オートポリス、久々の全クラス開催です!
前戦のもてぎ大会は2カ月以上のインターバルがあっての開催だったというのに、この週末9/7~8はもう全日本ロードレース第6戦・オートポリス(=AP)大会が開催されます。
このAP大会は、第3戦・菅生大会ぶりの全クラス開催。JSB1000クラスは約10日前にレースしたばっかりなのに、J-GP3/ST600/ST1000クラスは、3カ月半ぶりのレースです。その間にあった鈴鹿8耐に出場していたライダーはまだしも、それ以外のライダーはまずはレース勘、取り戻さないと! ちなみに、この3か月半ぶりのレースだというのに、8月末に予定されていたAP大会の事前テストは、台風通過のために中止になってしまっています。無念!
AP大会の見どころは、何といってもJSB1000クラス、ついにドゥカティ・パニガーレV4Rで全日本ロードレース初優勝を遂げた水野涼(DUCATIチームカガヤマ)の連勝なるか、それともここAPで圧倒的に強い中須賀克行(ヤマハファクトリーレーシング)が反撃を喰らわすか――。
なにせ中須賀は、2006年に現在のワークスチームの前身YSPレーシングに所属すると、07年にAP初優勝、08~11年に4年連続2位となると、12年から19年まで9連勝、21年から23年まで7連勝。福岡出身の中須賀は、このAPを「いちばんのホームコース」と呼んでいて、ちょっと手をつけられないくらい強い、相性のいいサーキットなんです。
その中須賀をAPで破ったことがあるのが、野左根航汰(AstmoホンダドリームSIR)です。野左根は今シーズン、世界選手権Moto2から全日本ロードレースにカムバックし、マシンもヤマハからホンダにスイッチ。今シーズンのレースでも、ここまで6戦、中須賀/水野/岡本裕生(ヤマハファクトリーレーシング)しか表彰台に立っていない展開のなか、4位を4回獲得し、間違いなく上り調子。しかも中須賀を破ったこともあるAPということで、表彰台はもちろん、優勝争いに加わって来るでしょう。
もてぎ大会は、決勝レースでは水野と中須賀にやられてしまったものの、菅生で中須賀を1回倒してみせた岡本も要注意。つまりAPは水野vs中須賀vs岡本に野左根を加えて要注目!ということです。
ST1000は國井!ST600は阿部が抜け出したッ!
5/26以来、3カ月半ぶりのレースとなるST1000/ST600クラスは、ここまでST1000が國井勇輝(SDGチームハルクプロ)、ST600は阿部恵斗(SQUADRA TIGREタイラプロモート)が連勝中。このふたり、ちょっとライバルを寄せ付けないくらいのスピードを見せているライダーです。
まず國井は今シーズン、いちばん場数を踏んでいるライダーですね。ST1000クラス開幕は4/14で、その前に3/17のアジア選手権開幕・タイ大会に参戦し4位/4位、4/14にもてぎ大会の全日本ロード開幕戦に参戦して優勝、その週にアジア選手権・中国大会も走って4位、6/9のアジア選手権・日本大会も参戦してヒート2で優勝、7/18に鈴鹿8耐を走ったかと思えば、7/28のインドネシア大会に出てはヒート1で2位表彰台、このAP大会が終わったらすぐに、アジア選手権マレーシア戦です。3か月半ぶりに走るライダーも少なくない中で、この場数はケタ違い!もてぎ→菅生大会はブッチ切りで優勝、そりゃ速いわけです。
國井に対するのは岩戸亮介(カワサキプラザレーシングチーム)です。岩戸はST1000クラス3シーズン目で、参戦台数の多くないカワサキZX-10RRで孤軍奮闘。菅生大会では「ST1000じゃ有り得ない」といわれたタイムでポールポジションを獲得。上り調子で鈴鹿8耐に臨んだんですが、開始早々に転倒してしまい、上位入賞を逃してしまいました。APはカワサキのホームコース、しかも岩戸はAP大会に出場全ライダーの中で、もっとも自宅が近い(笑)ほどのホームコースなので、捲土重来を期しているはずです。
このふたりに続くのがここまでの2戦で表彰台を獲得している作本輝介(AstemoホンダドリームSIR)、荒川晃大(モトバムホンダ)に、國峰啄磨(TOHOレーシング)、伊藤元治(モトバムホンダ)、ヤマハ勢では豊島怜(ドッグファイトレーシングJDS)が上位に食い込んでくるかんじ。2レース制で行なわれるAP大会、勝ったライダーがチャンピオン争いをリードしていくことになりそうです。
ST600クラスに関しては、これはもう阿部恵斗が完全にアタマひとつ抜け出ています。開幕から3戦連続ポールtoウィン中で、3戦連続2位入賞中の長尾健吾(チームKENKEN Ytch)がなんとか食い下がっても、ちょっと太刀打ちできない――そんな展開です。
さらに阿部は鈴鹿8耐にも出場し、SSTクラス3位表彰台に登壇。しかも3人制登録だったものの、阿部とともに昨年のST600ランキング1-2を占めたチームメイト、西村硝とふたりで8耐を完走。最後の最後にチームエトワールに抜かれての3位、しかし2人ライダー制でSSTクラス表彰台はスゴい! この8耐を乗り超えて阿部ももうひとつステップアップしたでしょうし、その西村も、今シーズンはアジア選手権への代役参戦が続いていたものの、このAP大会にはST1000クラスへ出場します。
ほかST600のライダーでは、鈴木光来(モトバムホンダ)、伊達悠太(アケノスピードMAVERICK)、菅原陸(ニッポンパイオニアガレージL8RT)、岡谷雄太(ワークナビNITROレーシングチーム)、青田魁(モトバムホンダ)らが8耐出場組。ビッグバイクに乗りまくった夏明けのレースを楽しみにしていると思います。青田は鈴鹿4耐にも出場していましたね。
レース以外のお楽しみナンバー1、オートポリス!
J-GP3クラスは、開幕で思わぬ後れを取ったV3チャンピオン尾野弘樹(プラスミュー7Cゲイルスピード)が、第2~3戦を連勝して、開幕戦ウィナー若松怜(日本郵便docomoビジネスTP)を追っている展開。GP3はこのふたりが抜けていますが、このふたりを追う木内尚汰(チームプラスワン)、高杉奈緒子(チームNAOKO KTM)にも注目。特にKTMに乗る高杉は、昨年のAP大会でたびたびトップ争いに顔を出す力強い走りを見せていたのが印象的です。
J-GP3クラスは、このAP大会を含めて、あと3レースしかありませんから、1レースも落とせない戦いが続きます。尾野のV4なるか、若松が新時代の扉を開けるか、に注目!
AP大会は、全日本ロードレースの中でもナンバー1ってとこがあります。それが、パドック裏のお祭りっぷり! メーカーの新車展示ブースはもちろん、レースクイーンステージやライダートークショーも充実していて、物販ブースやごはんの屋台がたくさん出ているんです。中の人、APではわざわざお昼休みに屋台村でご飯食べるほどですから! 九州の食べ物が美味しいんだよねぇ、これが。
そんなAP大会、台風もどっか行っちゃったし、いいお天気でレースできますように!J-GP3クラスは、このAP大会を含めて、あと3レースしかありませんから、1レースも落とせない戦いが続きます。尾野のV4なるか、若松が新時代の扉を開けるか、に注目!
写真・文責/中村浩史