先日、茨城県にあるオートレース選手養成所にお邪魔してきました!
オートレース選手養成所は筑波サーキットに併設されています。私はこれまで何度も筑波サーキットには訪れた事があるのに、その存在をまったく知らず、今回初めて知り驚きました。
オートレースの選手になる為には、まず2年に1度行なわれる選手養成所入所試験に合格し、このオートレース選手養成所に入ります。
そして、オートレース選手養成所は全寮制なので、ここで9カ月間生活をするのですが、その期間はSNSは禁止、家族との連絡手段は週1回10分の電話と手紙。
年末年始のお休みの時など一時帰宅出来る期間もあるのですが、ほぼ毎日練習やオートレース選手になる為の勉強をするそうです。
今回、私が訪れたのは第34期生の皆さんの、卒業1カ月前というタイミングでした。
少しお話しを聞く時間を頂けたので、そんな34期生の本田仁恵さんと早川瑞穂さんという2人の女性に養成所生活について教えて頂きました。
若くて元気いっぱいな本田さんは養成所に入る前からバイクが大好きで、お父さんの影響もありオートレーサーを目指す事を決めていたそうです。
「普通のバイクとは、全然違うので慣れるのが大変でした。筋トレの時間が一番苦手で最初は出来なくて追加メニューをこなさなければならなかったし、背が大きいから女の子サイズではなく、男子と同じ道具を使う事もあるけど、男子とは体型も違うし…。あと、減量するのも大変。
この生活は大変だけど、家に帰った時は友達とオールで遊びに行って凄く楽しかったんです♪」と話してくれました。
元研究職というリケジョで、小柄な早川さんはとにかくスポーツ選手になりたかったそうです。
「ここに入るまでバイクに乗った事もなくて、バイクを押すところから始まり、それも大変でした。寮の生活に慣れるといいのですが、家に帰ってからまた寮に戻る時が心配で、2日前から身体を慣らす為に早寝早起きの練習をしました(笑)。練習がお休みの日は、みんなでオートレースの映像を見て『この走りがいい』とか、巻き戻ししながら見たり、練習の時もお互いにアドバイスしながら練習しています。」と練習の雰囲気や生活について話してくれました。
実際の練習風景を見せて頂くと、練習に出る為に押しがけでエンジンをかけるのですが、ペアになって走行に出ない人は後ろから押して手伝っていました。
自分の使うバイクは整備もセッティングも自分自身で行い、工具の使い方もイチから勉強するそうです。
オートレースは一周500mのオーバルコースを左回りで走る為、タイヤも同じ所だけ減っていくので走り終わったら走りやすいように削るそうです。
本田さんに聞くと、走りだけでなくメンテナンスにもスランプがあり、タイヤ交換に失敗して3、4回やり直した事もあるんだそうです。
練習が始まる前にみんなで準備運動をし
教官からその日のメニューについての説明があり
そこから練習が始まるのですが、走らない時間は他の人の走りを見る事も。
練習の時の姿勢はもちろんですが、寮に行くまでも「3歩以上は駆け足」というルールがあったり、食事中は喋ってはいけない上に早く食べる練習もしなくてはならないそうです。
私も養成所の皆さんと一緒にお昼ご飯を頂いたのですが、シーンとした空間で黙々と食べる皆さんの姿に圧倒され、最初食べるのに戸惑ってしまいました。
選手になるとご飯の時間をとるのが難しいので(新人のときは特に)、早く食べる事も練習しないといけないそうです。
寮は自分の部屋を片付けるだけでなく、共有スペースのお風呂なども交代でお掃除するそうです。
寮のお部屋も見せてもらいました♪ 基本は2人部屋だそうです。
写真のお部屋とは違いますが、綺麗にしてある本田さんのお部屋でアニメのポスターを見つけたので、そのことを聞くと…恥ずかしそうでした (*ˊ˘ˋ*)
寮にはハンドクリームが置いてあり、これは養成所の方が好意で準備して下さっているみたいです。
体調はもちろん、体重の管理も自分でし、毎回成績表や管理表も張り出されるという環境で、寮生活は大変な事もあるけど、練習が楽しくみんなと話しながら協力しながらどんどん走れるようになるのは楽しいと2人とも笑顔で話して下さったのがとても印象的でした。
みんなで話してアドバイスし合い、選手になる為に頑張っている姿に凄く刺激を受けました。
私はオートレースのマシンを近くで見たのも初めてだったのですが、ハンドルの左側が上がっていたり
バランスをとる為に膝を当てて耐えるパーツが付いていたり
左足のポジションも映像では伸ばしていると思っていたのですが、実際は不思議な曲げ方をしていたのに驚きました。
装備も靴底にはこのような物をつけているので足を出しながら走れるそうです。
ユニフォームも着させて頂いちゃいました♪
全部つけると少し重量感もあり、毎日つけて練習しているみなさんは凄いなぁと改めて実感!!
そんな養成所でしっかりと基礎を学び、卒業したらいよいよオートレースの選手になるのですが、今までオートレースを観たことがなかった私は、今回養成所を初めて見学させて頂き、知らない世界を観た衝撃とオートレース選手の素晴らしさを感じ、生でレースを見てみたいととても興味が湧きました。
厳しい練習を終えた第34期生の皆さんの今後の活躍にも期待、注目していきたいと思います!
撮影/松川 忍