430からはビッグボアエンジン感
排気量オタクからすれば、350より390のほうがエラそうに見えるし、手強そうに見える。だが、ベータの思想はまったく異なっていて、390は4ストシリーズの中で、最もフレンドリーだ。では、そこかにたった40cc加えただけの430はどうなのだろうか。
「19モデルまでは430より上は、ギヤにも違いが出てくるので、大排気量のフィーリングでした。車体も固さを感じるところで、コンペティティブな印象が強かったのです。開けたときにドンと前へ出過ぎてしまう。350、390とはまったく別のマシンでした。
ところが、20モデルは350からつづく延長線上のマシンだと感じました。20モデルは、430も480もアクセル開度5〜10パーセントあたりの優しさが際立っています。480に乗って、最初にこれならハードエンデューロもいけそうだと思ったほどです。
昔の450オーバーのビッグボアエンジンは、どちらかというと林道最速マシンのような趣でしたよね。ヒルクライムだけしか使えなくて、細かいところは苦手で…。特殊な人しか乗れないイメージだったと思いますが、480に関してもそれがありません。もちろん、430・480は開けて走るには相応の腕が必要ですし、扱いきれるようなパワーではありませんが…」と和泉は言う。
2019年のBetaファクトリーは、EnduroGPにおいてベンジャミン・エレイラを4Tの350に乗せている。市販マシンから大きく逸れることの無いGPマシンにおいて、やはり和泉が感じてきたようなフレンドリーさは息づいていると、エレイラと仲のいい大神智樹は言う。GPは、決してそのようなマシンが大勢を誇るのでは無く、たとえばモトクロッサーそのもののようなマシン、スキルと体格をもってねじ伏せるようなマシンも、多数出ているレースであるにも関わらず、ベータが好成績を残し続けるのはとても面白い現象だ。
4ストモデルは、スイングアームを延長していて、スタビリティの向上に貢献
ウォーターポンプ、シリンダー、ヘッドまわりをすべてリニューアル。冷却効率を向上させた。和泉は、480でわざとアイドリングを長めにとってみたが、クーラントが噴き出すまでには充分な時間を要したとのこと