梅雨入り前の気温上昇戦闘熱上昇!
この週末は筑波サーキットで、全日本ロードレース第4戦・筑波大会が行なわれました。梅雨入り前にカラリと晴れた週末、土曜夜から日曜朝には雨が降ったものの、日曜に行なわれた決勝レースはすべてドライコンディション。観客の皆さん、ライダーにチームスタッフ、それに関係者も僕らメディアも、モーレツに日焼けした週末となりましたね。いやぁ、暑かった^^
この筑波大会は、独自のフォーマットとして、全日本ロードの開催レースはJ-GP3とJP250の2クラスのみ。それに、併催イベントとしてマイスター250、OVER60Kid’s、HRCミニ耐久ロードレース、そしてポケバイレースエキシビジョン。とはいえ併催イベントについては、Over60Kid’s、HRCミニ耐久、ポケバイエキシビジョンは、まぁレース名でどういう内容なのかわからなくもないんですが、2022年にスタートしたマイスター250については、公式プログラムにも一切の説明なし。同じ排気量のJP250とどう違うの? と聞かれたら、要はJP250よりも公認車両が幅広く、スリックタイヤもOKというクラスです。今回はJPでは見られないZZ-R250なんてモデルも出場して、スリックタイヤを履いている車両も数台いました。
筑波大会は、この2クラス+併催4イベントを日曜日のみの1Dayで行なうという独自の試みで、これはこれでショートスケジュールとして定着していくのもいいなぁ、という感じがしてきました。なにも全日本ロードレースだからって、必ず土~日曜の2Dayで行なわなきゃいけない、なんてことないですから。先日行われた、ベルギー、スパ・フランコルシャン8時間耐久なんか、土曜日が決勝。日本にも「土曜日決勝」レースがあったっていいんだと思います。1Dayイベントって、日曜より土曜に開催する方が観るほうはラクだ、って意見もありますからね。
さて1Dayで予選-決勝が行なわれたJP250クラスですが、事前情報<www.autoby.jp/_ct/17704839>で紹介したとおり、ここまでもてぎ→SUGOと久川鉄平(bLUcRU Webikeチームノリック)が2連勝。その久川を追うのが開幕から2位→3位の飯高新悟(KIJIMA KISSレーシング)、そして決勝レースこそ2戦連続転倒に終わっていますが、今シーズンデビューの齊藤太陽(SDG N-PLANレーシングが2戦連続ポールポジション)と、この3ライダーが注目のマトとなっています。
「ここまで2レース連続で転んでしまっていて、まだ落ち着いてレースできていないというか、1レース分の距離での組み立てがまだできていないです。ひとりで走る分にはうまくタイムが出ているんですが、競り合いになると、どうしてもバタバタして、焦って転んでしまっています。筑波は23年にエリア選手権に出場していて、走り慣れているコースですが、好きなコースだけど得意じゃないというか。今回は、とにかく最後まで走り切る、が目標です」とは、デビューレースから2戦連続ポールポジションを獲った齊藤。
土曜のフリー走行では、久川→齊藤→岡田陽大(bLUcRUアケノスピード)→飯高→小室旭(サニーモトKTM JP250)→中沢寿寛(i-FACTORY&Mガレージ)がトップ6。
そして日曜午前の公式予選では、飯高新悟がポールポジションを獲得。齊藤が2番手、3番手は久川と注目の3人、そして4番手の岡田までがコースレコードを更新しました。
ポールシッター飯高は事前情報でもお伝えしたように、今シーズンはこのJP250とJ-GP3のダブルエントリー。つまり筑波大会の開催2レース、どちらにも出ているので、走行後にすぐ走行、と休む間もなく忙しそうでした。いやしかし、いい練習になっていると思うなぁ!
気温、路面温度ともぐんぐん上がっての決勝レース。飯高、齊藤が好スタートを見せる中、3番手スタートの久川がホールショットを獲得。久川→齊藤→岡田→飯高→小室というオーダーでオープニングラップがスタートします。序盤は小室がトップ争いをうかがって、CBR250RR対YZF-R3対RC390の戦い。こう見ると、CBRの2気筒250cc、R3の2気筒320cc、RCの単気筒390ccがうまく性能調整が図られているように見えます。何度か繰り返されたのは、バックストレートで小室のRC390が岡田のR3をパス、そうすると最終コーナーで岡田が抜き返す――ってシーン。マシンによって速い場所が違う、これがJPの面白さのひとつですね。
久川、齊藤、岡田がレースをリードしつつ、小室がこの3人に食らいつく展開。しかし6周目の最終コーナーで、またも小室と岡田がバックストレート→最終コーナーで抜き合いを演じているとき、岡田がイン側からアウト側の小室に接触。小室は弾き飛ばされて転倒してしまいました。これでレースは久川、齊藤、岡田の3人が4番手以降を引き離すこととなります。
レース中盤には齊藤が久川をパスしてトップに浮上。齊藤と久川のトップ争いになります。ちなみに齊藤は国内ライセンス、久川は国際ライセンス。これもJPの面白さですね。
トップ3台から少し離れての4番手争いは、土岩直人(シンライディングサービス)と小池亜久里(ランドスケープレーシング)、そして飯高。飯高はダブルエントリーしているJ-GP3のレース直後に、またJP250を走っています。J-GP3のレースが終わってすぐですから、JPのマシンに乗り換えてすぐ、レース序盤はなかなかペースがつかめないんだと思います。
レースが終盤に近付くと、久川が齊藤をパス。岡田が2台のスキをついて割って入る、という展開。久川がインにつけないと見るや、岡田がスパッとインを刺してトップに浮上、その後方から齊藤がトップ浮上をうかがう、という展開。岡田は自由自在にラインを変えて前にぐいぐい出てきますね。それで小室と接触したり、ヒヤッとするシーンが何度かありました。
するとレース終盤、第2ヘアピン立ち上がりで転倒車が出て、マシンがコース上に残ってしまったために赤旗が提示され、そのままレースは終了。そのひとつ前の周の順位が正式結果とされ、久川→岡田→齊藤の順でフィニッシュ。4位以降は土岩→小池→飯高の順で決まり、飯高は国際ライセンスクラス4位に終わったレースとなりました。
しかしレース後、岡田に「MFJ競技規則違反=他のライダーの走行を妨害する走行をしてはいけない」が宣言されて失格となり、これはおそらく小室との接触を指していたのだと思うんですが、これで総合順位では①久川②齊藤③土岩④小池⑤飯高⑥森山浬(かいり=bLUcRU Webikeチームノリック)となりました。
筑波というコースレイアウトもあってか、JP250はマシンの特性がよくあらわれるレースとなりました。印象的だったのは小室+KTM RC390のストレートの速さと、久川+YZF-R3のコーナリングスピード、齊藤+CBRの直線もコーナーもまんべんなく速い特性。筑波は最終コーナーからホームストレートに少し上り勾配がありますから、ここで320ccのトルクを生かしたR3の加速が目立っていました。もちろん、390ccと320ccに250ccで互角の走りをするCBRもスゴいです。
これでJP250はしばらくお休み。日本のロードレースが鈴鹿8耐に向かって突き進み、8耐明けのもてぎ大会は2&4でJSB1000クラスのみの開催となり、JP250の次戦は9月8日決勝のオートポリス大会となります。
久川鉄平 総合/国際ライセンスクラス優勝
「前日のスポーツ走行から暑い日が続いて、それでもしっかり走り切れるマシンを用意してもらっていたので、体力でもまいっちゃわないように頑張りました。事前のフリー走行、公式予選、そして決勝と、ずっといいフィーリングで走れて、いいレースができました」
齊藤太陽 国内ライセンスクラス優勝
「まずは完走できてよかったです。クラス優勝できたのは嬉しいけど、総合で3番手を走っている時に赤旗提示からレース終了で、ちょっと残念。次は総合優勝したいです!」
写真/小縣清志 中村浩史 文責/中村浩史