さて、鈴木タツキが歓喜の今季初優勝を飾ったMoto3クラスの模様を先にお伝えしましたが、MotoGPクラスでも喜ばしい事件が起こっていました! それが日本人唯一のMotoGPライダー、中上貴晶(LCRホンダIDEMITSU )の絶好調ぶりです!
これまで何回もお伝えしていますが、このアンダルシアGPに、チャンピオン、マルク•マルケス(レプソルホンダ)は不出場! とはいえ、先週の日曜日に右腕上腕骨を折って火曜に手術、木曜にはもうサーキットに現れたってだけでもう化け物なんですが、さすがのマルケスも土曜のFP3とFP4、それにQ1でコースインだけして不出場を決定。
さらにカル•クラッチロウ(LCRホンダCastrol)も前戦スペインGP決勝日の朝フリーかな、転倒して左手首舟状骨にクラックを入れてしまっていました。これも復帰してるって、なんてすげぇ!
となると、レプソルホンダのルーキー、アレックス•マルケスはまだMotoGPでのレースが2回目ってことで、どうしたってタカ中上に期待がかかるところなんですね。
そのタカですが、金曜から上々の走り出しを見せてFP1で8番手、そしてなんとFP2ではトップタイムをマーク! タカがセッショントップのタイムをマークしたのは、MotoGPクラスではこれが初めてですね。うわ、これはファンみんなが思っている以上に本人、ホンダ代表として燃えてるのかも! マルクがいない、カルも痛そうだからオレ頑張らなきゃ、ってプレッシャーにならなきゃいいけど、なんて思ってたんですが!
土曜になってもタカの好調は変わらず、FP3で4番手となると、続くFP4では再びトップタイム! 1レースで2回もトップタイムなんて、これはもうフロックなんかじゃない! コツコツ型でタイムを伸ばしていくタカにとってみれば、2週連続で同じサーキットでのレース、ってのが有利に働いてるんだと思います。
「マシンもいいフィーリングだし、自信持って進められています。セッティングをマルク寄りにしてみたら、かなりうまく走れるようになりました」とタカ。
彼のマシンは公表されているようにRC213Vの2019年モデル。つまりは、マルケスが圧倒的に強かったシーズンに使っていたチャンピオンマシンなわけで、もちろん完全に型遅れなわけじゃなく、2019年モデルをベースとしたタカスペシャルなんです。マシンの不利なんてありません、きっと。
さらに久々に直行したQ2では、時間いっぱいタイムアタックというよりはレースペースでの走りをして、ラストアタックでタイム出そうとした最終コーナーでコースアウトしちゃいましたので、3列目8番手スタート。惜しかった! いまの調子のタカがどれくらいのポジションにいるのか、見てみたかったですね。
決勝レース、まずまずのスタートを切ったタカは、序盤から前に出るマーベリック•ビニャーレス(モンスターヤマハ)、ファビオ•クアルタラロ(ペトロナススプリンタヤマハ)、バレンティーノ•ロッシ(モンスターヤマハ)、ジャック•ミラー&フランチェスコ•バグナイア(プラマックドゥカティ)らに続くあたりを走行。一時はフランコ•モルビデリ(ペトロナススプリンタヤマハ)に先行されますが、この酷暑のヘレスを安定したペースで周回していました。
レースは中盤あたりから動きがあって、まず8周目にミラーが転倒、タカを抜かしていったモルビデリはマシントラブルでストップし、バグナイアのマシンもオイルを吹き始めてストップ。
これでレース終盤、タカはトップを独走するクアルタラロ、その後方で2番手争いをするロッシ×ビニャーレス後方の4番手につけ、後方からジョアン•ミル(チームスズキエクスター)の追撃を受けることになります。
しかしタカは、ミルの追撃を振り切って、最終ラップで3番手に落ちたロッシの背後0秒5差まで迫りますが、ここでチェッカー。ヤマハ表彰台独占の後方、4番手でチェッカーを受けました。
「世界の表彰台まであと0秒5!悔しいけど精一杯やれました」というタカは、もちろんこれがMotoGP自己最上位! 表彰台争いまではもうひとつなにか積み上げが欲しかったけど、ホンダの代表としてヤマハにきちんと立ち向かったレースだったのではないでしょうか。
こうやってトップグループと一緒にレースすることで、ライダーは一気に成長するって言いますから、ブルノ以降のタカに猛烈に期待しちゃいましょう。
テツよくやった!の11位
そして、長島哲太(レッドブルKTM-ajo)がランキングトップにいるMoto2クラスですが、その長島テツが土曜のFP3で、なんと転倒してしまいます。FP1で2番手、FP3で5番手と、今回も調子が良さそうに見えたんですが、FP3の残り30分余りのところで、このヘレスの勝負どころのひとつ、6コーナーでラインを外しておっとっと、と減速しながらパン、とロースピードのハイサイドを喰らって担架で運ばれてしまいました。
これで予選5列目15番手となったテツでしたが、やはりどこか痛めたんでしょう、決勝レース中もペースが上がってきません。開幕戦では14番手から鬼の追い上げを見せて優勝をかっさらって行ったものですが、今回はその勢いも見られず、順位キープ。
それでも、ポイントリーダーが予選の転倒で決勝ノーポイント、という最悪のケースを避けるべくテツは奮闘。スタートでこそやや順位を落としますが、周回ごとにポジションあげ、Moto2クラスの中団グループという、世界でもなかなか恐ろしい集団をキープして11位でゴール。5ポイントを加算して、依然ランキングトップをキープしています!
調子が悪い時、転倒で決勝への準備が進まなかったとき(ってのを本当はなくさなきゃいけないんですが)、きちんとポイントを取っておくのは重要なこと。あ〜あ、11位かぁ、やっちゃった……ってテツが少しでも落ち込んでるといけませんから、ここは甘やかします。テツ、痛みに耐えてよく頑張った! 感動した、おめでとう!
そんなグランプリは1週のインターバルをおいて、第4戦はチェコ•ブルノです。日本人ライダーの快進撃、続けぇぇぇ!
次週はいよいよワールドスーパーバイクも再開です! しかも場所、またヘレスですw
写真/Michelin RedbullKTM-Anjo 文責/中村浩史