だが、20モデルにこの考え方は通用しなかった。和泉は「4ストローク全般で車体の軽量化を狙ってきているけど、あまりEnduro GPをはじめとしたレースをイメージしているようには感じなくなりました。
350は、4ストで軽さを狙ったコンセプトだと思います。かつ、あまりレースを考えていない、ファンライド向けのイメージ。ベータの場合は250をラインナップしていないので、なんとも言えないですが、250で不足するトルクを補ったような性格です。開け始めがちゃんとトルクフルです。ストールタフネス性(粘り。エンスト耐性)も高ければ、実トルクも太さを感じます。Betaの2T RR125は、ストールしないけどトルクは125ccなりなので、低速では坂を登っていかないでしょう? 350はしっかりトルクがのっていると感じました。それでいて、乗った感覚はとても軽いのが特徴です。実重量では乾燥で107.5kgですが、それ以上に軽さを感じますね。軽く感じさせる設計だと言えるでしょう。
この350に輪をかけて、三方良しを狙ったのが390だと言えると思います。ストロークアップしているので、悪く言うともっさりしているまわり方になっているのですが、「鈍さ」と引き換えに、押し出し感が強い。ただその強さに、フレンドリーさもあります。390は、特にライディングで失敗のしようがないエンジンです。ギヤを間違えたり、轍を外したりしても、バイクがカバーしてくれる。ひょっとしたら、初レーサーに適しているのかもしれませんね」と和泉。
実馬力自体は充分出ていて、重量も軽い。390は、350に比べて速さを捨てているという表現は正しくないだろう。ただ、その40cc分をすべて乗りやすさにふった…そんなイメージだと和泉は言う。