JSB1000とST600は2レース制

この週末、5月25~26日には、宮城県・スポーツランド菅生で全日本ロードレース第3戦が行なわれます。第2戦のモビリティリゾートもてぎ大会から1カ月以上が空きました。季節は、春先から初夏に移り変わろうとしていますね。この週末は、土曜、日曜とも初夏を思わせる好天の予報ですね。この季節の晴れた菅生、気持ちいいんですよねぇ。
さて、いいコンディションで迎えられそうな菅生大会ですが、1シーズンを考えると、これがJ-GP3クラス以外の、全日本ロードの前半戦ラスト。次戦の第4戦は筑波大会で、開催クラスはJP250/J-GP3のみ。JSB1000の次のレースは8/24-25のもてぎ2&4、ST1000/ST600の次のレースは9/7-8のオートポリス大会まで待たなければなりません。7月19~21日に鈴鹿8耐があるとは言え、ちょっとレース数少ないですねぇ。

JSB1000クラスは中須賀vs水野だけじゃない!

画像: ここまで3レース、中須賀、岡本、水野の3人だけがJSBクラスの表彰台に立っています

ここまで3レース、中須賀、岡本、水野の3人だけがJSBクラスの表彰台に立っています

さて、その菅生大会の見どころです。JSB1000クラスは、今シーズン最大の話題となっている、水野涼(ドゥカティTEAMカガヤマ)の初優勝への期待ですね。
さんざん話題にしたように、水野のマシンは2023年のWSBKチャンピオンマシン。これが、V12を達成した日本の絶対王者、中須賀克行(ヤマハファクトリーレーシング)をいつ打ち負かすか、というのが24年シーズンのJSB1000クラス最大の目玉となっているのです。
もちろん、迎え撃つ中須賀も絶好調! 水野+パニガーレV4Rが出現してからは「涼が速いとこっちも燃える! レースのレベルがグンと上がったのがうれしいし、その上でドゥカティをやっつけます」と燃えているため、水野の野望、そして日本のロードレース最高峰クラスでの外車の優勝は、なかなか簡単にはいきそうもないのであります。
ちなみに5月14~16日に行なわれた公開事前テストでは、中須賀のチームメイトである岡本裕生がトップタイムをマーク。岡本はSUGOを得意なコースとしていて、昨年のこの大会で、ついに中須賀を破っていますから、今年もその再現を狙っているでしょうね。
もちろん、SUGOはヤマハのホームコースということもあって、中須賀もSUGOを得意としているし、今シーズンからAstemoホンダに移籍した野左根航汰も、ヤマハ時代にはここSUGOと得意としてきましたから、この菅生大会は中須賀に向かって、水野、岡本、野左根が勝負を挑む――そんなレースになりそうです。

画像: WSBKチャンピオンマシンが来ても、日本最強は変わらない! ヤマハファクトリーデュオ!

WSBKチャンピオンマシンが来ても、日本最強は変わらない! ヤマハファクトリーデュオ!

ST1000クラスは絶好調の國井に岩戸が来た!

画像: 國井、作本、國峰の順で表彰台に乗ったもてぎ大会

國井、作本、國峰の順で表彰台に乗ったもてぎ大会

ST1000クラスは、開幕戦もてぎ大会をスイープした國井勇輝(SDGチームハルクプロ)がターゲットですね。ここに挑むのはJSB1000クラスからST1000クラスにカムバックした作本輝介(AstemoホンダドリームSIR)に、國峰啄磨(TOHOレーシング)という、もてぎ大会で表彰台を独占したホンダ勢、そこにもてぎ大会ではジャンプスタートから黒旗を提示されて失格となった荒川晃大(モトバムホンダ)か絡んできそう。
開幕戦を圧倒した國井は、このSUGO大会から2024年型CBR1000RR-Rを使用。開幕戦は、マシンデリバリーからの準備が整わないのと、ダブルエントリーするアジア選手権でも使用することから、23年モデルを使用していましたね。
この23→24年モデルへの乗り換えについては、少なからず乗り換えに苦労しているライダーがいることから、國井の連勝もそう甘くはなさそうです。ちなみに事前公開テストでは、岩戸亮介(カワサキプラザレーシング)がトップタイムをマークし、そのタイムが非公式ながらコースレコードだったことで、ライバル陣営からマークされ始めていますね。
この菅生大会は國井に作本と國峰、荒川、それにヤマハ勢で元気のいい豊島怜(ドッグファイトレーシングJDS)と井手翔太(アケノスピードRC甲子園)にも注目です。

画像: アジア選手権にも参戦中の國井 24年モデルのCBR1000RR-R初優勝なるか

アジア選手権にも参戦中の國井 24年モデルのCBR1000RR-R初優勝なるか

ST600は阿部恵斗が鉄板!

画像: ゼッケン1も誇らしい阿部 チーム名はスクアドラ・ティグレ・タイラプロモートです

ゼッケン1も誇らしい阿部 チーム名はスクアドラ・ティグレ・タイラプロモートです

全日本ロード有数の激戦クラス、と思ったら、開幕戦では阿部恵斗(スクアドラティグレ タイラプロモート)が2位以下を5秒3も引き離すブッチギリを見せ、2位の長尾健吾(TEAMけんけんYtch)も、鈴木光来(モトバムホンダ)を振り切った伊達悠太(アケノスピードMAVERICK)を5秒以上引き離す結果となったST600クラス。このクラスは、もてぎ大会でヤマハ勢が表彰台を独占し、TOP10のうち7台がYZF-R6だったことから、ホンダ勢の奮起が待たれていますね。
けれど、事前公開テストでも阿部が最速タイム! ST600はこれまでのコースレコードが、2019年に荒川晃大が記録した1分30秒442だったんですが、阿部は今回の事前テストで、なんと1分29秒692をマーク! おそらく600ccのマシンが1分30秒の壁を破ったのは、これが初めてのことなんじゃないかな。2000年代初めの750ccのワークススーパーバイクがこれくらいのタイムでしたね……。それが600ccの市販車ベースマシンが……。
菅生大会は阿部が鉄板! 昨年のレース1で表彰台に立った長尾けんけん、やはりYZF-R6を駆る伊達悠太が対抗になるでしょうね。

画像: もてぎ大会はポールtoウィンの阿部 ちょっとレベルが抜け出ています

もてぎ大会はポールtoウィンの阿部 ちょっとレベルが抜け出ています

尾野はどうしたJ-GP3!

画像: もてぎ大会でも接近戦を繰り広げたJ-GP3クラス

もてぎ大会でも接近戦を繰り広げたJ-GP3クラス 

V3チャンピオン尾野弘樹(プラスμ7Cゲイルスピード)が表彰台に乗れない、という意外な開幕戦を終えたJ-GP3クラス。その尾野を破った若松怜(日本郵便docomoビジネスTP)と木内尚汰(Teamプラスワン)がシリーズの主導権を握ろうとする中、公開事前テストでは木内がトップタイム、2番手に若松、そして尾野が3番手。やはり、この3人を軸にシリーズが進んでいるようです。木内21歳、若松18歳という若い力を、31歳の尾野がいかに抑え込むか――が焦点ですね。23年のこの大会では、スポット参戦の15歳の池上聖竜がポールポジションを獲り、決勝では尾野が池上を抑えた、ってレースでしたね。
もてぎ大会はシーズン初戦ということで、探り探りでセットを決めきれなかった尾野が、木内と若松を迎え撃つ、そんな菅生大会になりそうです。

画像: もてぎでは若松、木内、荻原の順で表彰台 スポット参戦の荻原(右)はアメリカ武者修行中です!

もてぎでは若松、木内、荻原の順で表彰台 スポット参戦の荻原(右)はアメリカ武者修行中です!

直前にひとイベントはじまります!

そして今回からの試みとして、ライダーのプレスカンファレンスを公開するようです。登場するのは、中須賀克行、水野涼、長島哲太、須貝義行らで、@MFJ JRR News で5/23(木曜日)17時からライブ配信するようです。アーカイブ配信もあるようなので、ライブで見逃した人はぜひ!

写真・文責/中村浩史

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