70~80年代を受け継ぐ名車たち
全てを一からつくり上げたニューモデルもあれば、過去のモデルからイメージ、デザイン、技術を受け継いだオートバイもある。このページでは、70〜80年代のオートバイから「何かを」受け継いだオートバイの例を少しだけ紹介してみよう。
豪華なルックスだけでなくサウンドも大きな魅力
悔しいが、乗っている本人よりも周りで聞いている人たちのほうが、かつてのCB750Fourのような低音域が響く、ドロドロした少し濁った大型マルチエンジンの排気音を楽しめる。それを回せば「咆哮」といった感じになる。乗っていても「いい音してるな」と思ってはいたが、他人が走っている音を聞いたとき、改めてそう思った。
当然の事ながら、煩かったり、迷惑になるような音質音量ではない。かつての音を知る者でなくても、思わずもう一度聴き直したくなるようなサウンド。この音は、新型CB1100共通の魅力。どれに乗っても、また、どれが目の前を走っていても楽しめる。
RSは100㎞/h・6速の回転数が2800回転ほど。だが、EXはタイヤサイズの関係でそれが2600回転ほどで、高速道路を走っていてもその低音の響きが伝わってくる。しかも、そんな低回転域を使っているのに、追い越しなどもストレスなく、かなり力強くやってのける。たとえ5速くらいでも、2000回転以下からふつうのリッターネイキッドと変らない加速までするのだ。そのとき強烈な滑らかさと粘りで、ノッキングの気配すら感じさせない。粘りとトルクの厚みはこのクラスの直4の中でも群を抜いている。
そしてRSでも書いたが、3、4000回転あたりまでの中域レスポンスは過敏にではなく、非常に力強い。RSより少しロングな減速比になっているにもかかわらず、各ギアでの低中回転域からのダッシュでは、こちらの方が体感的に速く感じるほどだ。
見た目と味付けは違うが、フォークはRSと同じショーワのSDBVを採用した、滑らかで力強い作動をする優れもの。それにスポークホイールのしっとりとした接地感がEXの乗り心地を上質なものにしている。ただバネやダンパーがソフトな味付けになっているような性質のサスではない。突破的で大きな衝撃でも跳ねがなく、ウネリやちょっとした段差などを的確に衝撃吸収できるソフトな感触だ。常用域に的を絞った高級ショックの乗り心地だ。
ちなみにEXのスポークホイールは少し本数の少ない独特の張り方。これは駆動衝撃を弱めるバックトルクリミッター付きクラッチがあればこそ、の装備だという。それが乗り心地や穏やかでいて身軽なフットワークを実現している。
EXはCB1100のハイグレードバージョンだと思っていい。その魅力的なスタイルに加えて、何とも言えないリラックスできる乗り心地と空冷直4サウンドが走りのムードを盛り上げる。あえて触れなかったが、このEXだって、峠道を遊ぼうと思えば、浅めの許容バンク角が許す限り、ソツなく、愉しくスポーツできる。RSと同じローハンドル仕様のタイプ2ともども、ちょっとイキな使いやすいごく自然なスタンタードスポーツモデルといっていいだろう。
SPECIFICATION
全長×全幅×全高:2200×830(800)×1130(1110)㎜
ホイールベース:1490㎜
最低地上高:135㎜
シート高:780㎜
車両重量:255㎏
エンジン形式:空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量:1140㏄
ボア×ストローク:73.5×67.2㎜
圧縮比:9.5
最高出力:90PS/7500rpm
最大トルク:9.3㎏-m/5500rpm
燃料供給方式:PGM-FI
燃料タンク容量:16L
キャスター角/トレール:27度/114㎜
変速機形式:6速リターン
ブレーキ形式(前・後):ダブルディスク・ディスク
タイヤサイズ(前・後):110/80R18・140/70R18