これまでのTPIより、さらにFIっぽい
150に対して、思い切り好評したが、エンジンフィーリングはTPIそのものだった。18年モデルから20年モデルに進化する過程で、KTMやハスクバーナはTPIを搭載する250EXCやTE250をかなりキャブに近い感触にまとめてきていた。
しかし20MYの150ccTPIは、TPIらしさが全面にでている。開け口の感触や、デジタル的な性格はキャブに感じないものだ。モード設定も1,2で激しく違う。モード2にすると、ビンビンまわる2ストらしさで自分にもあうが、モード1はとらえどころのないマイルドさだ。特に回転落ちのフィーリングは、キャブではありえないものでどう乗れば良いのか、戸惑ってしまう。だが、そのままモード2でスリッピーなところへ行くと、明らかにマシンに助けられてなんとかなっているのがわかる。これが、「成功するのに、なんか気持ち悪い!」感触になるのだ。
これは、慣れるのに時間がかかるな…と思った。日野の難所を抜けて、トンネル沢に着く頃には疲労困憊、へんな筋肉が凝り固まって、どうにかなりそうだった。おそらくモード1で存分に扱えれば、なんの問題も無かったんだと思う。それと、押しがけでもエンジンがかかるTPIでは、エンスト制御のためかかかった瞬間におそらくアイドリングを維持させるために必要なガソリンが噴射され、ドンと前に出る特性がある(我が家は、デミオのMTに乗っているんだけど、これもやはり同じでエンスト制御が効いてドンと出る瞬間がある。フライバイワイヤだとなおさらだろう)。これにも、慣れないと少し怖い。急な下りでエンジンがかかってしまった時に、意図していないスピードがのってしまうのだ。
モトクロッサーが4スト化した際、やはり様々なコンプレインが出た。どうにもタイムが出ないライダーもいたが、実際にはものの数年で2ストロークは姿を消した(その後に復活するのだから、これはこれでおもしろい)。4ストに対応するには、乗り方を変える必要があった。だが、乗り方さえ変えてしまえば4ストは速かったのだ。
僕がこのTE150iに感じたのは、まさにその部分だ。完成度は高く、デメリットは無いだろう。すでにKTMやハスクバーナのファクトリーライダー達が、いかにTPIがレーシングFIとして完成しているかを証明している。乗った瞬間にFIっぽさを感じるのは、むしろ当然なのかもしれない。これは、最新型の吸気機構なのであって、キャブではないのだから。