第4戦筑波は1Day開催です!
5月最終週、25~26日には、宮城県・スポーツランド菅生で第3戦が行なわれた全日本ロードレース。その第4戦が、6月16日に茨城県・筑波サーキットで行なわれます。
この筑波大会は、他大会と違ってJ-GP3クラス、JP250クラスのみの開催。というのも、コースレイアウトやランオフエリアの狭さから、ST600/ST1000/JSB1000クラスが開催されないためで、全日本ロードレースとしてはJ-GP3のみ、MFJカップ戦としてJP250クラスのみが行なわれるのです。さらに併催レースとしてマイスター250、Over60Kid’s、ダンロップ杯HRC筑波60分ミニ耐久ロードレース、さらにポケバイエキシビジョンレースが開催されます。
ここまでのJ-GP3とJP250クラスはもてぎ大会、菅生大会と2戦を消化。どちらのクラスも、本命不在を思わせるような混戦でのレースが進んでいます。
まずJ-GP3クラスは、V3チャンピオン尾野弘樹(P.MU 7C GALESPEED)が開幕戦でまさかの表彰台を外すという予想外の発進。
「開幕戦では、その前に参戦したアジア選手権でマシントラブルからの転倒があり、ろっ骨を痛めて、体調が万全じゃなかったんです。ケガを理由にはしたくないんですが、予選からレースまでになかなかセットアップが進まず、ホント悔しいレースになってしまった。それで第2戦の菅生に向けて準備をして、ポールtoウィンができて本当に良かった。菅生大会は予選までなかなかマシンが決まらずに、チームのみんなとじっくり話して、日曜朝のウォームアップでようやくまとまった感じでした。これからまた、尾野弘樹劇場を始めていきます!」(尾野)
尾野は開幕戦こそ4位に終わったものの、第2戦・菅生大会ではポールtoウィンを達成。それも、ホールショットを獲得、木内尚太(Teamプラスワン)、若松怜(日本郵便docomoビジネスTP)というJ-GP3クラスのヤングタイガーを抑え切っての優勝でした。
その尾野を捕えたいのが、開幕戦で優勝、菅生大会でも2位に入った若松と、開幕戦は2位、菅生大会でも3位に入った木内でしょう。若松は23年の岡山大会でキャリア初優勝を達成、木内は22年にランキング3位、ランキング4位となった23年には、最終戦で鮮やかに尾野を破ったレースがありました。文句なく、この3人が現在の日本の軽量級レースのTOP3です。
そしてこの筑波大会には、注目のライダーがひとり。それが23年のJP250・ナショナルクラスチャンピオン荻原羚大(WJ-FACTORY)で、荻原は前戦菅生大会を欠場したのですが、実はその間にアメリカ修行に出ていて、帰国すぐにモビリティリゾートもてぎで行なわれたアジア選手権・日本大会、AP250クラスに出場し、レース2で2位表彰台を獲得。昨年の筑波大会は、JP250クラスで独走優勝。今シーズンはJ-GP3クラスにステップアップ、デビューレースのもてぎ大会では3位表彰台を獲得しているのです。
筑波のJPはアツいぞぉ!
そして本誌イチオシのJP250クラスですが、筑波大会は最終戦鈴鹿と並んで、JPの晴れ舞台。それは、もともとJP250クラスのベースになったST250やネオスタンダード、CBR250Rドリームカップがイチバン盛っていたサーキットだからです。
今シーズンのJP250はここまで、久川鉄平(bLUcRU Webikeチームノリック)が2連勝。昨シーズンからの戦いでは、飯高新悟(KIJIMA KISSレーシング)とバチバチの戦いを展開しているのですが、もうひとりの注目が斎藤太陽(SDG N-PLANレーシング)です。
斎藤は15歳。22年にスタートしたMiniGP日本大会に参戦していて、それ以前には小学生の頃から全日本ライダーの元でトレーニングを積んでいたヤングタイガー。23年にはアジア選手権TVSワンメイクに参戦、全日本ロードレースには24年にデビューです。そのデビュー戦では公式予選でコースレコードを更新してポールポジションを獲得。2番手が飯高、3番手が久川でした。
その開幕戦の決勝レースでも、斎藤、飯高、久川がレースをリード。しかし、レース終盤で斎藤が転倒し、飯高→久川の順で赤旗が提示されてレースはフィニッシュ、だと思ったら赤旗ルールで「1周前の順位」が決勝結果となり、久川が優勝、飯高が2位でフィニッシュしたレースでした。
そして第2戦では、公式予選でまたも斎藤がポールポジションを獲得。久川が2番手につけて、飯高は9番手に沈みましたが、これにはひとつワケがあって、飯高は今シーズンから、J-GP3クラスとダブルエントリーをしているんです。
「JP250とJ-GP3の乗り換えは、いい効果があったり、影響があったりです。JPに乗るとGP3で思い通りにマシンをコントロールさせられたり、GP3からJPに乗り換えると自由自在に走れたり。どっちがいい、ではないんです」と飯高。飯高の所属するキジマでは、JP250クラスだけに参戦していく予定だったものの、飯高がGP3にも出たいという熱意に負け、走る環境を用意してくれたのだといいます。実はチーム名も、GP3は「KIJIMA KISSレーシングクラブ」なんですね。これ、バリバリ伝説でグンが最初に所属したIRCとIRTみたいで、キジマのサポート体制がよく表れていますね。わかんないひと、調べてみて(笑)。
そして菅生の決勝レースでは、久川が2番手グリッドからホールショットを獲得すると、後方につけた斎藤が、なんとコース前半で転倒! 2戦連続ポールポジションからの、2戦連続ノーポイントに終わってしまったのです。
結局、菅生を制したのは久川。2位に野村唯人(MTR+シンライディングサービス)、3位に土岩直人(シンライディングサービス)が入りました。飯高は後方スタートが響いてか、4位まで追い上げるのが精一杯でした。
「もてぎでも菅生でも斎藤君が速いのは分かっていました。だからレースでは最初から前に出よう、ガツガツ行こう、と思ってました。後ろで斎藤君がころんだのは気づかなかったんですが、それで2番手以下と大きく差をつけることができて、勝つのは当然、自分でテーマを持って走ろう、と最後までペースを落とさないレースを心がけました。開幕2連勝ができたので、筑波からはもっと落ち着いて走れるかな」とは久川。
2戦連続転倒の雪辱を狙ってくる斎藤か、J-GP3との相乗効果でスピードを見せる飯高か、開幕3連勝を狙う久川か――が筑波大会の焦点になりそうな気がします。あとは筑波と言えば忘れちゃいけない、筑波をホームコースとする中沢寿寛(iファクトリー&Mガレージ)、KTMのRC390で23年の筑波大会を制した小室旭(サニーモトKTM JP250)にも注目です。
筑波大会は開催クラスが少ないこともあって、6/16(日曜)の1Day開催。15日(土曜)はJ-GP3とJP250の特別スポーツ走行だけですから、ファンの方はお間違えなく! 公式予選と決勝レースだけ見るなら日曜のみ、ライダーと触れ合いたいなら土曜も行かなきゃですね♪
写真・文責/中村浩史