新型400cc「DR-Z4S」の実車を1時間ぐらい見続けてわかったこと

2025年3月21〜23日の日程で開催された大阪モーターサイクルショー2025のスズキブース。
今年は「スズキオシフェス」と題して、実際に大型スクリーンを用いた「推しバイク」の参加型投票イベントが催されたり、実車初公開となった「DR-Z4S/SM」の展示や、スズキのWebショートドラマの公開など、大盛況で幕を閉じました。
もちろん我々『スズキのバイク!』編集部も大阪の現地へ赴き、スズキブースをたっぷり取材。ブース全体のイベントの様子は上の現地レポート記事を見て頂ければと思いますが、オフ好き編集部の私(イワセ)の注目株はやっぱりコレ!
新型400ccオフロード・トレール「DR-Z4S」です!

SUZUKI「DR-Z4S」(参考出品車)
もうね、他の仕事そっちのけで1時間ぐらい隅々までずっと見てましたから(笑)
モーターサイクルショーのようなイベントで1時間も同じ車両を見続けていると、周りからは“変わった人”に見えたかもしれませんが……
昨年2024年のEICMAで「DR-Z4S/SM」が発表されてから写真や映像を見てきましたが、やっぱり生で見ると色々なことがわかります。
現段階では“参考出品車”として展示されていましたが、今にでも発売できそうな仕上りになっていたのは間違いありません。
今回はオフ好き編集部 岩瀬がDR-Z4Sを買うつもりで徹底チェックしてきたマニアック解説でお届けします!
オフ好き編集部 岩瀬の「DR-Z4S」マニアック・チェック!
ヘッドライトバイザーのサイズ感がイイ感じ!


DR-Z4Sの顔となるヘッドライトは、バイファンクション式のLEDモノアイをバイザーに埋め込んだコンパクトなデザインがなんともカッコイイ! 写真の見た目よりもかなり明るいヘッドライトになっていました。
オフ好きとしてはヘッドライトバイザー全体の厚み(薄さ)も気になるところですが、LEDウインカーをステアリングステムに共付けにしたことで前後の幅がかなり抑えられています。
ある程度のクリアランスが必要になるハロゲンタイプのヘッドライトとは比べ物にならないくらい軽量コンパクトな印象です。

テールランプやリアウインカー、ナンバー灯など灯火類はフルLED仕様。軽量コンパクトでありながら被視認性にも優れます。
スッキリしたテール周りは後ろから見たときの全体のカッコよさを際立たせてくれますね。
燃料計やギアポジションインジケーターも!見るだけでワクワクするメーターパネル

フルデジタルのメーターには、ギアポジションインジケーターや燃料系、時計なども備わっていることに加えて、リアのABSキャンセルを表示させるインジケーターもありました。
そして、ライディングモードを切り替えられる「SDMS(スズキドライブモードセレクター)」や、Gモードなどの介入レベルを切り替えられる「トラクションコントロール」の表示もあり、これを見ているだけで筆者はワクワクがとまりません。
国産メーカーのオフロード・トレールモデルでスロットル・バイ・ワイヤを採用し、パワーモード切替やトラクションコントロールが備わるのは「DR-Z4S/SM」が恐らく初となるでしょう。
ヘルメットホルダーもあったぞ!必要なものは全て揃ったスイッチボックス


ハンドル左のスイッチボックスには、ホーンやウインカーに加えて「SDMS」などを切り替えられるMODEボタンも備わり、反対側にはヘッドライトのパッシングボタンもありました。
そして!「ヘルメットホルダー」が付いている!
これはVストローム1050や800シリーズなどのハンドルに取り付けられているものと同形状で、メインの鍵でワンキーで施錠できるタイプになると思われます。
ハンドル右側のスイッチボックスは、キルスイッチとセルの一体型ボタンと、個人的には超嬉しい「ハザードスイッチ」が備わっていました。
チャンバー風エキゾーストパイプとシルバーのステンレスサイレンサー


そして! DR-Z4Sはエキゾーストパーツが超カッコイイ!
鮮やかなシルバーでリプレイスマフラーと見紛うほどスタイリッシュなサイレンサーは太さも最小限に抑えたスタイリッシュなデザインに。マフラーカバーの形状もイケてます!
エンジンから流れるような曲線美を描くエキゾーストパイプは、排気経路に膨張室を設けた2ストロークモデルのようなチャンバー風のデザインになっていました。
スリムなシュラウドに収められたガソリンタンクは8.7Lも確保


オフロード/モタードバイクのデザインの要と言っても過言ではないタンクシュラウドは、ラジエーターやクーラントなどの冷却機構を内部に収めても、スリムでコンパクトな形状になっていました。
それでいて、海外仕様のスペックによると燃料タンクは8.7Lも確保されているようです。
写真で見えている黒い部分の燃料タンクは、おそらくABS樹脂と思われるプラスチックカバーで覆われていて、内部にスチールタンクが収まっている仕様になっているとのこと。
タンクキャップはメインキーを差し込んで回して外すタイプになっていました。
純正タイヤはオンロード寄りのブロックパターン


DR-Z4Sの純正タイヤはIRC製のTRAIL WINNER GP-410を履いていました。
GP-110の後継モデルとして開発されたGP-410は、オンロード性能を重視しながらもセンターブロックの間隔を従来より広げることによってオフロード性能も向上されているトレールタイヤです。
いわゆる“オフロードタイヤ”というよりはどちらかといえばアドベンチャータイヤのデザインに近いブロックパターンに感じます。
ホイールは近年のオフロードマシンのトレンドでもあるブラックリムが採用され、前後ABSが備わったディスクブレーキを装備しています。(リアのABSはキャンセル可能)
もちろんフロントは21インチ(80/100-21)、リアは18インチ(120/80-18)なので、タイヤの選択肢の幅も広がりますね。
前後サスペンションはフルアジャスタブル!




“オフロード走行の要”と言っても過言ではないサスペンションは、前後とも伸側・圧側減衰力調整とプリロード調整が可能なフルアジャスタブル仕様!しかもリアはリザーバータンク付きのモノショック!
こればかりは実際に乗ってみないと分かりませんが、前後ともKYB製のサスペンションを採用していますから、オンロードはもちろんオフロード走行も大いに期待できます。
小ぶりながらも頼れるアンダーガード付き!

DR-Z4Sには小ぶりながらもアルミ製のアンダーガードが標準装備されているようです。
フレームをよく見てみると、リプレイス品のアンダーガードやエンジンガードなどが取り付けられそうなビス穴も確認できます。
ちなみに、先代のDR-Z400Sシリーズと同じく、エンジン下部にオイルパンを持たないドライサンプ式が採用されているので、400ccのエンジンとは思えないほどコンパクトに収まっている印象です。
そのおかげでオフロードでは武器となる最低地上高も稼げるという一石二鳥の形状になっています。林道やオフロードをよく走りに行く人には、この部分は要チェック!
国内仕様のDR-Z4Sはローシートで発売か⁉︎ スリムで跨りやすい純正シート


今回、展示されていたDR-Z4Sの車両には、ローダウンシートが装着されていました。
シート周りだけの写真を見るとまるでオフロードレーサーのようにスリムです。
そして会場には、なんと「跨りOK」の車両もあります!

ライダー身長:172cm

ライダー身長:172cm
このローダウンシートは純正ノーマルシートより約3cm低くなっているとの事で、DR-Z4Sの海外スペック(920mm)から予測すると約890mmくらいにシート高が下がる計算になります。
身長172cmのライダーが両足で跨るとつま先立ちにはなりますが、サスペンションが程よく沈んでくれますし、車体がスリムなので足を真っ直ぐ落とすことができ、数値以上の高さは感じませんでした。
逆に、片足で足を着くなら、ここから3cm高くなると思われるノーマルシートでも不安を感じることはなさそうです。


オフロードではスタンディングポジションも重要なので、立って乗った時の状態も体験してみました。
フレームやエンジン、車体そのものが250ccオフロードバイク並にスリムなので、ステップに立ったときでも両足の隙間が短く、下半身だけで十分マシンコントロールがしやすそう。ハンドルの幅や高さも申し分ありません。
400ccのオフロード・トレールって250ccに比べるとちょっと大きいのかなぁ?と思いましたが、実際に跨ってみるともはや区別がつかないくらいにコンパクトです。
ちなみに、モタードタイプのDR-Z4SMはノーマルシートが装着されていたので、座り比べをしてみるのをおすすめします。
リアフェンダー裏の形状はどうなっている?


そして、こんなところまでチェックしてどうするの?とツッコまれるかもしれませんが、リアフェンダー裏の形状まで気になってしまうのがオフ好き野郎の性。
林道遊びやダートコースを走ると、ここに泥汚れがいっぱい付着しますからね。
高圧洗車機やブラシを使って泥汚れを洗車する時をイメージしながらリアフェンダー裏をくまなく見ましたが、土が詰まって汚れが落ちにくそうなところはあまり見当たりません。
オフロードレーサーのようなアルミペダルとラバーステップが取り外せるフットペグ

ブレーキペダルは、オフロードレーサーに取り付けられているようなアルミ製ペダルが装備されていました。
林道やオフロードコースなどではスタンディングで乗る機会も多いフットベグには取り外しが容易なラバーステップが取り付けられていました。
車体の振動や靴へのダメージを軽減してくれるパーツなので、好みで着脱できます。
この形状は初めて見たかも⁉︎ ドライブチェーンの外れ防止に役立つチェーンスライダー

他にも意外なパーツが備わっているところを私は見逃しませんでした。
DR-Z4S/SMのスイングアームに取り付けられたチェーンスライダーには、回転するドライブチェーンのブレを安定させてチェーンを外れにくくするための台形型ガードが!
ドライブチェーンが伸びて来たりしてちょっとハード目なオフロードを走っていると、チェーンがスプロケットから外れてしまうことが稀にあるのですが、この形状ならチェーン外れを大幅に軽減できそうです。
低速ギアは加速寄りに設定⁉︎スプロケット丁数で乗り味を予想

残念ながらフロント・スプロケットの丁数は見られませんでしたが、リア・スプロケットの丁数は大径寄りの43丁であることを確認しました。
フロント・スプロケットの丁数にもよりますが、おそらく13〜14丁あたりが付いているのではないかと予想すると、前後スプロケットの組み合わせとしては、どちらかといえばショート寄りの設定になっているのでしょうか?
まあこれは、ミッション側のギア比などによっても異なりますし、そもそもDR-Z4Sは5速ミッションのワイドレシオが採用されています。
それにDR-Z4Sの排気量はゆとりある400ccですし、高いギアではロング寄りになっていて長距離ツーリングや高速道路の巡航性能などが快適になっている可能性も大いにあります。
いずれにしても低速走行や発進加速の力強さはかなり期待できそうです。
ツーリングの荷物は乗りそうか? テール形状の裏側やタンデムステップもチェック!


オフ遊びやアウトドア好きの私、イワセがオフロード・トレールバイクを購入する時に必ずチェックすることがあります。
それは荷物がどれくらい載るかの積載方法や、クローズドのオフロードコースなどに持ち込んだときにナンバープレートなどの保安部品がどの程度外せるのか、です。
リアフェンダーの裏側を見てみると、テールランプやリアウインカーはアルミのサブフレームにボルト締めになっているので、簡単にフェンダーレス化できそう。タンデムステップも簡単に取り外せそうな形状です。
それに海外仕様の純正アクセサリーにはリアキャリアのラインアップもありましたから、国内でもリアキャリアが発売されれば大きな荷物の積載も期待できそうです。
続きは東京・名古屋のモーターサイクルショーでご自身の目で!

今回はかなりオフ好き目線での解説になってしまいました。すみません(汗)。
いずれにしても「DR-Z4S/SM」の完成度は予想以上!
(下に続きます)
DR-Z4Sの実車が見れる東京モーターサイクルショーが3月28日〜30日の日程で東京ビッグサイトで開催。名古屋モーターサイクルショーは4月4日〜6日に Aichi Sky Expoで開催されます。
今年のスズキブースの目玉である「DR-Z4S/SM」を是非、ご自身の目でお確かめください!