快適性を増した 超弩級クルーザー
FLTRXS ROADGLIDE SPECIAL
跨ってすぐ目に飛び込むのは、広く平らなメーターパネル。
タッチパネル式の大型ディスプレイやアナログメーター、スピーカーまでもが所狭しと並んでいるが、そこは荷物でも積めそうなくらいにダイナミックかつだだっ広い。
ハンドル越しに見える景色はまるで船のようで、型破りのクルーザーであることを再認識させられるコクピットだ。
エンジンもその豪快な車体に見合っていて、1690㏄の空冷Vツインは低回転域からの図太いトルクに磨きをかけ、その巨体を半クラなど使わずともいとも簡単に発進させてくれる。
もたつくどころか、ラフにアクセルを開ければ、ドキッとするほどのダッシュ力とスロットルレスポンスを持ち合わせ、走り出してしまえば重量級の車体が嘘のようにキビキビ走ってくれる。
2000rpm以下でも市街地なら済んでしまうほどトルクは潤沢だが、最大トルクを迎える3497rpmまで回せば、優秀なグランドツアラーであることに改めて気づく。
アメリカでは“キング・オブ・ハイウェイ”と称されるだけに、言うまでもないが、得意とするステージは高速道路。
向こうのフリーウェイの制限速度はいまや85マイル(およそ137㎞/h)という州も存在し、追い越し車線の実際の流れとなれば、その高いスピードレンジからさらにプラスアルファとなるから、じつに速い。
つまり、そこで余裕のクルージングを楽しめるハーレーのツーリングファミリーは、当然ながら150㎞/hオーバーの連続走行などいとも簡単にこなす能力があり、ここ日本で走らせれば、ゆとりはさらにタップリ。
フレームマウントのフェアリングが、抵抗を減らすことを目的地にウインドトンネルテストを繰り返し、フォルムを大刷新したのも、クルージングの速度域をより高めるためのもの。
頭部への風当たりが減り、淡々と距離を稼ぐロングライドが、ますます快適になっている。
SPECIFICAITON
全長×全幅×全高 2430×980×1310㎜
ホイールベース 1625㎜
シート高 695㎜
車両重量 385㎏
エンジン型式 空冷4ストOHV2バルブ
V型2気筒(TWINCAM103)
最大トルク 12.85㎏-m/3497rpm
総排気量 1689㏄
ボア×ストローク 98.4×111.1㎜
燃料タンク容量 22.7ℓ
レイク角/トレール 26度/170㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後
ダブルディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後
130/60B19・180/65B16
RIDING POSITION 身長:175㎝ 体重:67㎏
後方へ流れる新デザインのハンドルバーが新採用され、前傾とは無縁の上半身。
両腕を大きく広げて握るワイドバーと、無造作に出した両足を受け止めてくれる大きなフットボードで、ロングライドでも疲れにくいライディングポジションをライダーにもたらしている。
二眼ライトをLED化しBOOM BOX搭載
ロードグライドといえば、ハーレーダビッドソンのトップエンドモデル「エレクトラグライド・シリーズ」と双璧を成すトップエンドモデルだが、昨年は一旦カタログ落ちしていた経緯がある。
14年モデルでは、ウルトラ系のスタイリングが一新されたことから、ファンの間では「今年こそきっと、ロードグライドも生まれ変わって再登場するはず」とささやかれ、今回はそんなラブコールを受けての待望の復活というわけだ。
見てまず感じるのは、デュアルヘッドライトの伝統的なフォルムを受け継ぎながら、フェアリングやハードサドルバッグのフォルムを改良し、よりスタイリッシュになっているという点。
ギョロっとした二眼のヘッドライトは白色系のLEDへと進化され、現代的な鋭い眼光を持つ面構えに様変わりした。
メーターまわりには“BOOM BOX6・5GT”と呼ばれるカラーディスプレイを持つニュー・インフォメーションシステムを内蔵。
オーディオシステムのほか、気温計や油圧計など各種情報をここに集約し、その操作はタッチパネルか、スイッチボックスに新設されたジョイスティックでおこなう。
5・25インチの2つのスピーカーは、エンクロージャーを介してのセットアップとなり、よりクリアに、より迫力あるサウンドを奏でるようになった。
そして、エンジンは1690㏄もの排気量を持つ空冷式のVツイン。
エンジンガードにロワーフェアリングを持つウルトラでは、そこにラジエターを収納し、シリンダーヘッドを水冷化しているが、こちらは純然たる空冷。
エンジンに当たる走行風を妨げるものは何もついていないので、冷却についての心配は無用だろう。
実際、市街地で渋滞にハマったが、熱ダレなどを起こす気配さえない。