世界チャンピオンの実力錆びず!
先にお伝えした<www.autoby.jp/_ct/17726714>ホンダのオールニュー電動トライアルマシンRTLエレクトリックが、デビュー戦・全日本トライアル選手権の和歌山大会でデビューウィンを飾りました! ライダーはフジガスこと、日本人唯一のトライアル世界チャンピオン藤波貴久。藤波、2003年の菅生大会以来、21年ぶりの全日本トライアルでの完勝。ガッチ小川も氏川も黒山も下しての堂々たる勝利でした。
ホンダワークスチーム「Team HRC」を結成しての全日本トライアル参戦。ゼッケン27の藤波は、世界チャンピオンになってから初めての全日本トライアル参戦です。先にお伝えしたように、RTLエレクトリックにはこの5月に初乗り、「バイクの仕上がりは7~80%かな、ライダーの仕上がりはトレーニングを始めて10kgくらい減量、ライディングは2年前のレベルくらいには戻ったと思います」(藤波)という状態での参戦でした。
試合は、藤波の参戦する国際A級スーパー(=IAS)に16人が参戦。ここまで4戦を終了して(第5戦広島大会は悪天候のため中止)氏川政哉(ヤマハ)が2勝を挙げて76Pでランキングトップ、ランキング2位に同じく2勝の小川友幸(ホンダ)と黒山健一(ヤマハ)が71Pで同ポイント、という状況。
ちなみにヤマハのふたりは電動トライアルマシンTY-E 2.2で、全日本トライアルIA-SクラスのV13チャンピオン小川は、4ストロークエンジン車RTL301RR。
数字だけ見ると電動トライアルマシン優勢のようですが、現在は電動が強い場面あり、エンジン車が強い場面あり、という状況のようです。
10/13(日曜)に行なわれた決勝レースでは、藤波が第一走者。当然、セクションに出ていくには、前のライダーが走った後の方がラインや路面状況が分かって有利なんですが、今シーズンのラインキングを持たない藤波が第一走者。もちろん、圧倒的不利です。
10セクションを2ラップ、その後にスペシャルセクション(=SS)を走る試合で、第一走者の藤波は、1ラップ目を首位で終了。スコアは24点減点、最大減点「5」は3セクション、ノーミスの「クリーン」が3セクションでした。2番手は小川で、藤波に2点差の減点26、減点5は3セクション、クリーンは3つ、3番手に黒山(減点:32/減点5:4セクション/クリーン:0)、氏川は6番手(減点:37/減点5:5/クリーン:1)でした。
同じセクションを2周する全日本トライアルでは、2ラップ目に再び藤波が首位(減点:14/減点5:1/クリーン:4)、2番手は黒山(減点:21/減点5:2/クリーン:3)、3番手に氏川(減点:31/減点5:5/クリーン:3)というスコア。
これで、2ラップを終えての総減点は藤波38、黒山53、小川60、氏川68。SSは2セクションを1ラップしますから、最大減点「5」を2セクションとも取られても減点10、つまり2ラップを終えて10点差以上がついているため、この時点で藤波の優勝が決まったのです!
SSでは藤波もミスがあり、両セクションとも減点5、小川と氏川も両セクション減点5で、黒山がクリーンと5点減点となり、総得点では藤波(減点48)、黒山(減点58)、小川(減点70)、氏川は5位(減点78)となり、ランキングトップが氏川から黒山に交代。小川と氏川が同ポイントでランキング2位、藤波は25ポイントを獲ってランキング12位に初登場しました。
全日本トライアルは残り2戦、10/27菅生大会と11/03大阪シティトライアル大会と続きますが、最終戦の大阪シティトライアルへは、ランキング10位までしか出場権がないため、藤波とRTLエレクトリックも、ランキング10位に入らなければ出場できません!
現在、藤波とランキング10位の武井誠也(ホンダ)は4ポイント差。次戦の菅生大会、藤波が表彰台に上がるようなことがあれば16ポイント加算で、なんとかランキング10位に入れるかもしれません。トライアル競技には不慣れなWebオートバイですが、引き続きウォッチしていきます!
全日本トライアル選手権 第6戦 和歌山大会
優勝 藤波貴久 ホンダ
2位 栗山健一 ヤマハ
3位 小川友幸 ホンダ
4位 柴田暁 TRRS
5位 氏川政哉 ヤマハ
6位 小川毅士 Beta
ポイントランキング(第6戦終了時)
1:黒山健一(ヤマハ)91P 2:小川友幸(ホンダ)87P 3:氏川政哉(ヤマハ)87P 4:小川毅士(Beta)63P 5:柴田暁(TRRS)59P 6:野崎史高(ヤマハ)56P
優勝:藤波貴久 チームHRC
「21年ぶりの全日本トライアルで、勝たなきゃいけないプレッシャーの中、短期間できっちり勝てるマシンに仕上げてくれた開発陣のおかげで、大事な、そして歴史的な戦いで勝つことができました。1ラップ目の後半やSSでミスがあって、ライダーの出来としては情けない思いもありますが、まずは勝ててよかった。次の菅生大会まで2週間、さらにマシンを仕上げて再び全力で勝利に向かいます。久しぶりの全日本で、ファンの皆さんと再会できて、とてもありがたく、幸せです。皆さんの応援に後押ししてもらって勝てました。ありがとうございました」
2位:黒山健一 ヤマハファクトリーレーシング
「僕の中では最低限の仕事ができたかな、というレベル。ただ、今回デビューのライバルの藤波選手に負けてしまったので、非常に悔しく、モヤモヤした結果になってしまいました。それでも2位になれて、これはこれで良し。次の菅生大会では優勝したいと思っていますので、引き続き応援をよろしくお願いします」
小川友幸 TEAM MITANI Honda
「3位という結果でしたが、ずっと抱えていたものとはまた違うフィジカルの問題があって、うまく走れないかな、という中での試合だったので、結果として3位表彰台を獲れてよかったと思います。1ラップ目に藤波選手と2点差だというのは試合中に知らなくて、2ラップ目に減点を重ねてしまって、順位を守れませんでした。2戦を残してトップと4ポイント差につけられて、今回はまずまずの戦いができたと思います」
写真/Honda YAMAHA 文責/中村浩史