バイクウェアは何のために着る?
バイクに乗る時はライディングに特化した専用ウェアを着るべき。
長い間バイクに乗り続けているライダーのみなさんには当たり前のことかもしれませんが、改めてバイクを乗る時の服について考えさせられることがありました。
それはバイクウェアの老舗メーカー“フラッグシップ”のスタッフさんが言った
「バイクのウェアって『普段着』じゃないでしょ? 少なくともウチ(フラッグシップ)はそういうスタンスじゃないんです』
という台詞。
これに、ボクは軽く衝撃を受けました。
だって、バイクウェアも普段着のように着こなせるほうが良いと思っていたから……
バイクウェアに対する、ひとつの考え方として
そして、フラッグシップの人はこう続けます。
「だって、バイクに乗るって『特別なこと』だもん。 だからフラッグシップは、その特別な時間のためのスペシャルな服を作ってるつもり。例えば仕事上がりの平日の夜でも、部屋に掛けてあるウェアを見て『次の休みはバイク乗るぞ!』って、気持ちが盛り上がるような服を作りたいと思ってる」
素直に、スゴい!と思いました。
じゃあここで仮に、初心者のライダーに「バイクウェアって何のために着るの?」って聞かれたら、みなさんは何て答えますか?
ひとつには安全性のため、がありますよね。
リスクヘッジとしてのプロテクターの有無。
圧倒的に普通の服とは違うポイントで、とても大事なこと。
フラッグシップのジャケットはラインアップのすべてにプロテクターが装着可能な仕様になっているし、買った時から標準装備になっているジャケットも多いんですが、彼らにとって『そんなの当然のこと』のようです。
そして、長く走っても疲れない快適性もライディングジャケットには重要。
ボクは個人的にバイクウェアっていうのは『スポーツウェア』と同じ性質のものだと考えています。
水泳をするときには、泳ぎやすいように水着を着る。ランニングをするときは、身体の負担を減らすためにランニングシューズを履く。
それと同じように、バイクに乗る時は『専用に設計されたジャケット』を着るって訳です。
だからまず、生地からして違います。
これは夏用のフルメッシュウェアなんですけれど、触るだけで生地の堅牢さがわかるレベル。
【FJ-S203SP/Exceed Mesh Jacket】
これは安全性のためと同時に、走行風が直接、肌に当たることでの疲れを防ぐ意味が大きいんです。
そして生地にある程度の固さを持たせることでウェアが風でバタつかないように作られています。
胴体やウエスト周りのアジャスト機構も同じ役割。
これらは疲労軽減に大きく貢献する部分で、ざっくり言うと『着ているだけで圧倒的に疲れない』っていうこと。
その他の機能面で言うと、ライディング中の身体の動きを妨げないストレッチ素材も重要ですよね。
だって走っている時に窮屈さを感じたら本末転倒ですから。
なのでバイクウェアは基本的に……
こうして、ハンドルに手を添えた姿勢で、いちばん自然な着心地になるよう設計されているんです。
そのために袖が『腕を前方に伸ばした時にフィットする』立体的な裁断になっていたりもするんです。そんな服、バイクウェア以外にはまずありません。
だから、ワインディングをスポーティに楽しむ時なども違和感がない。
すべてをバイクで走るために最適化している。
それが『夏でも長袖のライディングジャケットを着る』機能面でのひとつの理由です。
だけどそこから、フラッグシップはもう一歩先へと踏み込んでいました。
そこに、ボクは何よりもハッとさせられたんです。
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機能と安全だけがバイクウェアじゃない