スーパースポーツや、スクーター整備の必需品

生活総合情報サイトで「バイク」のガイドを務めていたんですが、ある日担当ディレクターから「こだわりの逸品を紹介する記事を書いて欲しい」という依頼がありましてね、その記事執筆に絡んで購入したのが今回紹介する工具。コーケンの1/4サイズ(6.35 mm)のソケットレンチセットです。

ソケットレンチには、四角い接続部分の大きさによって1インチ、3/4インチ、1/2インチ、3/8インチ、1/4インチの5サイズあるんだけど、バイクやクルマの整備で主に使われているのは3/8インチ(9.5mm)。80年代前半にロードレース参戦から始まった我がイジリ人生。誰にも師事せず、揃える工具も基本的な使い方も、さまざまな工夫もすべて現場で見て、使って覚えてきた。ソケットレンチも何の疑問も無く3/8サイズをずっと使い続けておりました。

しばらくして1/4サイズの存在を知るものの、あまりに小さいもんで強度的に不安なのと、3/8サイズで取りあえずの用が足りてたもんで、買うまでには至らなかった。

ところが、今から15年位前かな? 撮影でスクーターをバラす機会があって、サポート役のイジリ好きが使ってた1/4サイズを使わせてもらうと、これがイイ! 特にシリンダーヘッドとエキパイのジョイントナット。やったことのある人ならわかると思うけど、多くのスクーターのエキパイは管長を稼ぐためにくねっているから、わずかな隙間にソケットレンチを差し込んでナットを回す必要がある。1/4サイズだとエクステンションバーが細くて隙間に差し込みやすいし、ラチェットハンドルも小さいから狭い場所で降りやすい。まさに「目からウロコ」だった。そんなところに冒頭の話があって、1/4サイズのセットを購入したわけです。

そして、ブランドは国産のコーケン。国産工具と言えばKTCが人気面、販売面ともにダントツだけど、実は他にも高品質で独創的な工具を作るメーカーが沢山ある。ただ、販売力が強くないために一般消費者の目に触れる機会が少なく、メディアにもあまり取り上げないから、仮に店頭で見かけても「これ、どこの?」で終わっちゃうことが多いみたい。
 
そんな知名度的にはマイナーな部類に入る国産メーカーの中に、ヨーロッパで高い人気を集め、一時はニセモノまで出回り、F1日本グランプリの際に来日したヨーロッパのメカニックが買い漁った、と噂されるブランド。それがコーケンなのであります。この噂の真偽のほどは判らないけど、向こうのメカニックが、日本人メカニックが使うコーケンのラチェットレンチを試して、「オレのと交換してくれ」と言ったのは確かみたい。

コーケンは、今でこそドライバーやスパナ、プライヤー系もラインアップしているけど、元々はソケットレンチの専門メーカー。今も製品ラインアップの9割方をソケットレンチ関連が占めている。形状や仕上げに大きな特徴があるわけじゃないんだけど、何しろハンドル類もコマ類もラインアップが膨大なうえに、ボルトの角を傷めない面接触やラチェットハンドルのギア機構などに、特許技術が詰まっている。実際に使ってみると、新品時からギアの動きがすごくスムーズで「なるほどね!」という印象だった。

購入しておよそ15年。絶対的な使用頻度はそんなに高くはないけど、壊れたことは一度も無し。スクーターやエンジン回りにあまり余裕が無いスーパースポーツ系の整備には、欠かせない工具になっております。2セット目のソケットレンチ購入を考えている方にはオススメですぞ。

画像: 標準タイプのラチェットハンドルにエクステンションバー2本、ユニバーサルジョイント、スピンナハンドル、T型スライドハンドル、4〜12mmまで11個のソケットをメタルケースに収めたセット(メーカー希望小売価格:1万9700円)。ソケットは14mmまで用意されているから、そのサイズの着脱に必要な強度は備えているわけで、エンジン回りのほとんどの作業に対応できる。ドライバービット、ヘックスビット、トルクスビットのソケットも用意されてます。

標準タイプのラチェットハンドルにエクステンションバー2本、ユニバーサルジョイント、スピンナハンドル、T型スライドハンドル、4〜12mmまで11個のソケットをメタルケースに収めたセット(メーカー希望小売価格:1万9700円)。ソケットは14mmまで用意されているから、そのサイズの着脱に必要な強度は備えているわけで、エンジン回りのほとんどの作業に対応できる。ドライバービット、ヘックスビット、トルクスビットのソケットも用意されてます。

※記事はオートバイ2015年9月号・別冊付録「殿堂用品」より

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