稀がスポット参戦。APでは2気筒のNinja250で参戦していますが、今大会は4気筒マシンZX−25Rでの参戦となりました

アジア選手権AP250のカワサキ日本勢のエース井吉亜衣稀がスポット参戦。APでは2気筒のNinja250で参戦していますが、今大会は4気筒マシンZX−25Rでの参戦となりました

そして、今大会の注目はスポット参戦勢。とはいえ、JP250は全日本選手権格式とは違うMFJカップですから、フル参戦もスポット参戦もないんですが、まぁいつもと違うメンツ、ということでご理解ください^^
その注目の筆頭は、アジア選手権AP250に参戦しているカワサキ日本勢のエース、井吉亜衣稀(=あいき、と読みます)。以前にもこのWebオートバイで「Ninja ZX-25Rデビューウィン」てな記事で登場<www.autoby.jp/_ct/17411926>したこともありますね。キヨさんこと清原明彦さん、つかもっさんこと塚本昭一さん、同じくカワサキ若手の岩戸亮介と組んでのSpa直入でのレースでした。

さらにもう一人は、全日本GP250/ST600ダブルチャンピオンの横江竜司。横江は、地元SUGOのレースによくスポット参戦していることでお馴染みですが、SUGO以外に久々の出場です。
「今シーズンは鈴鹿に出ないから、ここオートポリスか岡山国際、どっちかに出たいなぁ、と思っていたら、じゃぁ両方出ようよ、ってチームが準備をしてくれて(笑)。オートポリスは8年ぶりかな、ST600以来ですよ。ST600とJPじゃ全然乗り方違うんだよねぇ」(横江)

画像: JP250の最強チームといえばチームTEC2 ゼッケン62が横江のYZF−R3で、99と24はCBR250RRです

JP250の最強チームといえばチームTEC2 ゼッケン62が横江のYZF−R3で、99と24はCBR250RRです

公式予選→決勝レースが1Day で行われるJP250クラス。土曜朝に行なわれた公式予選では、横江竜司がポールポジションを獲得。2番手に千田俊樹、3番手にナショナルライセンスの高橋匠が続きます。YZF-R3とCBR250RRの戦い、本格化してきましたね。
「やっぱり300ccってことで、コース後半の上りセクションではCBRの250ccよりトルクがある分、速いかな、って感じはしますね。ただし、ストレートはまだCBRのほうが速い。でも良い戦いができると思いますよ」(横江)
さらに4番手にはZX-25Rをライディングする井吉がつけます。井吉は、いつもアジア選手権で乗っているNinja250ではなく、4気筒のZX-25Rでのエントリーです。
「CBRとR3と比べて、まだレーシングマシンとして煮詰められていない感じがしますね。重さも感じるし、低回転で思ったようにトルクがツイてこない感じ。そこはアジアで乗っている2気筒のNinjaの方が慣れてるんだと思います」(井吉)

画像1: 第4戦オートポリスに横江&井吉の台風直撃!

雨が心配されたオートポリスですが、厚めの雲ながら雨はなし。決勝レースは、ポールシッターの横江がホールショットを獲得し、千田、高橋、飯高、久川というメンバーが前を伺うなか、横江、千田、高橋の3台がやや抜け出し始める。その3台の中、横江と千田がバチバチのトップ争いを展開。高橋はずっとこの2台の背後につけ、スキあらばいつでも前に!のポジション。4番手に久川、5番手に飯高がつけ、周回がスタートします。

画像: 横江につづくR3ライダーといえば、NextProjectの高橋匠 bLUcLU_R3カップでも最上位につけています

横江につづくR3ライダーといえば、NextProjectの高橋匠 bLUcLU_R3カップでも最上位につけています

トップ争いは千田のCBRと横江のR3のバチバチ。メインストレートで千田が前に出れば、1〜2コーナーで横江が前に出る、の連続。やはりマシンが違うと、速い場所と遅い場所が違いますね。千田がCBRのトップスピードを活かせば、横江はGP250/ST600ダブルチャンピオンの貫禄でスキあらばパッシングにかかる。特に1コーナーを抜けたあとの2〜3コーナー、それとコース後半の上り区間で横江が速いです。
ときに接近戦、ときにクリーンな抜き合いを見せる、見ごたえあるトップ争いです。高橋は、そのふたりの走りを一番近い場所で見ていますね。これがのちのちの高橋の財産になっていくんです。

画像: 筑波大会をノーポイントで終えたものの、優勝→2位とランキング2位につけている千田俊樹 予選でも横江に続く2番手につけました

筑波大会をノーポイントで終えたものの、優勝→2位とランキング2位につけている千田俊樹 予選でも横江に続く2番手につけました

トップ3台の後方では、5〜6番手でオープニングラップをスタートした井吉が徐々にペースアップ。このレースのベストラップをマークしながらポジションを上げていきます。4周目には飯高がジャンプスタートを取られてライドスルーペナルティを消化する間に、4番手を走る久川に迫り、4番手争いは久川と井吉の争いとなります。

画像: レースは横江がリード、千田が何度もパッシングを見せ、高橋がその後方につける展開が続きました

レースは横江がリード、千田が何度もパッシングを見せ、高橋がその後方につける展開が続きました

横江と千田が何度もポジションを入れ替えながらトップ争い、ずっとその後方につける高橋という3台が抜け出し、その2秒弱後方に4番手争いをする久川と井吉。5周目には井吉が久川をパスして4番手に浮上します。
そしてレースは終盤へ差し掛かる7周目へ。周を重ねるごとに激しくなるメインストレートでの千田と横江のトップ争い。オートポリスの長いストレートでどちらかが前、どちらかがスリップにベタづけして、スリップから抜け出しての1コーナーのツッコミ争いを重ねるうち、とうとう接触が起こってしまいます。
横江が前、その背後にいた千田が1コーナー侵入で前に出ると、1コーナーの脱出から2コーナーへの侵入でいつも逆転していた横江が千田のインにつけると、そこでアウト側の千田と接触!
弾き飛ばされた千田は転倒、横江は走行を続けると、この接触は審議の対象になるものの、レーシングアクシデントと判断され、双方にお咎めはありませんでした。

画像: レース中盤すぎに、横江と千田が接触し、千田が転倒。レースは横江が高橋をじりじり引き離し、その後方にセカンドグループから勝ち上がってきた井吉が迫ります

レース中盤すぎに、横江と千田が接触し、千田が転倒。レースは横江が高橋をじりじり引き離し、その後方にセカンドグループから勝ち上がってきた井吉が迫ります

横江が接触しながらもトップをキープ、しかしその後ろにいた高橋がここぞ!と横江に迫りますが、横江もなかなか譲りません。8周目の1コーナー侵入で、ついに高橋が前に出ますが、横江はクロスラインで再び前へ。結局、このトップ争いはここで決着。横江がじりじりと高橋を引き離します。
そして、その高橋に今度は井吉が襲いかかり、9周目のメインストレートで井吉が2番手に浮上。高橋はそのまま逃さずに井吉の背後にびたづけ、一度は逆転を見せますが、井吉が高橋を抑え込み、2位でフィニッシュ。3位の高橋は、横江、井吉がインタークラスライダーのため、ナショナルクラス優勝となりました。

画像: 負傷明けの復帰レースとなった久川鉄平を追い詰める井吉 レース中盤からのタイヤマネジメントがうまくいったかんじでした

負傷明けの復帰レースとなった久川鉄平を追い詰める井吉 レース中盤からのタイヤマネジメントがうまくいったかんじでした

3位フィニッシュの高橋に続いたのは、ナショナルクラスライダーの久川、野村。この3人をはさんで総合6位に入ったのが、インタークラス3位の太田達也というレースとなりました。
これでレースは岡山大会、鈴鹿MFJグランプリの2レースを残すのみ。特にこのオートポリス大会で千田が転倒ノーポイント、荻原羚大、小室旭、中沢寿寛が欠場したことで、ポイントランキングも大きく変化。引き続き荻原がランキングトップをキープするものの、高橋が千田をぬいてランキング2位に、このレースを勝った横江がランキング8位から4位にジャンプアップ。5−6位の小室と中沢が7−8位にランクダウンしたレースとなりました。

画像: 序盤は6〜7番手だった井吉は、とうとう最後に高橋を抜いて2位フィニッシュ

序盤は6〜7番手だった井吉は、とうとう最後に高橋を抜いて2位フィニッシュ

CBR一強から、YZF−R3が躍進してのCBRとR3の一騎打ちとなり、そこに徐々にですが4気筒マシンZX−25Rが加わって来始めたJP250クラス。次戦の岡山大会は昨年、そのZX−25Rが初優勝を挙げたレースです!
次戦岡山大会は9月23〜24日です!

画像: 菅生大会で3位、そしてこのオートポリスで優勝と、暫定ランキングでは4位に上がってきた横江

菅生大会で3位、そしてこのオートポリスで優勝と、暫定ランキングでは4位に上がってきた横江

画像: 上位ランカーの中では唯一とりこぼしなくレースを消化している高橋 まだ15歳!

上位ランカーの中では唯一とりこぼしなくレースを消化している高橋 まだ15歳!

残念ながら井吉の4気筒にかわされ、総合3位(それでもクラス優勝!)でフィニッシュした高橋ですが、ヤマハが進める「bLUcLU_YZF−R3カップ」のトップポジションにつけています。その高橋、レース後に捕まえてお話を聞いてみました。
ーーずっと横江と千田の後ろでレースしてたね。
高橋「序盤はそのふたりの後ろ、千田さんが転んでからは横江さんをなんとかパスしようとしたんですが、やっぱり速いです。なんとかついていけたら、と思ったらジリジリ遅れちゃって、そのうちZX−25Rに追いつかれちゃって……」
ーー4気筒はやっぱり速い?
「けっこうイイ音ですよね(笑)少し離しててもあの音がするんで、あれ、もう近いのかな、あ…まだなのか、と思ってたら追いつかれちゃって。抜かれたのはストレートです。まだまだ最高速ではCBRに負けてるな、と思っていたら、ZX−25Rにも負けてます」
ーーその代わり、R3の強みもあるでしょ?
「そうですね、やっぱり排気量がある分だけ、後半の上りセクションでは前に出ますね」
ーー今日は総合3位とはいえ、ナショナルクラス優勝。ひとまずここまでいい流れだね。
「そうですね、大きな失敗なしに来ていると思います。残り2戦もトップ争いをして、総合優勝も狙ってみたいです。ここオートポリスは、事前練習で1回走っただけだったんですが、難しいけど楽しいコースですね。タイヤに厳しかったり、予選と決勝で路面の感じが違っていたり、いろいろ勉強になりました!」
ーーレース前、(横江)竜司が「俊樹と匠がくるでしょう。マークしてます」って警戒してたぞ。
「ホントですか? だったらもう少しついていかないとなぁ。次もっとがんばります」

その横江は「練習とか予選で(高橋)匠を引っ張ってあげてたのに、どんどん勝手に速くなっちゃうんだもん(笑)。最後、なんとか抑えたけど、もうおじさんギリギリだよー」と笑ってました。

次戦・岡山大会も横江が出場予定。ランキングもまだまだ大きな変動がありそうです。

画像2: 第4戦オートポリスに横江&井吉の台風直撃!

写真・文責/中村浩史

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