ヤマハが新たに発表した新E-MTB「YPJ MT pro」は、一般的なMTBとはかなりかけ離れた異型のフォルムをしており、なんとYZと同様のツインチューブ形状。バイクの技術とヤマハ開発陣本気のこだわりが、詰め込まれています。今回はMTBプロライダー・JNCC-AAライダー内嶋亮がインプレッション。もうコレは見た目だけでなく性能面を踏まえても、自転車界の"YZ"と呼べるマシンですよ。

「楽しさ」にベストな27.5インチ

画像: 「楽しさ」にベストな27.5インチ

10年ほど前に、MTBの世界では様々なタイヤサイズが乱発。2020年の今、おおよそそのサイズは29インチへ収束しました。走破性を求めるなら29インチが、定石です。YPJはあえて27.5+インチをチョイスしています。

「MTBでは29インチが主流ですがこれは27.5インチを採用しており、この選択はある意味賢いと思います。日本人の体型で「速く」走るならフロントは29インチ一択です。タイヤが大きい分路面のデコボコも感じにくいですから。でも車高が上がってしまうのは避けられないですよね。」

「フルサスのマシンで速さではなく、楽しさを求めるなら27.5はベストな選択だと思います。ベテランだけでなくビギナーでも楽しめるサイズ調整になってますね。インチサイズの違いをあえてバイクで例えるなら、29インチはモトクロッサーの19インチのYZ250F、27.5インチはのような18インチのYZ250FXのようなイメージですね。」

なお、27.5「+」のプラスがとても大事で、通常の27.5よりもファットなタイヤのことを指しています。レースに出るバイクではないので、俊敏性よりもトラクションと穏やかな特性をチョイスした、というわけです。冒頭にはYZと書きましたが、スミマセン。そうそう、YZ250FXって表現すごくマッチしていると思います!

「これさえあれば登り下りどこでも楽しめる」

画像: 「これさえあれば登り下りどこでも楽しめる」

「そもそもMTBではダウンヒルやクロスカントリーといった走り方に合わせて、登り・下りなどそれぞれに合わせたマシンを作るので、少なからずどこかに不得意なシーンが出てきます。しかし、これは登りも下りも文句無しで楽しめる欲張りなマシンですね。逆に言えば、これだけ幅広く遊べるマシンがこの価格で手に入るというのもメリットだと思います」と、内嶋は締めくくってくれました。MTBは、人間の足を使うからこそ、細かく用途に合わせた仕様が必要でした。でも、E-MTBの存在は、バイクに近づいたからこそ、細かく用途にあわせる必要を薄めてくれています。いわば、カテゴリクラッシャーと、言ってもいいかもしれませんね!

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