それぞれに異なる魅力と価格を考えて選びたい
劇的な威力のリニューアルでCB650Rはこのクラスで既存のスポーツネイキッドたちの少し上を行く動力性能とスポーツ性能を手に入れた。
でも、どんな使い方においても抜きん出た実力を持っているわけではない。
気楽に使いこなすのが目的なら後発モデルに負けない実力のモデルもあるし、速度レンジや快適さに特化したモデルもある。
元気のいい走りだけが全てに優先するワケではない。各車の価格もバイク選びを大きく左右するだろう。そのあたりも踏まえて、現行モデルたちのキャラクターを比較してみよう。
スペック上もっとも控えめなのは68馬力のZ650。
だが高回転域をフルに使った競走でもしないかぎり、それほど大きな力の差は感じない。中域のトルクを上手く利用した減速比で、中回転域からのダッシュは強力。
サスがソフトなので乗り心地もよく、タウンユースからロングツーリングまで上手にこなす。
高速ワインディングをフルバンクで攻める、というよりも、魅力は常用域で光る快適さ、身軽さだ。非常に使い勝手がいい。
もっとも価格が手ごろなのはSV650。これは見事な万能モデル。このクラス、このジャンルでは優等生レベルの実力で、何でもこなす。
車体がしっかりしているので、スポーティな走りでも、その車体のカッチリした感触を頼りながら楽しめる。
スペックほど強烈なパワーには感じないが、フラットな出力特性と全回転域にある充実したトルクのおかげで、知らないうちに速く走れる。ただし許容リーンアングルは少々浅めだ。
世界的大ヒットモデルのMT-07は、走らせてみると、各ギアでダッシュした時の瞬発力がもっともパワフルに思えるから不思議だ。
身軽で、ハンドリングもダイレクト。乗り心地も悪くない。ただ、大きなギャップを越える時などは少し硬い。
そのかわり、速度が上がっても路面を良く捉える。回さなくても、どこからでも元気な瞬発力を発揮できる、機敏なストリートコミューターといったイメージがあるが、実は何をやっても元気なオールマイティスポーツだ。
こうしたそれぞれのキャラクターと価格を加えれば、妥協ではなくそれぞれの使い方に合った、コストパフォーマンスのいい選択ができるのではないだろうか。