ペルチェ素子を組み合わせたら無敵になりそう
ライダーは暑さ、寒さ、湿度に生身の体をさらしているが、斬新なアイデアで快適性を高めるアイテムも徐々に誕生している。
中でもヒョウドウから登場したクールファン&ヒートパネルベストは、オールシーズン対応の「着るエアコン」といった機能を備えている。
画期的なのが、前身頃左下にあるファンの力で取り入れた外気をパイプを経由して二層構造のベスト内に送り、肌の近くで渦を巻かせて体表の汗を蒸散させる構造。
メッシュジャケットの通気性は走行風の量次第なので速度によって涼しさが変化するが、この機構なら電動ファンが一定の換気能力を維持するので停車中でも走行中でも涼しさは変わらない。
胴体全体にまとわりついていた熱気が風で押し剥がされ、首元と袖口から抜け出ていく快適さは想像をはるかに超えたものだ。
水の気化熱や氷の冷たさ、ペルチェ素子による電気的な冷却は利用していないから外気温が体温よりも高くなると涼しさを実感しにくいが、汗を蒸散させるので肌と裏地がベタ付かず、サラリとした着心地を保つ。
さらに寒いときは電熱パネルによる加温も可能。
電熱線や電熱シートに発生した熱が肌に触れて熱を伝えるのではなく、ヒートパネルが空気層をムラなく暖めるから、ダウンベストのような優しい暖かさが特徴。
テスト日は気温25℃だったので暖かさのレベルは判断できなかったが、スペイン企業とのコラボ製品だけにヨーロッパの寒さも考慮しているはず。外気温一桁でも不足はないだろう。
車両側から12Vを供給することが前提だが、付属バッテリーでも約2時間の送風が可能。
通勤通学からツーリングまで、ライダーの快適性を大幅に高めてくれる大注目アイテムだ。
Photo:赤松 孝、南 孝幸