〝カフェ〟という新提案も挑み続けるWらしさ!
最新モデルでは、足まわりを初期型と同じ前後18インチに戻し、心地良いライドフィールをもたらす360度クランクをそのままに、レトロとモダンが融合するデザインを採用する2本立ての姿に辿り着いた。
アップハンドルでゆったりとした乗り心地の「ストリート」は、スタンダードともいえるキャラクター。
ビキニカウルやスワローハンドルを備えて、シートをシングル風にした「カフェ」では、アグレシッブな前傾ポジションでWを操るという新提案をしている。
こうしたカテゴリーを超えていくアプローチは今に始まったことではなく、初代の頃にはスクランブラーもあったし、正規販売店で注文のできるサイドカーまで用意された。
W1SAでは右チェンジを左に移してしまうという大胆な策に出たし、W3ではZより先にカワサキ初のダブルディスクブレーキを備えている。
保守的イメージが強いWだが、その歴史はチャレンジの歴史でもあり、いつの時代も既存の枠を超えてきた。
だからこそ昔も今も目が離せない!
2019年 W800 STREET
50年にわたるWブランドの血脈を受け継ぐ最新進化形は、エンジンやフレーム、足まわりを刷新し走りの質を高めた。
フロントフォークをφ39→41㎜にし、キャスター角を27→26度に、トレール量は108→94㎜に変更。
フロント19インチを18インチ化し、後輪ブレーキはドラム式を270㎜ディスク式にグレードアップした。
アップハンドルで軽快に操れるストリート。
車体と足まわりの剛性が高まって、快適性も向上し長い距離を乗っても疲れにくくなった。
SPECIFICATION
全長×全幅×全高 2135×925[825]×1120[1135]㎜
ホイールベース 1465㎜
シート高 770[790]㎜
車両重量 221[223]kg
エンジン形式 空冷4ストOHC4バルブ並列2気筒
総排気量 773cc
ボア×ストローク/圧縮比 77×83㎜/8.4:1
最高出力 52PS/6500rpm
最大トルク 6.3kg-m/4800rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 15L
キャスター角/トレール 26度/94㎜
変速機形式 5速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ディスク・φ270㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 100/90-18・130/80-18
※[ ]W800 CAFE
2019年 W800 CAFE
基本構成はストリートと共通だが、ライポジが異なるだけでライドフィールは大きく異なる。
ストリートではハンドルへの少ない入力で、車体が自在に操れるが、ローハンドルで前傾姿勢のカフェではシート荷重も意識するなどより積極的にカラダを動かしたくなる。
スタイル、乗り味、どちらを選ぶかは好み次第だと言えそうだ。
エンジンフィーリングは両車とも360度クランクならではの心地良さがあり、それは「ドコドコ」ではなく「ブォーン」というスムーズな回転感覚だ。
PHOTO:カワサキモータースジャパン、川崎重工業(真弓悟志・安井宏充) TEXT:青木タカオ