剛性感に関してはどうだろうか。
「ブレーキングをしつつ、バンクに当てながらフロントにを曲げに入る。そういう時は、縦方向にマシンを押し付けるわけですが、結構粘るというか。下りブレーキング中のコーナーなどでも、だいぶ粘ってくれる感触があります。
それと、リアサスペンションの受け側が剛性をあげているようなので、サスペンションが正確に仕事をするようになったのだろうとも思います。そこまで高荷重をかけられるトラックではなかったので、感じることはできませんでしたが」と和泉は言う。
スイッチ一つで別物に、ベータの125は勝てる
日本においては、2スト125ccのエンデュランサーに求められるのは両極端な性能だ。思い切り回して走れて、自転車のような軽快さを求めるエキスパート達と、とにかく軽い21インチで扱いやすさを求めるエントリーユーザーあるいはベテランユーザー達。
このニーズは、欧州においてもそうはズレていないらしい。
3時間をぶっつづけで走るクロスカントリーで求められるスピードと、10分か20分くらいのテストを120%の全力で駆け抜けるオンタイムエンデューロ。どちらかというと、エンデューロのほうがよりスプリント的なマシンが究極的には求められることになる。だから、競技だけを追うならば、よっぽどエンデュランサーのほうがパワフルであるべきだ。だが、この数年、クロスカントリーマシンはよりモトクロッサーに近く、エンデュランサーはより扱いやすいものに、カテゴライズされている。
欧州においても、エンデュランサーはいわばストリートリーガルマシンとしてマーケットで受け入れられていて、素材のベースとしてはカリカリのスプリントマシンになり得るが、メーカーの仕上げとしてはいかにワイドレンジに仕立てられるか、を大事にしているように見て取れる。その、根底のブレなさが、エンデューロファンの心を惹きつけて止まないのだ。