ストリートでは5速ギアのまま走れるほどトルクフル
欧州専用ツアラー「パンヨーロピアン」の縦置きのV4エンジンを搭載したアメリカンテイストのツアラー。
CB1300STとF6Bの中間的なポジションで、STよりもゆったり走れて、巨大なF6Bよりも取り回しが楽で、身軽に走る、というものだ。
ゴールドウィング系のようなゴージャスな装備こそ持たないが、オーディオや肉厚のあるシート、程々の大きさのパニアケースなど、気楽に長時間ツーリングするのに十分な装備を充実させている。
スクリーンは殆ど高さのないものを装備している。
高速道路を走ってみても直撃風からライダーを護るのは胸元までだった。そのかわり快活に走れる。
横風には殆ど影響されずに真っ直ぐ走れるし、やはり視界が広く、周りのクルマをパスするときなど、大柄なツアラーではなく、ツーリングスポーツを扱ってるような気楽さで操作できるのだ。
また、重心が低いので意外にフットワークが軽い。
ハンドリングも素直だし、ネイキッドモデルのようにダイレクトなものだ。これもいい。ハンドルの許容切れ角が大きく、Uターンがしやすいのも魅力である。
リヤが低いので、サスのゆとりがなさそうに見えるが、大きな凸凹もよく吸収し、かなり乗り心地がいい。直進安定性もしっかりしている。ツアラー的な心地よい「どっしり感」も十分ある。
100㎞/h6速で約3250回転。爆発的なピックアップこそないものの、恐ろしくしぶとく粘るトルキーなエンジンは静かに滑らかに回っている。
このバイクのハンドリングを支える大切な要素はこのエンジン。
速度リミッターが効くのが6速でピークパワー発生回転の6000回転程という設定だ。
つまり、そんな速度レンジまでで全ての力を使い切る。6速を使っていようが、クルーズからの追い越しダッシュは不思議な程穏やかにビッグNKなみの勢いでやってのける。
そして5速でも街中のたいていの走りをこなせるねばりがある。1200〜300回転から実用できるのだ。
このバイク、過度の大きさや装飾を切り捨てた、必要にして十分な実用性が魅力のツアラーである。
SPECIFICATION
■エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒
■総排気量:1261㏄
■ボア×ストローク:78.0×66.0㎜
■圧縮比:10.0
■最高出力:84PS/6000rpm
■最大トルク:10.8kg-m/4500rpm
■燃料供給装置:フューエルインジェクション
■全長×全幅×全高:2380×940×1170㎜
■軸間距離:1645㎜
■シート高:740㎜
■車両重量:338㎏
■燃料タンク容量:19ℓ
■ブレーキ前・後:ダブルディスク・ディスク
■タイヤ前・後:130/70R18・200/50R17
RIDING POSITION
座り心地はすごくいい。姿勢も楽だ。
足着きもいいが、スタート後いつまでも左足を出していると、センタースタンドのフックに足首が巻き込まれそうになることがある。これは注意だ。
DETAILS
LEDヘッドライトはライトユニットの下部に沿って発光オーナメントを備えている。
LEDヘッドライトは高輝度4灯式を採用している。
ウインカーも同じくLED仕様となっている。
ブレーキには、フットブレーキを踏み込むことで前後のブレーキが連動するコンバインシステムに、ABSを搭載している。
フロントディスクは大径のφ310㎜。リアには更に大径のφ316㎜を装着する。
ボディデザインと一体化されたパニアケースは標準装備される。
ヘルメットなどの大柄な荷物は収納できないが、二人分の一泊旅行の荷物なら充分に収納可能の大きさ。
パニアケースはケース内側からボルトで固定されている。
ビッグクルーザーに相応しい大型のシートはライダーシートとパッセンジャーシートが分かれている2段式を採用する。
シート下には標準装備のETCユニットが搭載され、メーターパネル上で作動状況が確認できる。
1261㏄水冷DOHC縦置V型4気筒エンジンは、不快な振動を抑え、低・中速域でトルクフルな特性となっている。
左右2本出しのエキゾーストパイプは前方方向に延長することで各気筒からの排気音をコントロールしている。