2019年3月1日、W800ストリートとW800カフェが発売され、新たな時代の幕を開けたカワサキ「W」シリーズ。不朽の名車がこれまでどのような歴史をたどってきたか、W1SAオーナーの青木タカオが分かりやすく解説する。

伝統を受け継ぎながらも時代とともに進化!

Wシリーズは新たな可能性をどんどん拡げていく。

オートバイの原点ともいえる普遍的なスタイルを、昨今のネオレトロブームなどが到来するずっと前から貫き通し、それはWらしい個性として再認識されていった。

時代を超越した美しさや手の込んだ仕上がりが、ヒストリカルな背景など気にしない新しいユーザーをも獲得。

その扱いやすさから女性やビギナーにも支持され、普通二輪免許で乗れる400もリリースされた。

そして2011年には“650”というひとつのアイコンにもなっていた数字さえも捨て、排気量を800㏄へと拡大した。

次々に殻を破り捨て、もはやWは一部マニアが知る懐古主義的なブランドではなく、生まれ変わりと成長を続ける、カワサキにとってはZやニンジャらと肩を並べるビッグネームへと成長している。

それを強く感じるのが、海外向けの「W250」や「W175」の存在。

仕向地によっては2気筒であることさえ呪縛であり、それを払拭してしまっているのだ。

これは清々しいほどの飛躍であり、新たなる挑戦そして新境地と言っていい。

2011年 W800

画像: 2011年 W800

2008年モデルで生産を終了していたW650、その後継が800㏄となったW800だ。

360度クランクのロングストローク設計にこだわりつつ、排気量を773㏄に拡大。

キックペダルを取り払い、吸気機構はフューエルインジェクション化されていた。

ハンドルは22.2㎜のミリサイズ径に一新され、リアショックは2段バネから不等ピッチに。

2016年 W800 Final Edition

画像: [全長×全幅×全高]2180×790×1075㎜ [ホイールベース]1465㎜ [シート高]790㎜[エンジン形式]空冷4ストOHC4バルブ並列2気筒 [排気量]773㏄ [最高出力]50PS/7500rpm [最大トルク]5.7kg-m/5500rpm [燃料タンク容量]15L [車両重量]216㎏ [タイヤサイズ]100/90-19・130/80-18 [発売当時価格]92万5560円 ※諸元はFinal Edition

[全長×全幅×全高]2180×790×1075㎜ [ホイールベース]1465㎜
[シート高]790㎜[エンジン形式]空冷4ストOHC4バルブ並列2気筒 [排気量]773㏄
[最高出力]50PS/7500rpm [最大トルク]5.7kg-m/5500rpm [燃料タンク容量]15L
[車両重量]216㎏ [タイヤサイズ]100/90-19・130/80-18 [発売当時価格]92万5560円
※諸元はFinal Edition

1973年に登場した650RS W3を彷彿とさせるカラー&グラフィックに専用のエンブレムを採用。

塗装段差の少ない4度塗りのペイントは、塗装工程までW3と同様という徹底した拘りぶりだった。

Kawasaki “W” Brothers

2017年 W175

画像1: Kawasaki “W” Brothers

レトロな色調の車体に、ミクニVM24キャブレターがセットされた177㏄のSOHC2バルブ空冷単気筒エンジンを搭載。

オーソドックスなタックロールシートやツインショックを備え、スポークホイール仕様の足まわりは前後17インチとしている。

タンクバッチには「W」の文字があしらわれ、末弟としての存在をアピールする。

2006年 W400

画像2: Kawasaki “W” Brothers

排気量を下げてユーザー層の拡大を狙ったが、ターゲットにはその頃のカワサキが課題としていたレディースライダーも。

画像: 空冷4ストOHC4バルブ並列2気筒・399㏄を採用。29PS/7500rpm、3.0kg-m/6000rpmで大らかな乗り味が魅力だった。排ガス規制により2009年にファイナルカラー仕様がリリースされた。

空冷4ストOHC4バルブ並列2気筒・399㏄を採用。29PS/7500rpm、3.0kg-m/6000rpmで大らかな乗り味が魅力だった。排ガス規制により2009年にファイナルカラー仕様がリリースされた。

カタログ広告では女性モデルを大胆に起用し、650より35㎜低いシート高765㎜を実現し、足着き性に優れることをアピール。

インチバーで太かったハンドルもミリサイズ径にし、取り回しの良さやフレンドリーさを武器にした。

1992年 Estrella

画像3: Kawasaki “W” Brothers

空冷4スト単気筒エンジンの生み出す心地良い鼓動感や軽快なフットワーク、そして上質感のあるフォルムで人気を博した250㏄モデル。

Wの源流であるメグロのムードを色濃く反映していたが、2017年のファイナルエディションではW3のタンクグラフィックを再現。

海外向けでも「W250」を名乗り、Wシリーズの末弟としてアピールした。

2017年 ESTRELLA Final Edition

画像4: Kawasaki “W” Brothers

五感に訴えるバイクとして四半世紀もの間、幅広い層に支持された。

ファイナルエディションはタンク上に専用ロゴ(水転写デカール)を採用した

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