由緒正しい老舗イタリアンブランド、モト・グッツィが昨年発表したユニークなアドベンチャーがV 85 TT。伝統の縦置きVツインエンジンを搭載、独創的なスタイリングに身を包んだ個性が光る1台だ。上陸したばかりの1台を早速試乗チェックするぞ!(PHOTO:赤松 孝、南 孝幸)

快適な乗り心地と実用性を兼ね備えた好パッケージング

画像1: 快適な乗り心地と実用性を兼ね備えた好パッケージング

モト・グッツィの主力と言えば、かつての名車をオマージュしたV7シリーズやV9シリーズなどのレトロテイストモデルだろう。

小柄で扱いやすく、かつ、モト・グッツィ独特のエンジンレイアウトが生む大きな前輪荷重により、かつて一世を風靡したオンザレール感覚のハンドリングまで楽しめる。

画像: エンジンとタンクがボリューム感をアピールしているが、実車は想像以上にスリムでコンパクト。写真のカラーはプレミアムグラフィック。

エンジンとタンクがボリューム感をアピールしているが、実車は想像以上にスリムでコンパクト。写真のカラーはプレミアムグラフィック。

このV85TTは、そんなモト・グッツィとしてはステルビオ以来久々となるアドベンチャーモデル。その姿は非常にユニークで、かつてのデュアルパーパスの雰囲気を漂わせつつ、これまでにないフォルムで個性を主張している。

画像: 本格的なミドルアドベンチャーとしては足着き性が非常にいい。それでいてサスストロークを犠牲にしてないところが魅力。リラックスできて、スタンディングも楽。オンにもオフにも極自然にマッチするライポジだ。 (身長:176㎝体重:68㎏)

本格的なミドルアドベンチャーとしては足着き性が非常にいい。それでいてサスストロークを犠牲にしてないところが魅力。リラックスできて、スタンディングも楽。オンにもオフにも極自然にマッチするライポジだ。
(身長:176㎝体重:68㎏)

このタイプのモデルとしてはコンパクトで、車重も229㎏と軽め。使い勝手のいいサイズにまとまっているのが魅力だ。これに搭載される新設計の縦置きVツインエンジンがまたすばらしい。

画像: 80 HPを発揮する、伝統の縦置きVツインエンジンはアドベンチャーモデルに合った、滑らかでトルキーなパワー感が魅力。扱いやすさは十分だ。

80 HPを発揮する、伝統の縦置きVツインエンジンはアドベンチャーモデルに合った、滑らかでトルキーなパワー感が魅力。扱いやすさは十分だ。

排気量こそV9と同じながら、その中身は別物で、V7やV9より25馬力も強力な80馬力を発揮。しかも、このエンジンがフレキシビリティに富んだパワーを生む。

グッツィ独特のパルス感が常にハンドルに伝わるが、回り方は滑らか。6速で2000回転以下、50㎞/h強ほどからスロットルに応答し、ノッキングもなく加速できる。強力な加速とまでは行かないが、よく粘り、十分以上に実用的。ダートなどで微妙なパワーが必要なとき非常に重宝する。

画像2: 快適な乗り心地と実用性を兼ね備えた好パッケージング

トップギアの6速・100㎞ / hだとメーター読みで3800回転ほど。欲張らず、200㎞/ hくらいまでで力を使い切るギア比になっているのも好感が持てる。4000回転からのトルクにコシがあって、かなり力強いのも魅力だ。

画像: 多機能なカラーTFTメーターを採用。3種類のライディングモードや燃費計なども備える。メーター横とシート下には便利なUSBポートも装備。

多機能なカラーTFTメーターを採用。3種類のライディングモードや燃費計なども備える。メーター横とシート下には便利なUSBポートも装備。

スロットルにダイレクトで扱いやすく、豪華なアドベンチャースタイルでありながら、その気になればミドルNKと変わらない勢いでダッシュすることも可能。かなり元気よく走ることもできるのだ。

画像: 170 ㎜のホイールトラベルを持つ41 ㎜倒立フォークに320 ㎜径のダブルディスクと豪華な足回り。試乗車のタイヤはミシュランのアナキーアドベンチャー。

170 ㎜のホイールトラベルを持つ41 ㎜倒立フォークに320 ㎜径のダブルディスクと豪華な足回り。試乗車のタイヤはミシュランのアナキーアドベンチャー。

画像: 駆動方式はモト・グッツィ伝統のシャフトドライブ。リアショックはスイングアームにダイレクトマウントされる。ABSシステムはコンチネンタル製。

駆動方式はモト・グッツィ伝統のシャフトドライブ。リアショックはスイングアームにダイレクトマウントされる。ABSシステムはコンチネンタル製。

乗り心地はこのカテゴリーの中でも優秀で、オンロードではグッツィの伝統である、オンザレール感覚の高速安定性まである。

画像: リアショックは片持ち式で、イニシャルと伸び側調整が可能。オプションでオーリンズ製のリアショック(9 万3960円)も用意される。

リアショックは片持ち式で、イニシャルと伸び側調整が可能。オプションでオーリンズ製のリアショック(9 万3960円)も用意される。

さらに本気でダート走行を意識した前後サスの動きがしなやかで、舗装路にある大抵のギャップを優しく吸収するし、少々荒れたダートでも突き上げられずによく走る。ただし、ダートではライディングモードを「オフロード」にしておいた方がよりスムーズだろう。

画像: ヘッドライトの中央にはトレードマークの鷲(アクイラ)の姿が。試乗車はオプションのツーリングウインドスクリーン(2万4840円)を装備。

ヘッドライトの中央にはトレードマークの鷲(アクイラ)の姿が。試乗車はオプションのツーリングウインドスクリーン(2万4840円)を装備。

画像: プレーンな形状のスリムなワンピースシートはスリムな形状で、ライディング時の自由度も高い。シート高は830㎜で、足つき性も良好。

プレーンな形状のスリムなワンピースシートはスリムな形状で、ライディング時の自由度も高い。シート高は830㎜で、足つき性も良好。

画像: オプションのアルミパニアケース(12万8520円)は41 L容量。48 L容量のトップボックス(7万8840円) もアルミ製だ。パニア装着には別売のステーが必要。

オプションのアルミパニアケース(12万8520円)は41 L容量。48 L容量のトップボックス(7万8840円)
もアルミ製だ。パニア装着には別売のステーが必要。

V85TTの魅力は、ほど良いサイズとキッチリ使える等身大のパワー。個性的な姿だけでなく、走りも非常に魅力的な本格アドベンチャーなのだ。(宮崎 敬一郎)

タンデムCHECK!

画像: タンデムCHECK!

シートとステップの位置関係がよくて、足の曲がりが自然だから、ポジションの自由度が高いです。ライダーとの間に十分なスペースがあるので、リラックスしてタンデムを楽しめます。排気音が意外と勇ましく、タンデムライダーにも独特のパルス感は伝わってくるので、ライダーと一緒に走りを楽しめます。 (木川田ステラ)

モト・グッツィ V85TTの主なスペックと価格

画像: MOTO GUZZI V85TT 価格:139万8600円/142万5600円(プレミアムグラフィック)

MOTO GUZZI V85TT 価格:139万8600円/142万5600円(プレミアムグラフィック)

全長×全幅×全高 2240×950×1300〜1325mm
ホイールベース 1530mm
シート高 830mm
車両重量 229kg
エンジン形式 空冷4ストOHV2バルブV型2気筒
総排気量 853cc
ボア×ストローク 84×77mm
圧縮比 10.5
最高出力 80HP/7750pm
最大トルク 8.15kg-m/5000rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 21L
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320mmダブルディスク・φ260mmディスク
タイヤサイズ 前・後 110/80-19・150/70-17

モト・グッツィ問い合わせ先:ピアッジオグループジャパン TEL.03-3453-3903(ピアッジオコール)

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