文:二輪車新聞 野里卓也
※この記事は、『二輪車新聞』の公式ウェブサイトで2020年11月2日に公開されたものを転載しております。
モトウィング須賀 会長・須賀 進さん/社長・須賀譲之助さん
現在は二代目の須賀進さんが会長を務め、三代目の譲之助さんが社長となり店舗を切り盛りしている。事業の継承はスムーズだったのか、進さんに尋ねると「60歳になる頃に、息子へ『会社を譲りたいと思うけど、どうする?』と聞いたら、嫌だと言われた」と笑う。
でも、譲之助さんの方は……「子どもの頃から、家業がバイク屋であるのを見ており、将来のことは意識していました。店長も私がランドセルを背負っていた頃からの社員で、今も現役です。私自身は高校を出た後、ホンダ学園に入学し卒業したのですが、すぐに家業を手伝うのではなく、他の会社へ就職する予定でした」と振り返る。しかし、祖父が体調を崩したことで急遽、家業を手伝うことに。それから年月を経て、お店を新しくすると同時に事業を受け継いで、今年からは経営も任されたという。
紹介で依頼される業務が圧倒的多数
店舗のある板橋区は友人や仕事仲間などの繋がりが強いそうで「ウチは紹介で買ってくれるお客さんが多い」という進さん。中には営業活動のメインともなっている業務もある。
「地元の金融機関とは縁があって依頼が増え続け、今は複数社から受けています。そこで使われている二輪車のメンテナンスを請け負っているんですよ。その数は年間で200台ほど。毎週末にその作業を集中的にこなしている」と続ける。
ちなみに一番喜ばれているサービスがあるといい、預かった車両へ備え付けのヘルメットやレインコートに消臭剤を吹きかけて綺麗にし、返却してあげるという。また、ヘルメットの買い替えにも対応すべく、見本と価格を掲載したパンフレットを常に用意し、急な購入依頼にも備えている。
譲之助さんは家業を受け継いでも親と子の関係は今までどおりで変わらないそう。でも、父親にこだわって教えられたことがあり、整備・修理するところを見せることだという。
「ウチのピットスペースはオープンです。来店するお客さんの目の前で整備していきます」と、譲之助さんは言う。メンテをする方も説得性のある作業を見せることができるほか、ほどよく緊張感が保てるのが良いとも。
同業者と連携深め、業界活性化を提案
事業の今後について伺うと自社ではなく、同業者の状態を深刻に捉えた上で、解決に導きたい案があるという。「今、街のバイク屋さんが減っています。店舗で勤務するスタッフも少規模店が多いです。そんな状況で、通常業務以外が発生するとすぐにオーバーフローして、業務が滞ってしまう。そうなると馴染みのお客さんも離れていきます。でも、自分と同じ志を持つ人たちで繋がり、業務を補完して助けて合えていければと思っています。周囲の同業者を見ても、私と同じ40代で事業を継承した人も多い。なので、今の内から繋がりを深めていければ代替わりをしてもすんなりと移行できますし、そうなると良いですよね。絶対出来ると思います」と、同業者のみんなが幸せになるような策を考えているという。それが実行できた場合、業界にとっても恩恵があると続ける譲之助さん。
祖父から子、そして孫へ、今度は孫が地域の同業者たちとの橋渡し人となるようだ。
◆モトウィング須賀
▽所在地=東京都板橋区氷川町19番11号▽営業時間=平日9時~19時/日曜10時~18時▽定休日=水曜日/祝日▽℡03・3961・1953
https://motowing-suga.com/
文:二輪車新聞 野里卓也
※この記事は、『二輪車新聞』の公式ウェブサイトで2020年11月2日に公開されたものを転載しております。